草津温泉と軽井沢を結ぶ路線バスがあります。西武観光バスと草軽交通が運行していますが、このうち、西武観光バスが運行しているルートは、途中で吾妻線の万座・鹿沢口駅を経由しますので、吾妻線沿線から北陸新幹線・しなの鉄道へ抜けるのに有効なルートです。それに、このルート、浅間山を間近から眺められる絶景区間もあり、乗っているだけでも飽きません。
西武観光バス 草津温泉・万座BT~軽井沢の路線バス
群馬県の名湯、草津温泉と、長野県の高原リゾート、軽井沢を結ぶ路線バスが運転されています。西武観光バス、草軽交通の2社が運行していますが、ルートが異なります。
- 西武観光バス: 草津温泉~万座バスターミナル~万座・鹿沢口駅~鬼押出し園~中軽井沢駅~(旧軽井沢)~軽井沢駅(鬼押ハイウェイ~国道146号線経由)
- 草軽交通: 草津温泉~北軽井沢~浅間ハイランドパーク~旧軽井沢~軽井沢駅(国道146号線~白糸ハイランドウェイ経由)
西武観光バスのほうが少し西寄り、つまり、浅間山に近いルートを通ります。一方、草軽交通は、同社の前身となる草軽電気鉄道が通っていたルートです。
今回ご紹介する西武観光バスのルートです。途中で万座・鹿沢口駅を経由しますので、草津温泉~軽井沢を結ぶバスとしてだけでなく、吾妻線沿線から、北陸新幹線・しなの鉄道線への短絡ルートとしても利用できます。
西武観光バス 草津温泉・万座BT~軽井沢線のダイヤと運賃
西武観光バスが運行する草津温泉~軽井沢線は、便数が多くありません。草津温泉発のバスは一部のみで、多くは万座BT(万座バスターミナル)発着となります。吾妻線の列車の本数も少ないので、万座・鹿沢口駅で乗り継ぐ場合には、事前に計画を立てておきましょう。
万座・鹿沢口駅~軽井沢駅で見てみると、以下のようなダイヤになります。(季節によって運転本数やダイヤがかなり異なりますのでご注意ください)
【2024年夏ダイヤ(2024年7月13日~)】
- 万座・鹿沢口駅 → 軽井沢駅(北口)
- 万座・鹿沢口駅 10:29発 → 軽井沢駅 11:35着(万座BT発)
- 万座・鹿沢口駅 12:24発 → 軽井沢駅 13:30着(草津温泉発 ※平日のみ運転)
- 万座・鹿沢口駅 15:14発 → 軽井沢駅 16:20着(万座BT発 ※平日のみ運転)
- 万座・鹿沢口駅 15:24発 → 軽井沢駅 16:30着(万座BT発 ※土休日のみ運転)
- 万座・鹿沢口駅 17:24発 → 軽井沢駅 18:30着(万座BT発)
- 軽井沢駅(北口) → 万座・鹿沢口駅
- 軽井沢駅 09:10発 → 万座・鹿沢口駅 10:18着(草津温泉行き ※平日のみ運転)
- 軽井沢駅 11:50発 → 万座・鹿沢口駅 12:58着(万座BT行き)
- 軽井沢駅 14:00発 → 万座・鹿沢口駅 15:08着(万座BT行き)
万座・鹿沢口駅~軽井沢駅間の運賃は1,870円です。
西武観光バスの最新のダイヤについては、同社のWebサイトをご確認ください。
西武観光バス 万座~軽井沢線は浅間山を望む絶景路線!
西武観光バスのルートは、1783年の浅間山の噴火で噴出した大量の溶岩でできた「鬼押出し園」を経由します。このあたりは浅間山の北東側の斜面にあたりますが、このあたりからは、浅間山の山容を間近に眺めることができます。
鬼押出し園で途中下車して観光してもいいですが、鬼押出し園~峰の茶屋間では、バスの車内からも浅間山をしっかりと眺めることができます。この区間では、鬼押ハイウェイを走りますが、浅間山のすぐ東側、浅間山に最も近い道路になります。
万座・鹿沢口~軽井沢間のルート全体が、浅間山の緩やかな裾野の東側を南北に横切るような高原ルートになっています。
吾妻線~しなの鉄道線をショートカット! 鉄道の乗りつぶしに便利な路線バス
西武観光バスの万座・鹿沢口駅~軽井沢駅を結ぶ路線バスは、鉄道ファンにも利用価値の高いルートです。
万座・鹿沢口駅は、吾妻線の終点、大前駅の一つ手前の駅です。この大前駅は、1日に列車が5本しか発着しない、関東エリアでは訪問が難しい駅の一つです。
吾妻線は、上越線の渋川駅から枝分かれした路線、つまり、他に接続している路線がない盲腸線です。青春18きっぷなどで吾妻線の乗りつぶしを目的に訪問すると、来た道を引き返すしかありません。
そこで、お金は多少かかりますが、西武観光バスの万座・鹿沢口駅~軽井沢駅の路線バスを活用してみましょう。軽井沢まで出られれば、北陸新幹線やしなの鉄道線に乗り換えられます。しなの鉄道線で小諸へ出て小海線に乗り換えてもいいですし、篠ノ井まで出れば篠ノ井線で松本・長野方面へも行けます。さらに、軽井沢駅からJRバス関東の路線バスで、信越線の横川駅に出ることも可能です。
鉄道の乗りつぶしをされている方はもちろんのこと、吾妻線沿線の温泉地で宿泊後、軽井沢での観光にも利用できるルートです。
なお、吾妻線の乗車記、大前駅の訪問記については、以下の記事をご覧ください。
西武観光バス 万座・鹿沢口駅→軽井沢駅 乗車レポート!
2019年3月中旬の土曜日、青春18きっぷで吾妻線の終点、大前駅を訪問したあと、万座・鹿沢口駅まで一駅戻り、西武観光バスで軽井沢へ抜けるルートを試してみましたので、乗車レポートをお届けします。
万座・鹿沢口駅から西武観光バスに乗車
大前駅を08時35分に出発する新前橋行きの列車に一駅だけ乗車、万座・鹿沢口駅で下車しました。かつては、特急「草津」の終着駅でもあり、万座温泉などへの観光客で賑わった駅ですが、現在は普通列車しかやってこない無人駅。観光シーズンから外れた時期でもあったためか、駅前は閑散としています。
軽井沢駅行きのバスの時間まで50分もあります。3月中旬とはいえ、この日は雪がちらちらと舞うような寒さ。駅近くの観光案内所に避難し、温かいコーヒーをいただきます。
このあたりは、キャベツの生産で有名な嬬恋村。観光案内所でもキャベツのピクルスなどが売られていました。
さて、バスの時間が迫ってきたので、駅前のバスターミナルにあるバス停へ向かいましょう。どんなバスがやってくるのかと思ったら、都内を走っている西武バスとほぼ同じデザインの路線バスがやってきました。
車内には先客が一人だけ。このバスは、土休日の朝だけの草津温泉発の便。おそらく草津温泉から乗車してきたのでしょう。
『浅間・白根・志賀さわやか街道』 鬼押ハイウェイへ
万座・鹿沢口駅を出ると、すぐに鬼押ハイウェイへ入ります。鬼押ハイウェイは、軽井沢と嬬恋村を結ぶ全長約16キロの道路です。万座温泉~嬬恋村を結ぶ万座ハイウェイと合わせて、「浅間・白根・志賀さわやか街道」を構成しています。
このあたりは、上信越高原国立公園のエリアとなっていて、鬼押ハイウェイは、国立公園内を南北に縦走します。
鬼押ハイウェイの嬬恋村側は、道の両側をカラマツなどの木々が林立する区間が多く、眺望がきくところは多くありません。それでも、ときおり、バスの車内からも、浅間山の姿を眺めることができました。
途中、視界が開けると、「プリンスランド」というバス停に到着しました。観覧車がある「軽井沢おもちゃ王国」をはじめとして、ホテルやレストラン、ゴルフ場、テニスコートなどが揃った観光施設だそうです。周辺は別荘地にもなっているようです。
車窓のハイライト! 鬼押出し園~峰の茶屋
万座・鹿沢口駅から15分ほどで、鬼押出し園に到着です。黒い岩がごろごろ転がっている荒涼とした風景は、浅間山の噴火で噴き出した溶岩が固まったものです。
鬼押出し園のあたりは見晴らしがよく、浅間山もこのとおり! ここまでの道路は木々に囲まれていましたので、一気に視界が開けた感じです。
時間があれば鬼押出し園を見学していきたかったのですが、このあとの旅程の都合で今回は断念。鬼押出し園へは、軽井沢駅からのバスが出ていますので、次の機会には観光したいと思います。
鬼押出し園を出ると、いよいよこのバスルートのハイライト区間へ! 鬼押ハイウェイの最も標高の高いところ、つまり、浅間山に最も近いところを通っていきます。
ちょうどこのあたりが森林限界なのか、それとも、溶岩に覆われた山肌では木が大きく育たないのか、鬼押出し園までの高い木々が林立する風景とは一変し、迫力のある浅間山を眺めることができます。
鬼押出し園から峰の茶屋まで、浅間山の中腹を、北側から東側へ、ちょうど4分の1ほど周るように進みます。この写真は峰の茶屋に到着する少し手前で撮影したもの。このあたりまで、バスの車窓から浅間山をしっかりと眺めることができます。
ちなみに、軽井沢駅行きのバスなら、進行方向右側に浅間山が見えます。
急カーブを下り中軽井沢へ
峰の茶屋を通過すると、急にクネクネとした山道になります。この季節は対向車も多くないので、バスはどんどん下っていきます。万座側の登り坂はゆるやかなカーブが多かったのですが、軽井沢側は、まるでいろは坂のようなヘアピンカーブが続きます。車酔いしやすい方は注意したほうがよいかもしれません。
道路の両側の木々が視界を遮ってしまうので、浅間山を見ることは難しくなってきますが、ときおり、木々の切れ目から浅間山が姿を現します。このあたりまでくると、南東側から浅間山を見上げるような形になります。
坂を下りきり、道路の両側におしゃれなカフェやレストランが見えてくると、国道18号線に出ます。ちょうど、この突き当りのところに、しなの鉄道の中軽井沢駅があります。
旧軽井沢を経由して終点の軽井沢駅へ
中軽井沢駅から軽井沢駅までは、国道18号線を真っすぐ行けばすぐなのですが、この便は旧軽井沢を経由します。
離山交差点を左斜めに入り、離山通りへ。このあたりは、別荘地やおしゃれなレストランが並ぶ閑静なエリアです。高い木々に囲まれて落ち着いた雰囲気。
六本の道路が交差する「六本辻ラウンドアバウト」を通過。日本では珍しいラウンドアバウト(環状交差点)です。
旧軽井沢銀座通りの手前で、軽井沢本通りへ。そのまま道なりに進むと、軽井沢駅が見えてきました。
万座・鹿沢口駅からちょうど1時間。終点の軽井沢駅北口バスターミナルに到着しました。
万座・鹿沢口駅から軽井沢駅へと抜ける西武観光バスのルート。離れた鉄道路線同士をつなぐショートカットルートとして選んだのですが、思わぬ絶景を見ることができました。乗り鉄の方はもちろんのこと、公共交通機関で草津温泉や万座温泉と軽井沢を巡るときには、この西武観光バスのルートがおすすめです。
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