シルバーフェリーが運航する八戸港~苫小牧港を結ぶフェリーをご存知でしょうか? 夜行便も運航されていて、寝ている間に北海道~本州の間を移動できます。青函トンネルを走る夜行列車は廃止されてしまいましたが、この八戸・苫小牧航路は、かつての夜行急行「はまなす」の代わりに利用できそうです。
シルバーフェリーの八戸・苫小牧航路とは?
シルバーフェリーが運航する八戸・苫小牧航路は、1日4便、8時間前後で八戸港と苫小牧港を結ぶフェリーです。
シルバーフェリー 八戸・苫小牧航路のダイヤ
シルバーフェリーの八戸・苫小牧航路のダイヤは以下のとおりです。
【八戸 → 苫小牧】
船舶 | 八戸港発 | 苫小牧港着 |
---|---|---|
シルバー プリンセス |
08:45発 | 16:00着 |
シルバー ティアラ |
13:00発 | 20:15着 |
シルバー ブリーズ |
17:30発 | 翌01:30着 |
シルバー エイト |
22:00発 | 翌06:00着 |
【苫小牧 → 八戸】
船舶 | 苫小牧港発 | 八戸港着 |
---|---|---|
シルバー プリンセス |
21:15発 | 翌04:45着 |
シルバー ティアラ |
23:59発 | 翌07:30着 |
シルバー ブリーズ |
05:00発 | 13:30着 |
シルバー エイト |
09:30発 | 18:00着 |
シルバーフェリー 八戸・苫小牧航路の旅客運賃(2023年7月~)
旅客運賃は以下の通りです。なお、シルバーフェリーのWebサイトで予約すると、10%割引となります。
大人 | 小人 | 学生 | |
---|---|---|---|
特等 | 15,000円 | 7,500円 | - 円 |
1等 | 12,000円 | 6,000円 | - 円 |
ビューシート | 9,000円 | 4,500円 | 7,800円 |
2等寝台A | 9,000円 | 4,500円 | 7,800円 |
2等寝台B | 7,500円 | 3,750円 | 6,300円 |
2等 | 6,000円 | 3,000円 | 4,800円 |
特等室は定員2名のツインルーム、1等は定員2名または4名の和室や洋室です。
2等寝台Aは定員1名の個室、2等寝台Bは2段ベットの部屋(個室ではない)。2等はいわゆる大部屋ですが、座席毎にマットレスやロッカーが用意されています。
八戸港・苫小牧港へのアクセス
鉄道旅行でフェリーを利用するときに気になるのは、最寄り駅からフェリーターミナルまでのアクセスです。最寄りの鉄道駅から、シルバーフェリーが発着する八戸港と苫小牧港へのアクセスを紹介します。
八戸港フェリーターミナルへのアクセス
八戸港フェリーターミナルへの最寄り駅は、JR八戸線の本八戸駅です。本八戸駅からシャトルバスで八戸港へアクセスできます。一部ですが、八戸発着便もあります。4往復のフェリーのうち、シャトルバスに接続するのは2往復のみですので、注意が必要です。
一方、1日に1往復のみですが、盛岡発着のバス「八盛号」が、八戸港フェリーターミナルに乗り入れています。
各地から鉄道で八戸や本八戸へアクセスするには、青い森鉄道やIGRいわて銀河鉄道を利用する必要がありますが、これらの第三セクター鉄道には青春18きっぷでは乗車できません。青春18きっぷ利用の方は、盛岡発着のバスを利用するとよいでしょう。
北海道&東日本パスであれば、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道にも乗車できますので、鉄道で八戸や本八戸までアクセスしたほうが、安く済むと思います。
苫小牧フェリーターミナルへのアクセス
苫小牧フェリーターミナルへの最寄り駅は、JR苫小牧駅です。苫小牧駅~苫小牧港フェリーターミナル間は、路線バス(道南バス)でアクセスできます。苫小牧港発(八戸港行き)のフェリーに接続するバスは3便、苫小牧港着のフェリーに接続するバスは2便あります。
苫小牧駅~苫小牧港フェリーターミナルを結ぶバスは、以下の2系統があります。
- 道南バス(苫小牧市内路線バス) 24 フェリー線
- 時刻表は道南バス 苫小牧市内路線バスの「24 フェリー線」をご覧ください
- 道南バス(都市間高速バス)高速ハスカップ号 苫小牧駅~苫小牧西港フェリーターミナルの短距離利用
- 時刻表は道南バス 都市間高速バスの「高速ハスカップ号」をご覧ください
八戸駅・本八戸駅~八戸港フェリーターミナル、苫小牧駅~苫小牧港フェリーターミナルのシャトルバスを含めた乗り継ぎは、以下のようになります。
【苫小牧駅→八戸駅】
シャトルバス | フェリー | シャトルバス | ||
---|---|---|---|---|
苫小牧駅 08:40発 苫小牧港 08:57着 |
→ |
苫小牧港 09:30発 八戸港 18:00着 |
- | - |
<高速バス> 苫小牧駅 19:46発 苫小牧港 20:00着 |
→ |
苫小牧港 21:15発 八戸港 04:45着 |
→ |
八戸港 05:40発 本八戸駅 05:55着 八戸駅 06:19着 |
(土休日のみ) 苫小牧駅 20:10発 苫小牧港 20:27着 |
||||
<高速バス> 苫小牧駅 22:46発 苫小牧港 23:00着 |
→ |
苫小牧港 23:59発 八戸港 07:30着 |
→ |
八戸港 08:05発 本八戸駅 08:25着 |
八戸港 08:00発 盛岡駅 10:58着 |
【八戸駅→苫小牧駅】
シャトルバス | フェリー | シャトルバス | ||
---|---|---|---|---|
八戸駅前 20:25発 本八戸駅 20:50発 八戸港 21:05着 |
→ |
八戸港 22:00発 苫小牧港 06:00着 |
→ |
苫小牧港 06:30発 苫小牧駅 06:47着 |
盛岡駅 18:10発 八戸港 20:55着 |
||||
本八戸駅 07:30発 八戸港 07:55着 |
→ |
八戸港 08:45発 苫小牧港 16:00着 |
→ |
苫小牧港 17:07発 苫小牧駅 17:24着 |
- |
八戸港 13:00発 苫小牧港 20:15着 |
→ |
(土休日のみ) 苫小牧港 20:35発 苫小牧駅 20:52着 |
バスの時刻は変更になることがありますので、実際に利用される際には、各社のWebサイトで最新の運転時刻をご確認ください。
シルバーフェリー八戸・苫小牧夜行便と鉄道の乗り継ぎ
青春18きっぷや、北海道&東日本パスを利用しての鉄道旅行(乗り鉄)と組み合わせて利用したいのが、フェリーの夜行便です。中でも、苫小牧港21:15発(八戸港04:45着)と、八戸港22:00発(苫小牧港06:00着)の2便がおすすめです。
いずれの便も、夜半前に出航し、翌朝早くに到着します。睡眠もしっかりとれますし、下船後、すぐに鉄道での移動ができます。朝早くから動けますので、乗り鉄をするにしても、観光をするにしても、時間を有効に使えます。
さらに、先ほど紹介したように、この2便は、苫小牧港、八戸港の両方で、最寄り駅発着のシャトルバスに接続します。いずれの港も、鉄道の最寄り駅からはバスで20分ほど離れていますので、シャトルバスに接続する便を選びましょう。
苫小牧港は札幌に近い!
鉄道旅行・乗り鉄で、シルバーフェリーの八戸・苫小牧航路を利用する最も大きなメリットは、苫小牧港が札幌に近いことです。
青函トンネル経由で渡道すると函館に到着しますが、函館から札幌までは、特急列車でも4時間近く、普通列車での移動となると丸一日かかってしまいます。函館周辺や道南が目的地であればよいですが、札幌など道央や、さらには、道東・道北まで足を延ばすとなると、青函トンネル経由は効率がよくありません。
一方、フェリーで苫小牧港に到着すると、苫小牧駅から札幌駅までは普通列車でも1時間ちょっと。1時間に1本は札幌へ直通する普通列車が出ています。このように、北海道に到着してからの移動がとてもしやすいのです。
八戸港からは青森・盛岡へ乗り継げる
苫小牧港→八戸港の夜行便で八戸港に到着後、本八戸駅にシャトルバスでアクセスすると、八戸行きの八戸線の始発列車に乗り継げます。
八戸から、青い森鉄道の青森行きに乗り継げば、午前8時過ぎには青森駅に到着できます。逆方向の、盛岡行きに乗り継げば、午前9時には盛岡に到着します。
八戸港の到着が午前4時45分とかなり早いですが、その分、一日を有効に活用できるわけですね。
フェリー夜行便が使える「札幌・盛岡なかよしきっぷ」がおトク!
札幌~盛岡を移動する場合には「札幌・盛岡なかよしきっぷ」が便利です。フェリーの前後はいずれも高速バスでの移動となりますのが、鉄道での移動にこだわりがないのであれば、速いですしお得です。
「札幌・盛岡なかよしきっぷ」とは?
「札幌・盛岡なかよしきっぷ」は、札幌駅~苫小牧港の高速バス、苫小牧港~八戸港のフェリー(2等運賃)、八戸港~盛岡駅の高速バスがセットになったきっぷです。
- 発売・利用期間:通年
- きっぷの効力
- 札幌駅前~苫小牧港の高速バス「高速とまこまい号」に片道乗車可能
- 苫小牧港~八戸港の「シルバーフェリー」の2等に片道乗船可能
- 八戸港~盛岡駅前の高速バス「特急八盛号」に片道乗車可能
- 発売箇所:
- 札幌駅前バスターミナル、中央バス札幌ターミナル、大谷地バスターミナル
- 盛岡駅前バス案内所、ななっく1F バス乗車券売場
- ※事前に電話でフェリーの予約が必要
- おねだん:大人 8,400円 子ども 4,200円
高速バスとフェリーの乗り継ぎは、以下のようになります。
- 札幌 → 盛岡
- 札幌駅前 21:05発 → 苫小牧港 23:00着(高速バス「高速とまこまい号」)
- 苫小牧港 23:59発 → 八戸港 07:30着(シルバーフェリー)
- 八戸港 08:00発 → 盛岡駅前 10:58着(高速バス「特急八盛号」)
- 盛岡 → 札幌
- 盛岡駅前 18:10発 → 八戸港 20:55着(高速バス「特急八盛号」)
- 八戸港 22:00発 → 苫小牧港 06:00着(シルバーフェリー)
- 苫小牧港 06:46発 → 札幌駅前 08:37着(高速バス「高速とまこまい号」)
詳しくは、シルバーフェリーの案内をご確認ください。
「札幌・盛岡なかよしきっぷ」はどれくらいおトクなの?
「札幌・盛岡なかよしきっぷ」のメリットは、フェリーターミナルまでのアクセスを心配することなく、しかも、フェリーの夜行便が使えることでしょう。特に、苫小牧港23:59発の深夜便に使えるので、鉄道が走っていない時間帯に、睡眠を確保しつつ移動できるので、非常に効率的です。
さらに、おねだんもかなりお得になります。別々に乗車券や乗船券を購入すると、
- シルバーフェリー(八戸港~苫小牧港、2等): 5,400円 ※ネット予約割引適用時
- 高速バス「高速とまこまい号」(札幌駅前~苫小牧港): 1,580円
- 高速バス「特急八盛号」(八戸港~盛岡駅前): 2,500円
となり、合計で9,480円となりますが、「札幌・盛岡なかよしきっぷ」は8,400円で、約1,000円もお得になります。
特に、札幌~盛岡の前後を青春18きっぷで移動する場合には、利用価値が高いきっぷです。というのも、八戸~盛岡間は第三セクター線になるため、青春18きっぷでは乗車できないからです。この区間の運賃は3,110円ですので、シルバーフェリーの2等運賃と合わせて8,150円。「札幌・盛岡なかよしきっぷ」のほうがお得ですね。
なお、札幌~八戸間の移動であれば、札幌~苫小牧港の高速バスと、シルバーフェリーの乗船券がセットになった「札幌・八戸なかよしきっぷ」(大人6,500円)もあります。
青い森鉄道の乗車券がセットになった「青森・苫小牧てつなかきっぷ」
青い森鉄道の沿線~苫小牧の移動には、「青森・苫小牧てつなかきっぷ」が便利です。こちらも、シルバーフェリーの夜行便との相性が良いです。
「青森・苫小牧てつなかきっぷ」とは?
「青森・苫小牧てつなかきっぷ」は、青森~苫小牧を、鉄道とフェリーの乗り継ぎで結ぶおトクなきっぷです。青い森鉄道の沿線から八戸までの青い森鉄道線の乗車券と、八戸港~苫小牧港を結ぶ「シルバーフェリー」の2等の乗船券がセットになっています。
- 発売・利用期間:通年
- 有効期間: 利用開始日から3日間
- きっぷの効力
- 青森・野辺地・三沢~八戸間の青い森鉄道に片道乗車可能
- 八戸港~苫小牧港の「シルバーフェリー」の2等室に片道乗船可能
- 発売箇所:
- 青い森鉄道線内出発分:青森駅・野辺地駅・三沢駅の各駅窓口
- 苫小牧港出発分: 苫小牧港フェリーターミナル
設定区間とお値段は下表のとおりです。(2023年7月~)
設定区間 | お値段(片道) |
---|---|
青森駅~苫小牧港 | 大人7,200円 小児3,600円 |
野辺地駅~苫小牧港 | 大人6,400円 小児3,200円 |
三沢駅~苫小牧港 | 大人5,700円 小児2,850円 |
※八戸駅~八戸港の交通費(バス運賃等)は含まれません。
シルバーフェリーの夜行便を利用する場合、青い森鉄道とフェリーの乗り継ぎは、以下のようになります。
- 青森・野辺地・三沢 → 苫小牧
- 青森 18:15発 → 野辺地 19:02発 → 三沢 19:29発 → 八戸 19:49着(青い森鉄道)
- 八戸駅前 20:25発 → 本八戸駅 20:50発 → 八戸港 21:05着(シャトルバス)
- 八戸港 22:00発 → 苫小牧港 06:00着(シルバーフェリー)
- 苫小牧港 06:30発 → 苫小牧駅 06:47着(シャトルバス)
- 苫小牧 → 青森・野辺地・三沢
- 苫小牧港 23:59発 → 八戸港 07:30着(シルバーフェリー)
- 八戸港 08:05発 → 本八戸駅 08:25着(シャトルバス)
- 本八戸 08:46発 → 八戸 08:55着(JR八戸線)
- 八戸 08:58発 → 三沢 09:17着 → 野辺地 09:43着 → 青森 10:31着(青い森鉄道)
太字の部分の運賃が「青森・苫小牧てつなかきっぷ」に含まれます。シャトルバスやJR八戸線の運賃は含まれませんのでと注意ください。詳しくは、青い森鉄道のWebサイトをご確認ください。
以上、『【シルバーフェリー 八戸・苫小牧航路】 青春18きっぷ、北海道&東日本パスと組み合わせて夜行で北海道へ! かつての夜行急行「はまなす」の代替ルートにも!』でした。できるだけ鉄道で移動しつつ、本州~北海道間を夜行フェリーで移動するのにピッタリの航路です。夜行便は、フェリーターミナルまでのアクセスも含めて、使いやすい時間帯なのもうれしいですね。
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本州~北海道間の移動に使えるフェリーの航路をまとめた記事です。主に東北・関東甲信越エリアと北海道を結ぶ航路を中心に紹介しています。
青春18きっぷ関連のサブサイト「青春18きっぷナビ」のトップページです。最新情報、基礎知識から、おすすめの列車や路線、ちょっとした使いこなしのコツなども紹介しています。
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