東京~水戸・いわき・仙台を結ぶ常磐線特急「ひたち」「ときわ」。日中時間帯は30分間隔で運転される利用しやすい特急列車です。この記事では、E657系で運転される特急「ひたち」「ときわ」の車内設備(コンセントやWiFiなど)や、おすすめの座席(座席表あり)、お得なきっぷなどについて紹介します。また、「ひたち」「ときわ」で採用されている「新たな着席サービス」についても解説します。
常磐線特急「ときわ」「ひたち」とは?
常磐線は上野~水戸~仙台(正確には日暮里~岩沼)間を結ぶJR東日本の路線です。各方面に新幹線が運転されている首都圏にあって、中央本線と同様に、常磐線は在来線の特急列車が主役です。
品川・上野から、特急「ひたち」は仙台・いわきまで、特急「ときわ」は水戸・勝田までを結びます。運転本数は多く、日中時間帯でも、品川駅や上野駅から、特急「ひたち」と特急「ときわ」が交互に30分毎に発車します。
特急「ひたち」「ときわ」に利用される車両は「E657系」です。全列車が、E657系の10両編成で運転されています。2012年にデビューした車両で、あとで紹介するように、各席のコンセントやWiFiなどを装備しています。
2024年3月のダイヤ改正で仙台発着「ひたち」の時刻が見直しに!
2024年3月16日のダイヤ改正では、仙台発着の「ひたち」の運転時刻が見直されます。
運転時刻が見直される列車は以下のとおりです。
【下り(品川→仙台)】
- 改正前: ひたち19号 品川 14:45発 → 仙台 20:28着
- 改正後: ひたち21号 品川 16:45発 → 仙台 21:34着
【上り(仙台→品川)】
- 改正前
- ひたち14号: 仙台 10:14発 → 品川 14:51着
- ひたち26号: 仙台 16:06発 → 品川 20:53着
- 改正後
- ひたち12号: 仙台 08:48発 → 品川 13:51着
- ひたち22号: 仙台 14:16発 → 品川 18:52着
「ひたち」の品川~いわき間のダイヤはほとんど変わりませんが、仙台発着となる「ひたち」の列車が見直されることになります。
常磐線特急「ひたち」「ときわ」(E657系)の車内の様子
常磐線特急「ひたち」「ときわ」(E657系)の車内の様子をご紹介します。
ブラックのリクライニングシートは快適!
E657系の普通車には、ブラックのリクライニングシートが並びます。2+2列の在来線特急としては標準的な配置です。黒一色のシート、在来線特急では珍しいですね。
黒いシートには、霞ヶ浦のうねりを表現したという模様が入っています。ヘッドレスト(座席上部の白い枕部分)は上下に動くタイプです。
シートピッチ(前後の座席の間隔)は960mmで、在来線特急としては標準的です。N700AやE5系などの最新の新幹線は1,040mmですので、それに比べると若干狭さを感じます。
ただ、前の座席の下は空いているので、足元はそれほど窮屈さを感じません。シートの作りがよいのか、2~3時間の乗車であれば、それほど疲れを感じることはありません。
前の座席にはテーブルが内蔵されています。新幹線などにある標準的なタイプのもので、ノートパソコンを置くこともできる大きさです。
各車両の一番前の座席のテーブルは、このように全面の壁に備え付けられたタイプです。座席から少し離れていることもあり、背面テーブルよりも大きめです。
各席のひじ掛けにコンセントを装備
各座席のひじ掛けにはコンセントが付いています。
列車によっては、窓の下や、前の座席の下についているものが多いですが、ひじ掛けのコンセントは、テーブルを下ろしていても使いやすく、スマートフォンを充電しながら利用するのに向いています。
JR東日本の無料WiFiサービス「JR-EAST FREE Wi-Fi」を利用可能
特急「ひたち」「ときわ」の車内では、JR東日本のWiFiサービス「JR-EAST FREE Wi-Fi」を利用することができます。
利用時にメールアドレスを登録する必要がありますが、一度利用登録をしてしまえば、180分利用できます。また、1日に何度でも利用することができます。
実際に、上野からいわきまでの間で利用してみましたが、常磐線にはトンネルがほとんどないこともあり、途切れることはなく快適に利用することができました。もっとも、乗客が多いと遅くなることはありますが。
常磐線特急「ひたち」「ときわ」の座席表、おすすめの座席
常磐線特急「ひたち」「ときわ」は全列車が10両編成で運転されています。座席表は以下の通りです。
グリーン車は5号車、それ以外は普通車指定席です。普通車指定席には、あとで紹介する「新たな着席サービス」が適用されています。
常磐線は太平洋岸をほぼ南北に走ります。そのため、おおかまに言うと、A席が海側、D席が山側ということになります。
とはいえ、海のすぐ近くを走る区間は限られています。品川・上野から仙台まで、主な車窓と見やすい座席は以下の通りです。
- 水戸~いわき~富岡: ところどころで太平洋が見える。勿来、久ノ浜あたりが見どころ(A席)
- 原ノ町~岩沼: 津波被害からの復旧のために内陸側に付け替えられた高架区間(A席)
一方、A席は東側、D席は西側になるため、
- A席: 午前中は日が当たってまぶしい
- D席: 午後・夕方は日が当たってまぶしい
ということになります。列車の中で休みたい場合や、PC作業、読書などをする場合には、時間帯によってまぶしくないほうの座席(午前中はD席、夕方はA席)を選んだほうが良いでしょう。
車窓については、上野→仙台間の特急「ひたち3号」全線に筆者が乗車した際の乗車記をご覧ください。A席(太平洋側)の座席からの車窓の写真多めで紹介しています。
常磐線特急「ひたち」「ときわ」の「新たな着席サービス」
常磐線の特急「ひたち」「ときわ」では、「指定席」「自由席」という区分けがなく、すべての普通車の座席を指定することができます。つまり、全座席が指定席ということです。
それでは、座席指定券を持っていないと乗車できないのかというと、そんなこともありません。具体的には、以下の2種類のきっぷがあります。
- 座席指定券(指定席券): 座席が指定されたきっぷ
- 座席未指定券: 座席が指定されていないきっぷ
座席指定券を持っていれば、指定された座席に座ることができます。一方、座席が指定されていない「座席未指定券」の場合には、空いている席に座ることができます。ただし、座席指定券を持っている人が乗ってきたら、その席を譲らないといけません。
各座席の上にランプが備えられていて、このランプの色で、その座席が空いているのか、人が乗ってくるのかがわかります。
ランプの色 | 意味 | 座席未指定券の利用 |
---|---|---|
赤色 | 空席 | 当面は人が乗ってこないため この座席を利用できる |
黄色 | まもなく指定席 発売済区間 |
まもなく指定席発売済みの区間に 入るため、座席を譲る必要がある |
緑色 | 現在指定席 発売済区間 |
指定席券を持った人が乗っているため この座席を利用できない |
ランプが赤色の座席は、当面は指定席券を持った人が乗ってきません。ですので、座席の指定を受けていない場合には、赤色のランプの座席に座りましょう。
ただし、ずっとその座席の指定席券を持った人が乗ってこないわけではありません。ランプが黄色に変わったら、まもなく指定席券発売済みの区間に入りますので、ランプが赤色の別の座席に移動したほうが良いでしょう。
なお、座席指定券も座席未指定券も、特急料金は同額ですので、早めに座席の指定を受けることをおすすめします。
常磐線特急「ひたち」「ときわ」乗車に必要なきっぷ・特急券の予約・購入方法
常磐線の特急「ひたち」「ときわ」に乗車する際には、乗車券と特急券が必要になります。このうち、特急券については、前述のとおり「座席指定券」または「座席未指定券」が必要になります。
座席指定券、座席未指定券は、従来の指定席・自由席とは異なり、料金は同一です。そのため、確実に座席が確保できる「座席指定券」を購入しておくのがおすすめです。
「えきねっと」なら発車時刻前に何度でも予約変更が可能!
仕事や用事が終わる正確な時間がわからない、というときには、特急券を「えきねっと」で予約しておくことをおすすめします。
「えきねっと」はJR東日本のインターネット予約サービスですが、JR東日本管内で閉じる列車の予約であれば、発車時刻までであれば、何度でも無料で予約の変更ができます。
- 予定にあわせて「えきねっと」であらかじめ座席指定券(特急券)を予約
- 仕事や用事などの予定が変わりそうであれば、スマートフォンから予約を変更
このようにすれば、予約変更後も指定が取れれば、座席指定券で乗車することができます。
ただし、「えきねっと」で予約した場合には、乗車前に駅の指定席券売機や窓口できっぷを受け取る必要があります。その分の時間は見ておきましょう。
「在来線チケットレス特急券」ならきっぷの受け取りが不要で100円安い!
頻繁に予定が変わる可能性があるのであれば、「在来線チケットレス特急券」での乗車がおすすめです。
「えきねっと」との違いは以下の通りです。
- 乗車前に紙のきっぷ(指定席特急券)を受け取る必要がない
- 別途、乗車券は必要です
- 通常の特急料金から100円引き
- 予約はスマートフォンのみ(パソコンからの予約は不可)
- 予約した列車に乗り遅れた場合は無効となる
- 後続列車の自由席に乗車することもできない
最大の特徴は、その名称のとおり、きっぷ(特急券)を受け取らなくても済む「チケットレス」であることです。きっぷを受け取る時間が必要ないので、列車の出発時刻の直前に駅に到着しても大丈夫です。
ただし、別途、乗車券が必要になります。駅で乗車券を買う必要がある場合には、その時間が必要になりますので注意しましょう。
「えきねっとチケットレス」については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
常磐線特急「ひたち」「ときわ」で利用できるお得なきっぷ
常磐線の特急「ひたち」「ときわ」の乗車に利用できるお得なきっぷを紹介します。
常磐線で利用できるフリーきっぷ
常磐線の区間で利用できる主なフリーきっぷには、以下のものがあります。いずれも乗車券の代わりに利用でき、特急券を組み合わせれば、フリーエリア内の特急「ひたち」「ときわ」に乗車することができます。
※きっぷ名をクリックすると、当ブログの紹介記事をご覧になれます。
- 週末パス
- 週末(土日)の2日間有効、南東北・関東甲信越のJR線・主要三セク路線に乗り放題
- 常磐線は全線が「週末パス」のエリア内
- 休日おでかけパス
- 土休日の1日有効、首都圏のJR線に乗り放題
- 常磐線は品川~土浦がフリーエリア
- ときわ路パス
- 期間限定、土休日の1日有効、主に茨城県内のJR線、三セク・私鉄路線に乗り放題
- 常磐線は取手~大津港がフリーエリア
週末に常磐線特急「ひたち」「ときわ」に長距離乗るのであれば、「週末パス」(8,880円)がおすすめです。
常磐線の主要区間の運賃(特急料金除く)は以下のとおりです。
- 品川~仙台: 6,380円
- 品川~いわき: 3,740円
- 品川~水戸: 2,310円
週末パスは8,880円ですので、片道の乗車では元が取れませんが、首都圏~仙台の往復に乗車すれば、十分にお得になります。別途、特急券を購入する必要はありますが、往路は「ひたち」で、復路は東北新幹線で、ということも可能です。
指定席特急券が35%引きになる「在来線チケットレス特急券(トク割)」
常磐線特急列車には、JR東日本のインターネット予約「えきねっと」限定ですが、列車の出発時刻まで購入できる割引きっぷ「在来線チケットレス特急券(トク割)」が設定されています。指定席特急券が35%割引になります。
- きっぷ名: 在来線チケットレス特急券(トク割)
- 対象列車: 「ひたち」「ときわ」
- 設定区間
- 品川・東京・上野 ⇔ 友部-水戸-仙台
- 水戸・勝田・いわき ⇔ 仙台
- 購入期限: 列車の発車時刻まで
- 割引額: 指定席特急券が35%引き
「在来線チケットレス特急券(トク割)」は特急券のみの割引きっぷですので、乗車するには別途、乗車券が必要となります。乗車券は紙のきっぷのほか、Suica等の交通系ICカードも利用できます。
また、前述の「週末パス」などの割引きっぷを乗車券として利用することもできます。列車の発車直前まで購入できますので、「在来線チケットレス特急券(トク割)」が設定されている区間に乗車する場合には積極的に利用しましょう。
「在来線チケットレス特急券(トク割)」は割引きっぷならではの注意事項がいくつかありますが、以下の「トクだ値」の解説ページにまとめてありますので、ぜひご覧ください。
Suica(交通系ICカード)も利用できるが注意が必要
Suica等の交通系ICカードについては、特急「ひたち」「ときわ」の停車駅では、以下の区間で利用できます。
- 首都圏エリア: 品川・東京・上野~浪江
- 仙台エリア: 仙台~原ノ町
現在、交通系ICカードは、各エリア内に閉じる範囲でしか利用できません。常磐線は、首都圏エリアと仙台エリアにまたがっています。品川・上野~仙台を走る「ひたち」は両エリアをまたがって運転されます。両エリアをまたぐ区間(例えば、品川~原ノ町・仙台など)で乗車する場合には、交通系ICカードを利用することができません。通常のきっぷを駅で買い求めましょう。
以上、『常磐線特急「ひたち」「ときわ」(E657系)に乗ろう! お得なきっぷ、おすすめの座席、車内設備を紹介します!(座席表あり)』でした。30分に1本という高頻度で運転されている特急「ひたち」「ときわ」を、お得に、そして、快適に使いこなして、旅行や出張を充実したものにしましょう!
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