長野県を鉄道で旅行するときに活用したいのが、通年利用可能な「信州ワンデーパス」です。長野県内のJR線が1日乗り放題となるフリーきっぷです。青春18きっぷが利用できない時期の鉄道旅行や乗り鉄におすすめのフリーきっぷです。長野県には、小海線、大糸線など、車窓が美しいローカル線が数多くあります。「信州ワンデーパス」を活用して、魅力的なローカル線の旅に出てみてはいかがでしょうか?
「信州ワンデーパス」の概要
JR東日本が発売するフリーきっぷ「信州ワンデーパス」の概要は以下のとおりです。
きっぷ名 | 信州ワンデーパス |
---|---|
利用期間 | 通年 |
備考 | |
発売期間 | 通年 |
有効期間 | 1日間 |
フリーエリア | 中央本線(小淵沢~塩尻・辰野) 小海線(全線) 篠ノ井線(全線) 大糸線(松本~南小谷) 飯山線・しなの鉄道北しなの線(長野~越後川口) 北陸新幹線(軽井沢~長野~飯山 ※運賃のみ有効) |
フリーエリア (図) | |
出典 | https://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?GoodsCd=2466 |
効用 | ・フリーエリア内の普通列車(快速列車含む)に乗車可能 ・別に特急券を購入すれば、エリア内の特急列車・新幹線にも乗車可能 ・別に指定席券を購入すれば、全車指定席の観光列車にも乗車可能 |
発売会社 | JR東日本 |
発売箇所 | フリーエリア内の 主な駅のみどりの窓口、指定席券売機、びゅうプラザおよび主な旅行会社 |
価格(大人) | 2,680円 |
価格(小児) | 1,050円 |
このフリーきっぷの最大のポイントは、長野県内のJR東日本全線に利用できる ことでしょう。長野県は広大ですので、十分に乗り鉄を満喫できます。また、一年中いつでも利用可能 なのも、フリーきっぷとしては使い勝手がよくてうれしいですね。平日はもちろんのこと、青春18きっぷや主要なフリーきっぷが利用できないゴールデンウィークにも利用できます。
「信州ワンデーパス」の購入方法
「信州ワンデーパス」は、フリーエリア内のJR東日本の主要駅で購入できます。
主要駅というのは、無人駅などではなく、窓口がある駅か、指定席券売機(新幹線や特急列車の指定席券を購入できる券売機)がある駅です。おおまかに言って、新幹線や特急列車が停車する駅であれば購入できるでしょう。
購入方法は、以下の二つです。
- フリーエリア内のJR東日本の主要駅の窓口で購入する
- フリーエリア内のJR東日本の主要駅の指定席券売機で購入する
利用する当日に購入できます。
「信州ワンデーパス」 おすすめの使い方
「信州ワンデーパス」は、どのように使えばよいのでしょうか?
結論から言えば、どのように使ってもメリットはあります。近距離では元が取れない可能性もありますが、あちこちで途中下車するのであれば、いちいちきっぷを買わなくて済むというだけで、快適に旅ができます。
それでも、せっかくなので、おすすめの活用法を紹介してみます。
魅力的な観光列車に乗って信州の自然を満喫しよう!
私自身、このエリアは毎年のように旅をしていますが、このフリーエリアを見た時に、まず思いつくのが、観光列車に乗車する という使い方です。
このフリーエリア内では、
- HIGH RAIL 1375: 小海線(小淵沢~小諸)
- リゾートビューふるさと: 大糸線・篠ノ井線(長野~松本~南小谷)
- おいこっと: 飯山線(長野~戸狩野沢温泉~十日町)
という3つの観光列車が走っています。
これらの観光列車は、主に土休日を中心に1日1往復(「HIGH RAIL 1375」春~秋は1.5往復)運転されています。
いずれも、全車指定席での運転なので、事前に指定席券を入手しておきましょう。信州ワンデーパス+指定席券でこれらの観光列車に乗車できます。
各路線や観光列車については、後ほどご紹介する「おすすめ路線」で詳しく紹介します。どの列車も車窓が素晴らしいのでおすすめですよ。
青春18きっぷが使えない時期の長野の乗り鉄に利用
乗り鉄の方には、青春18きっぷが利用できない時期の代替きっぷとしての活用をおすすめします。
たとえば、以下のようなルートを乗るだけでお得になります。
- 小淵沢~(中央本線)~塩尻~(篠ノ井線)~長野~(飯山線)~越後川口(片道)
- 普通運賃 4,450円(信州ワンデーパス利用で1,770円お得)
- 長野~(篠ノ井線)~松本~(大糸線)~白馬 (往復)
- 普通運賃(往復) 4,620円(信州ワンデーパス利用で1,940円お得)
また、青春18きっぷとは異なり、特急券を購入すれば、フリーエリア内の新幹線や特急列車にも乗車できますので、積極的に活用するのもよいでしょう。
特急券を購入して新幹線や特急列車で移動
「信州ワンデーパス」は、特急券を購入すれば、フリーエリア内の新幹線や特急列車に乗車することができます。
信州ワンデーパスのフリーエリア内で乗車できる新幹線・特急列車と区間は以下の通りです。
- 北陸新幹線「はくたか」「あさま」
- 軽井沢~長野~飯山
- 中央本線・大糸線「あずさ」
- 小淵沢~松本~南小谷
- 中央本線・篠ノ井線「しなの」
- 塩尻~松本~長野
北陸新幹線を利用すれば、小海線の佐久平駅から、篠ノ井線や飯山線が乗り入れる長野駅まで移動できます。また、列車の本数が多い小淵沢~松本間の「あずさ」や、塩尻~長野間の「しなの」も、先を急ぎたいときには便利です。
主な区間の自由席特急券(中央本線・大糸線「あずさ」は指定席特急券)の価格は以下のとおりです。
路線 | 区間 | 自由席特急券 |
---|---|---|
北陸新幹線 | 軽井沢~長野 | 1,870円 |
長野~飯山 | 880円 | |
中央本線 大糸線 |
小淵沢~松本 | 1,020円 |
松本~白馬・南小谷 | 1,020円 | |
篠ノ井線 | 松本~長野 | 1,200円 |
いずれも、「信州ワンデーパス」に加えて、上記の価格の自由席特急券を購入すれば乗車できます。短距離であれば自由席で問題ないと思いますが、指定席特急券を購入すれば指定席に乗ることもできます。
「信州ワンデーパス」 どこで購入する? お得な活用法
長野県の鉄道旅行に便利な「信州ワンデーパス」ですが、発売箇所がフリーエリア内の主要駅に限られています。つまり、長野県内のJR東日本の主要駅ということです。
それでは、フリーエリアとなる長野の外から、長野へ旅行する場合には、「信州ワンデーパス」をどのように利用するとよいでしょうか?
長野県外から長野へ入る場合
長野県外から長野へ旅行に来て「信州ワンデーパス」を購入する場合には、どこで購入するのがお得でしょうか?
基本的にはフリーエリアの末端の駅で下車して、そこで「信州ワンデーパス」を購入するのが最もお得です。ただ、そのために、わざわざ新幹線や特急列車を途中下車するのも、あまり現実的ではありません。
あまり損をしない範囲で、現実的な線を考えると、以下のようになります。
- 東京方面から北陸新幹線で長野へ入る場合
- 北陸新幹線を下車した駅(長野駅、上田駅、佐久平駅、軽井沢駅)
- 東京方面から中央線特急(あずさ)で長野へ入る場合
- 特急列車を下車した駅(塩尻駅、松本駅など)
- 関西方面から中央線特急(しなの)で長野へ入る場合
- 特急列車を下車した駅(塩尻駅、松本駅、長野駅など)
この場合、「信州ワンデーパス」の利用開始駅は、「信州ワンデーパス」を購入した駅になります。それでも元が取れるのかをよく計算してから購入するかを決めたほうがよいでしょう。
長野県内で信州ワンデーパスを利用後、新幹線や特急列車で帰宅する場合
東京など長野県外から新幹線や特急列車で長野に入って1泊旅行をする場合には、「信州ワンデーパス」を2日目に利用するほうが使いやすく、しかも、少しお得になる可能性があります。
前述の通り、「信州ワンデーパス」は、フリーエリア内の主要駅でしか購入できません。そのため、例えば、東京から新幹線や特急列車で長野や松本に直接入って、そこで「信州ワンデーパス」を購入すると、北陸新幹線 軽井沢~長野間や、中央本線 小淵沢~松本間のフリーエリアを活用できません。
一方、フリーエリア内で1泊して、翌日に「信州ワンデーパス」を購入して鉄道旅行を楽しみ、そのあとで東京に帰る場合には、軽井沢~長野間や小淵沢~松本間の乗車券を購入する必要がありません。
長野・松本から東京・新宿へ帰る場合に、信州ワンデーパスを併用すると、運賃がどれくらいお得になるかを考えてみましょう。
区間 | 路線 | 普通運賃 | 信州ワンデー パス併用 |
備考 |
---|---|---|---|---|
長野→東京 | 北陸新幹線 | 4,070円 | 2,640円 | ※1 |
松本→新宿 | 中央本線 | 4,070円 | 3,080円 | ※2 |
※1: 長野→軽井沢は「信州ワンデーパス」を利用
※2: 松本→小淵沢は「信州ワンデーパス」を利用
信州ワンデーパスを持っていると、990円~1,430円もお得になります。2,680円のフリーきっぷで、1,000円前後がさらにお得になると思うと、かなり大きいですよね。
なお、新幹線や特急列車の特急券は、乗車する全区間を一括で購入すればOKです。上記の場合なら、長野→東京の北陸新幹線の特急券、松本→新宿の特急列車(あずさ)の特急券を購入すればよく、軽井沢や小淵沢で分割する必要はありません。
「信州ワンデーパス」で乗りたいおすすめ路線
「信州ワンデーパス」で乗車したいおすすめのローカル線や列車を紹介します。「山」の県、長野県ならではの高原や山、川の車窓が美しい路線が多いのが特徴です。
小海線(小淵沢~小諸)
このブログでも何回も紹介していますが、やはり小海線を外すわけにはいきません。「八ヶ岳高原線」の愛称のとおり、日本を代表する高原列車です。
小淵沢~清里は、別荘地の森林の中をぐんぐん登っていきます。森の中を走りますので、眺望が開けているところはそれほど多くありません。清里~野辺山間にはJR最高地点がありますが、そのあたりで急に眺望が開けてきて、八ヶ岳をはじめとする周囲の山々が望めるようになります。さらに、野辺山~佐久広瀬間は野辺山高原の比較的開けた地形になっていて、その中を小海線が走っています。八ヶ岳の山々を遠くから眺めたいのであれば、このあたりがおすすめです。
小海線の車窓については、以下の乗車記の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
また、小海線に乗車するのであれば、観光列車「HIGH RAIL 1375」もおすすめです。景色が見やすいように配置された座席や、お酒やおつまみ、お土産などが揃ったカウンターなどもありますし、事前予約しておけば車内でお弁当を受け取ることもできます。小海線の素晴らしい車窓だけでなく、グルメも楽しめる観光列車です。
「HIGH RAIL 1375」については、以下の記事をご覧ください。指定席券の購入方法や、おすすめの座席、お弁当の事前予約方法なども紹介しています。
大糸線(松本~南小谷)
大糸線は、北アルプスの東側を南北に走るローカル線です。途中、信濃大町や白馬といった観光地を経由しますので、観光路線としても有名です。
松本~信濃大町の区間は、北アルプスを車窓の西側に見ながら、安曇野の盆地を進みます。周囲は比較的開けていて、適度な距離から北アルプスの山々を眺めることができます。夏は青々とした田園風景、秋は色とりどりの紅葉、冬は白一色のモノトーンに覆われ、四季折々の車窓が楽しめます。
信濃大町からさらに北上すると、仁科三湖(木崎湖、中綱湖、青木湖)のすぐ脇を通ります。大小3つの湖が次々に車窓を飾ります。さらに、白馬から南小谷の間は、盆地が狭まった山あいを走行することになります。松本から南小谷までは2時間以上を要するかなり長いローカル線ですが、車窓の変化に富んていて飽きません。
大糸線を旅行する場合には、観光列車「リゾートビューふるさと」に乗車するのがおすすめです。週末を中心に、長野~松本~南小谷を1往復する観光列車です。ゆったりとした座席に、大きな窓で、車窓を満喫できます。
「リゾートビューふるさと」については、以下の記事で、おすすめの座席や指定席券の予約方法などを紹介しています。ぜひご覧ください。
飯山線(長野~越後川口)
飯山線は、長野県北部~新潟県を結ぶ非電化ローカル線です。千曲川(長野県内)~信濃川(新潟県内)に沿って走る飯山線は、里山ののどかな田園風景の中を走るローカル線といった風情です。小海線などと比べると、山岳路線や高原路線といった感じはないですが、千曲川の周囲は高い山に囲まれていますので、千曲川のゆっくりとした流れの向こうに、山々が望めるでしょう。
沿線には、野沢温泉などの温泉地が点在しています。また、スキー場も多く、冬は日本一の豪雪地帯となり、除雪のためにしばしば運休することがあります。
飯山線の乗車記については、以下の記事をご覧ください。春~秋の飯山線もいいですが、雪景色の飯山線もいいものです。
普通列車に乗るのもよいですが、飯山線には、土休日を中心に「おいこっと」という観光列車が走っています。キハ110系車両を古民家風に改造した観光列車です。全車指定席となっていますが、指定席券を購入すれば信州ワンデーパスでも乗車できます。
観光列車「おいこっと」については、以下の記事をご覧ください。車内の様子や車窓に加えて、おすすめの座席なども紹介しています。
以上、『「信州ワンデーパス」で車窓が美しい長野のローカル線を旅しよう! おすすめの使い方、購入方法などを紹介します!』でした。信州のローカル線は、季節を問わず美しい車窓が眺められますので、青春18きっぷの時期以外にも、この「信州ワンデーパス」を活用して汽車旅に出かけてみてはいかがでしょうか?
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