伊豆箱根鉄道駿豆線の乗車と合わせて、平成27年に世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の一つに登録された「韮山反射炉」を訪問してきました。反射炉そのものに加えて、最近オープンしたガイダンスセンターを見学することで、そもそも反射炉とは何なのか、何のために建てられたのかなどを学ぶことができます。修善寺温泉や伊豆長岡温泉のすぐ近くですので、伊豆観光や温泉宿泊と合わせて訪問するのがおすすめです。
韮山反射炉とは?
韮山反射炉は、伊豆の国市の韮山にある産業遺産です。
反射炉とは、高温で銑鉄(不純物を含む金属)を溶かして、優良な鉄を製錬するための炉です。「反射炉」という名称は、炉がドーム型になっていて、その天井に炎や熱を反射させることで、銑鉄に熱を集中させる仕組みからきているそうです。
韮山反射炉は、江戸時代末期に、外国の列強から国土を守るための大砲を鋳造するために建てられました。江戸湾(東京湾)の防衛を任された江川英敏によって1857年に建設され、1864年にその役目を終えています。わずか7年ほどしか使われなかったのですね。
実際に稼働した反射炉が残っているのは、日本で唯一、韮山反射炉だけだそうです。
詳しくは、伊豆の国市のWebサイトをご覧ください。
韮山反射炉へのアクセスは?
韮山反射炉の最寄り駅は、伊豆箱根鉄道駿豆線(すんずせん)の伊豆長岡駅です。
駿豆線は、三島~修善寺を結ぶ伊豆箱根鉄道の路線です。日中でも1時間に4本ほど運転されていますし、本数は少ないですが、東京からJR東海道線経由で特急踊り子が直通します。韮山反射炉の最寄り駅の伊豆長岡駅も、特急踊り子の停車駅です。
駿豆線の乗車記事は以下をご覧ください。
伊豆長岡駅からのアクセス方法は以下の3通りです。
- 徒歩でのアクセス(1.8km, 徒歩25分)
- 循環バス「歴バスのる~ら」によるアクセス(1乗車100円、土日祝日を中心に運行)
- タクシーによるアクセス
徒歩でアクセスできる距離ですので、気候が良い季節ならば、散歩がてら徒歩でのアクセスをおすすめします。天気が良ければ、富士山の姿を眺めなることもできます。駅横の観光案内所に道順を記した地図がありますので、もらっておくとよいでしょう。
土日祝日やゴールデンウィーク、お盆休みなどを中心に、観光向けの循環バス「歴バスのる~ら」が運行されています。1日6便と本数は少ないですが、1乗車100円で、伊豆長岡駅から10分ほどで韮山反射炉に到着します。運転日については、伊豆の国市のサイトをご確認ください。
www.city.izunokuni.shizuoka.jp
タクシーによるアクセスも可能です。駅前にタクシーがいなければ、観光案内所で呼んでもらうことも可能です。
今回は、伊豆箱根鉄道駿豆線の汽車旅も兼ねていましたので、伊豆長岡駅から徒歩でアクセスしてみました。
韮山反射炉見学レポート
実際に韮山反射炉を見学してきましたので、簡単にレポートします。
ガイダンスセンターで反射炉について勉強しよう!
観覧料は大人500円(中学生以下50円)です。観覧料を支払うと、まずはガイダンスセンターに入館できます。このガイダンスセンターの中を通って、反射炉が保存されている広場にアクセスする構造になっています。ですので、反射炉を見学する前に、ガイダンスセンターで反射炉について勉強しておきましょう。
ガイダンスセンターでは、金属の精錬の歴史や、反射炉の歴史から始まって、韮山反射炉の保存活動に関する説明まで、展示や映像で学ぶことができます。
反射炉は世界的には珍しいものではなかったようですが、反射炉を建設するには耐火煉瓦が必要で、江戸末期の日本には耐火煉瓦自体がなかったことから、煉瓦を作るところから始まったそうです。
また、韮山反射炉の保存活動も、かなり困難を極めたようです。この地域は地震が多いため、地震の揺れから反射炉の構造物をいかに守っていくかというのが保存活動の大きな課題だったそうです。
反射炉を見学しよう!
ガイダンスセンターで反射炉についての知識を頭に入れたところで、いよいよ反射炉を見学します。
これが反射炉の全景です。世界文化遺産に登録されたときにかなり話題になりましたので、テレビや雑誌、ネットなどで一度はこの絵を見たことがある方も多いと思います。煙突が目立ちますが、反射炉の本体は煙突の下にあります。
高さが15.7メートルとさほど大きいわけではないのですが、間近で見ると歴史を感じますね。
煙突部分に斜めに入っている鉄骨トラスは、保存のための補強によるものだそうです。
この部分が炉になっています。左側が「鋳口」と呼ばれる穴で、銑鉄(精錬する原料となるもの)を入れるところです。この部分が最も高温になる場所です。
右側が「焚口」と呼ばれ、石炭などの燃料を入れるところです。この写真ではわかりにくいですが、鋳口の上の天井が最も高くドーム状になっていて、焚口で燃やした燃料の熱や炎がドームの天井に反射し、鋳口に置いた銑鉄に集中するようになっています。
つまり、この部分が反射炉の本体ということですね。
ここは「鋳台」と呼ばれるところで、鋳型をここに置いて、奥の方に見える穴(出湯口)から流れ出る溶けた鉄を導いて鋳型に入れます。当時は、主に大砲の鋳型を置いて製造していました。
お土産屋やレストランも充実!
反射炉見学が終わったら、隣に建つ「反射炉物産館」に寄ってみましょう。反射炉にちなんだお土産がたくさん並んでいます。「反射炉〇〇」というお菓子が多いです。味は普通でしょうけれど…。
観光地らしく、ソフトクリームも売っています。静岡県ですので、煎茶ソフトクリームをいただきました。甘さ控えめで煎茶の味が強く出て美味でした。
物産館の隣には、「反射炉ビヤ」があります。クラフトビールのブルワリーのようです。300名収容の大きな直営レストランもあるようです。
今回は時間の関係で寄りませんでしたが、ビール好きな方は見学後に寄るとよいでしょう。
以上、『世界文化遺産の「韮山反射炉」に行ってみた! 公共交通機関でのアクセスと訪問記を紹介! 伊豆・修善寺観光と合わせての見学がおすすめです!』でした。駅からの2次交通の整備がイマイチなのでクルマで訪問している方が多いようでしたが、徒歩でのアクセスも可能ですので、伊豆箱根鉄道の乗車と合わせて訪問するのにおすすめですよ。
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