三陸鉄道は、2019年3月23日に、旧JR山田線の宮古~釜石間を譲り受け、南北リアス線と統合して、新生「リアス線」を開業しました。盛~久慈間の総延長は163kmとなり、第三セクター鉄道では日本一の営業距離となります。注目はリアス線のダイヤで、盛~久慈間の全線を走破する列車が、上り3本、下り2本の計5本も設定されました。この記事では、新生リアス線のダイヤ(時刻表)に加えて、JR線との乗り継ぎプランもご紹介します。
※2019.03.23更新(乗り継ぎダイヤを追加)
JR山田線の宮古~釜石を統合し、三陸鉄道「リアス線」開業!
三陸鉄道は、2019年3月23日、新生「リアス線」を開業しました。
JR山田線の宮古~釜石間は、2011年の東日本大震災で壊滅的な被害を受け、それ以来、長期間に渡って運休となっていました。この区間の復旧工事が完了、同区間の路線を三陸鉄道に譲渡し、従来からの「北リアス線」(久慈~宮古)、「南リアス線」(釜石~盛)を含めて、新たに「リアス線」(盛~釜石)が誕生しました。
盛~釜石間の総延長は163km。これは、第三セクター鉄道では日本一の長距離路線となります。
また、旧JR山田線区間に、払川駅(豊間根~津軽石間)、八木沢・宮古短大駅(津軽石~磯鶏間)の2駅が新規に開業しました。
三陸鉄道リアス線開業の情報や時刻表については、三陸鉄道のWebサイトをご覧ください。
3区間での区間運転が基本のダイヤ、運転本数は増加
三陸鉄道リアス線のダイヤは、すでに発表されています。
ダイヤ上は、主に以下の3区間に分けられます。
- 久慈~宮古: 現行の「北リアス線」区間
- 宮古~釜石: 現行のJR山田線区間(運休中)、3月に三陸鉄道に移管
- 釜石~盛: 現行の「南リアス線」区間
「リアス線」のダイヤは、この3区間それぞれでの区間運転が基本となるダイヤになっています。
各区間の運転本数は以下のようになります。区間運転以外に、直通運転する列車の本数も含んでいます。
区間 | 新ダイヤ | 旧ダイヤ |
---|---|---|
久慈~宮古 | 12往復 区間運転1往復 |
11往復 区間運転1.5往復 |
宮古~釜石 | 11往復 区間運転0.5往復 |
10往復 |
釜石~盛 | 11往復 | 10往復 |
全区間で、おおむね1往復の運転本数の増加となります。これはうれしいですね。
特に、宮古~釜石間は、JR山田線時代のダイヤ(東日本大震災前のダイヤ)と比べると、区間運転を含めて3本の列車が増発されます。
全区間163kmを走破する直通列車5本、所要時間は4時間超!
久慈~盛間の全線が三陸鉄道の運行になったことで実現されたのが、全区間を直通する列車の設定です。
- 上り: 久慈 → 盛
- 久慈 05:52発 → 宮古 07:37着/07:43発 → 釜石 09:27着/09:33発 → 盛 10:25着
- 久慈 08:05発 → 宮古 09:45着/10:00発 → 釜石 11:26着/11:33発 → 盛 12:28着
- 久慈 16:06発 → 宮古 17:43着/17:52発 → 釜石 19:16着/19:40発 → 盛 20:27着
- 下り: 盛 → 久慈
- 盛 08:05発 → 釜石 08:57着/09:02発 → 宮古 10:28着/10:44発 → 久慈 12:35着
- 盛 15:20発 → 釜石 16:11着/16:22発 → 宮古 17:50着/18:15発 → 久慈 19:58着
上り3本、下り2本が設定されています。いずれも各駅停車で、全区間163kmを4時間半近くかけて走破します。JRでもめったにないほどの長距離普通列車の誕生です。
リアス線+JR線で三陸海岸縦貫! リアス線直通列車利用の乗り継ぎ時刻表
せっかく三陸鉄道リアス線の全線を走破する列車が誕生しますので、その前後のJR線(BRT含む)を加えて、八戸~仙台間を三陸海岸沿いに乗り継ぐ時刻表を作ってみました。
東日本大震災の前年、2010年まで、三陸鉄道とJR東日本が協力して、毎年夏休みに「リアス・シーライナー」という列車を走らせていました。八戸発仙台行きの列車ですが、三陸海岸沿いに、八戸線・北リアス線・山田線・南リアス線・大船渡線・気仙沼線・石巻線・東北本線を経由するルートで、所要時間はなんと10時間!
現在は、大船渡線・気仙沼線の一部区間がBRT化されてしまったため、このルートで直通列車を走らせることはできないのですが、この「リアス・シーライナー」をリスペクトして、同じルートでの乗り継ぎダイヤとしてみました。
三陸鉄道リアス線を全線直通する前述の5本の列車について、前後のJR線の乗り継ぎを加えています。
一日で八戸~仙台間を乗り継げるのは、上り・下りともに1本ずつ。上の時刻表でハッチをかけた部分です。いずれも所要時間は13時間以上と、かつての「リアス・シーライナー」よりも3時間以上も余計にかかっていますが、乗り継ぎ待ちの時間が影響しています。
前述のように、一部区間はBRT化されてしまったので、鉄道で乗り継ぐことができないのは残念ですが、それでも、宮古~釜石の鉄路がつながることで、三陸鉄道とJR東日本(BRT含む)を乗り継いで三陸海岸を旅行することができるようになります。
JR線直通の臨時列車・観光列車の運転に期待!
東日本大震災から8年。一部BRTとして再開した部分はあるものの、今回の三陸鉄道リアス線の開業で、ようやく三陸海岸の鉄道は全線で復旧しました。とてもうれしいことですね。
とはいえ、三陸鉄道沿線は、もともと過疎地であるうえに、震災の影響で人口が大きく減ってしまった地域もあります。三陸鉄道の先行は厳しいとの見方もありますが、今回のリアス線開業を機に、観光面でも盛り上げてもらいたいところです。
そんな中で重要になるのは、観光列車の運転でしょう。三陸鉄道には、イベント用のお座敷車両や、レトロ調の車両があります。また、JR東日本には「リゾートうみねこ」(キハ48形)や「リゾートあすなろ」(HB-E300系)という観光列車があります。これらの車両を利用して、JR八戸線やJR山田線との直通運転を実現してほしいところです。
以上、『三陸鉄道 新生「リアス線」開業! 南北リアス線に旧JR山田線を統合、全線を走る長距離列車のダイヤ・乗り継ぎを紹介します!』でお届けしました。宮古~釜石間の三陸鉄道への移管や全線直通列車の運転など、三陸鉄道は、単なる復旧を超えて、新たな路線として生まれ変わりました。この機会に、復興応援もかねて、三陸鉄道に乗りに行ってみてはいかがでしょうか?
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