茨城県の水戸駅と鹿島サッカースタジアム駅を結ぶ鹿島臨海鉄道大洗鹿島線。1985年に開業した比較的新しい第三セクター鉄道です。「臨海鉄道」ですが、車窓から海は見えません。平坦な農地が続き、ときおり湖が見える、のどかなローカル線です。
この記事では、鹿島臨海鉄道 大洗鹿島線の乗車記をお届けします。
鹿島臨海鉄道 大洗鹿島線とは?
鹿島臨海鉄道は、JR貨物や茨城県が出資する第三セクターの鉄道会社です。
鹿島臨海鉄道は、大洗鹿島線、鹿島臨港線の2路線を保有・運行していますが、鹿島臨港線は貨物専用線となっていますので、乗車できるのは大洗鹿島線のみとなります。
大洗鹿島線は、水戸駅~鹿島サッカースタジアム駅を結ぶ非電化路線で、全長53km、15の駅があります。本来は、佐原~鹿島サッカースタジアム間の鹿島線とともに国鉄の路線として開業する予定でしたが、国鉄の業績悪化により、鹿島サッカースタジアム駅より北側の区間を、第三セクターの鹿島臨海鉄道が引き継いで開業しました。
開業は1985年と新しく、そのために高架の区間が多くなっています。踏切も水戸駅周辺に少しあるだけで、それ以外の区間では全くありません。
水戸~大洗間は、通勤・通学や、大洗への観光客に利用されていて、1時間に2~3本ほど運転されています。大洗~鹿島サッカースタジアム間は列車の本数が少なく、1時間に1本ほどになります。鹿島サッカースタジアム駅は臨時駅のため、大洗鹿島線の列車は、JR鹿島線の鹿島神宮駅まで乗り入れています。
「臨海鉄道」の名称から、海が見える路線と思われがちですが、車窓からはほとんど海を見ることはできません。鹿島灘と霞ヶ浦(北浦)のちょうど中間あたりを南北に走っているため、そのどちらも、ほとんど見えないというわけです。
鹿島臨海鉄道 大洗鹿島線へのアクセス
鹿島臨海鉄道 大洗鹿島線へのアクセスとしては、
- 常磐線・水郡線で水戸駅へ
- 成田線・鹿島線で鹿島神宮駅へ
- 東京駅から高速バスで鹿島神宮駅へ
などが考えられます。
鉄道好きの方なら、JR鹿島線(佐原・香取~鹿島サッカースタジアム)と合わせての乗車がおすすめです。北総の小江戸とも呼ばれる佐原や、水郷地帯であやめが有名な潮来、鹿島神宮など、観光スポットも多くあります。
JR鹿島線については、以下の記事をご覧ください。鹿島線の乗車記に加えて、沿線の観光スポットなども紹介しています。
鹿島臨海鉄道 大洗鹿島線 乗車記
鹿島臨海鉄道 大洗鹿島線の乗車記をお届けします。乗車したのは2018年12月末。今回は、佐原駅からJR鹿島線で鹿島神宮駅までアクセスしました。
※乗車記内の車両やダイヤは2018年12月末に乗車したときのものです。現在は変更になっていることもありますので、ご了承ください。
高架の鹿島神宮駅から出発!
鹿島神宮駅は高架の1面2線のホーム。JR鹿島線から同じホームでの乗り換えができます。
やってきた列車は、新型車両8000形の2両編成。残念ながらオールロングシートです。鹿島臨海鉄道には8000形と6000形という2種類の車両があります。旧型の6000形は、車両は古いですが、転換クロスシートなので、車窓を眺めたいならば6000形のほうがよいでしょう。鹿島鉄道のWebサイトに掲載されている時刻表では、どの列車が新型車両で運転されているかがわかります。
車内はこんな感じです。平日の午後の列車ということもあってか、車内はガラガラでした。ちなみに、新型車両の8000形にはトイレが設置されていませんので、あらかじめ駅で済ませておきましょう。
鹿島臨海鉄道といえば、大洗が舞台となっているTVアニメ「ガールズ&パンツァー」とコラボレーションしたラッピング列車が有名です。JR鹿島線で鹿島神宮駅に到着したときに、ちょうど停車していましたので、撮影してみました。
こちらの列車は1両ということもあってか、あるいは、これを目当てに乗りに来た人が多いのか、座席がほとんど埋まるほど混雑していました。このラッピング列車にどうしても乗車したい!という方は、鹿島臨海鉄道のWebサイトを確認しましょう。1週間単位でラッピング列車の運用が公開されています。
鹿島神宮駅を発車、田畑が目立つのどかな車窓
14時26分に鹿島神宮駅を発車。すぐに左へカーブし、臨時駅の鹿島サッカースタジアム駅を過ぎると、ほぼ北へ進路を取ります。
14時37分、長者ヶ浜潮騒はまなす公園前駅に到着。南阿蘇鉄道高森線にある「南阿蘇水の生まれる里白水高原」駅と並んで、日本一長い駅名として有名です。駅名が長いためか、駅名標も巨大なものとなっています。
沿線は、田畑が広がるのどかな風景が続きます。冬なので、やや殺風景ですが、夏ならば一面緑になるのでしょうか。
そんな中を、大洗鹿島線の気動車は、結構な速度で進んでいきます。ローカル線ではありますが、前述のように比較的新しい路線で、線路が直線的に敷かれています。そのためにスピードを出すことができるのです。さすがに新型気動車、軽快に走行していきます。
北浦を望む内陸部へ
鹿島灘駅、大洋駅と、海が見えそうな駅名の駅が続きますが、残念ながら車窓からは見えません。地図で確認すると、鹿島灘の海岸線から1kmくらい内陸側を走っているようです。
大洋駅を出ると、少し左へカーブして内陸へ。14時55分に北浦湖畔駅に到着します。
駅名のとおり、このあたりは霞ヶ浦を構成する湖の一つ「北浦」の北端部にあたります。進行方向左側(太平洋とは反対側)の車窓から北浦を見ることができます。
大洗鹿島線に乗車する前、JR鹿島線で北浦の南端部を渡ってきましたが、ここまでやってきても、まだ北浦が続いているのですね。それでも、北端に近く、幅がかなり狭まっているところなので、川のようにも見えます。
あまり高くない高架をまっすぐ進んでいきます。2両目の後ろのほうに座っていたので、ときどき最後部から流れゆく車窓を楽しんでいました。
15時ちょうど、中心駅の一つ、新鉾田駅に到着。特に行き違いがあるわけでもないのですが、4分停車ということでホームに降りてみました。
非電化路線の高架ホームには、架線や架線柱がなく、本当に広々として気持ちが良いです。新鉾田で半数くらいの乗客が下車。乗ってくる人は少なく、さらに閑散としてしまいました。
もう一つの湖 涸沼を眺める
15時26分に涸沼(ひぬま)駅に到着。駅名にもなっている涸沼は、涸沼川などが流れ込む湖です。下流側は那珂川と合流してすぐに河口となるため、満潮時には海水が流れ込む汽水湖になっています。
その涸沼を、進行方向左側の車窓から、少しだけ見ることができました。ほんのちょっと湖畔をかすめるくらいのところを走るので、見えるのは短時間です。
車窓から涸沼が見えなくなると、再び海岸線に近づいていきます。残念ながら、ここでも車窓から海を見ることはできません。その代わり、平らな農地の向こうに浮かぶ低い雲を眺めることができました。
沿線の中心駅 大洗へ
15時26分、大洗に到着です。鹿島臨海鉄道の本社や、車庫もある、大洗鹿島線の中心駅です。水戸~大洗は20分に1本くらいの割合で運転されていて、通勤・通学や観光に利用されています。
駅舎も立派です。この駅舎に、鹿島臨海鉄道の本社も同居しています。このときは、大洗で途中下車。大洗の海岸まで散策してきたのでした。
大洗駅は、TVアニメ「ガールズ&パンツァー」の本拠地(?)でもあるので、あちこちでキャラクターたちが出迎えてくれます。といっても、私はこのアニメをあまり見たことがないので、よくわからないのですが…。
ホームの横には、留置線や洗車装置があります。さすがに鹿島臨海鉄道の本拠地です。
日も暮れてきました。夕暮れの駅は、なんとなく哀愁があっていいですね。
旧型車両6000形で水戸駅へ
大洗駅始発の水戸行きに乗車します。旧型の6000形の2両編成でした。車両側面には、大学の広告がでかでかとラッピングされていました。
車内は転換クロスシートが並びます。やはり、汽車旅にはこちらのほうがいいですね! 新型車両(8000形)はどうしてロングシートだけにしてしまったのでしょう?
16時59分に大洗駅を発車。車内はガラガラです。もう暗くなってきて、車窓を撮るのも厳しくなってきましたが、夕焼けがきれいだったので何枚か撮影。
高架から夕焼けを眺めながら、大洗鹿島線の旅が終わります。
以上、鹿島臨海鉄道 大洗鹿島線の乗車レポートをお届けしました。残念ながら列車から海を見ることはできませんが、のどかな農地や湖、そして、水戸に近くなると街並みを眺めることができます。高架なので結構眺めも良く、飽きることはありませんでした。
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