週末に中央本線の新宿~小淵沢間で運転される「ホリデー快速ビューやまなし号」。青春18きっぷで乗れる貴重な長距離快速列車です。全車両が2階建てという、在来線では珍しいタイプの車両で運転されます。この記事では、「ホリデー快速ビューやまなし号」の概要や運転日・ダイヤに加えて、乗車レポートとして、車内の設備や、乗車時の様子をお伝えします。さらに、指定席の取り方や、おすすめの座席についても解説します。
9月19日より2020年の運転を開始しました。
※2020.09.20更新
「ホリデー快速ビューやまなし号」とは?
ホリデー快速ビューやまなし号は、3月~11月の土休日を中心に、中央本線の新宿~小淵沢間で1往復運転される観光客向けの快速列車です。中央線沿線から、大月や甲府、小淵沢方面への観光に便利な時間に運転されます。
「ホリデー快速ビューやまなし」の運転日
「ホリデー快速ビューやまなし」は、3月~11月の土休日を中心に運転されています。
詳細な運転日は以下の通りです。
「ホリデー快速ビューやまなし」のダイヤ・停車駅
「ホリデー快速ビューやまなし」のダイヤと停車駅は以下の通りです。(2020年3月改正ダイヤ)
- | ↓下り | ↑上り |
---|---|---|
新宿 | 09:02発 | 18:55着 |
三鷹 | 09:15発 | 18:39発 |
立川 | 09:29発 | 18:27発 |
八王子 | 09:38発 | 18:18発 |
高尾 | 09:45発 | 18:13発 |
相模湖 | 09:55発 |
18:03発 17:55着 |
大月 |
10:16着 10:17発 |
17:30発 17:29着 |
勝沼ぶどう郷 | 10:39発 | 17:09発 |
塩山 | 10:46発 | 17:05発 |
山梨市 | 10:54発 | 16:59発 |
石和温泉 | 11:00発 | 16:54発 |
甲府 |
11:08着 11:09発 |
16:48発 16:47着 |
韮崎 | 11:23発 | 16:37発 |
小淵沢 | 11:59着 | 16:16発 |
「ホリデー快速ビューやまなし」の座席種別と車両
「ホリデー快速ビューやまなし」は、在来線では珍しいオール二階建ての「215系」という車両で運転されます。
車内の構造は、首都圏の在来線に連結されているグリーン車(普通列車グリーン車)に似ていて、車両の両端に平屋の座席、車両中央部に1階と2階に分かれた座席が並びます。
「ホリデー快速ビューやまなし」の座席種別は以下の通りです。
- 普通車自由席 6両
- 普通車指定席 2両
- グリーン車指定席 2両
「ホリデー快速ビューやまなし号」に乗車するのに必要なきっぷは? 料金は? 青春18きっぷで乗れるのは?
ホリデー快速ビューやまなし号には、3種類の座席があります。それぞれの座席と、必要なきっぷ・料金券は以下の通りです。
- 普通車自由席: 乗車券のみ
- 普通車指定席: 乗車券+指定席券
- グリーン車: 乗車券+グリーン券
普通車指定席またはグリーン車に乗車する場合には、事前に指定席券、グリーン券を購入しておく必要があります。
また、青春18きっぷで乗車できるのは、普通車自由席(青春18きっぷのみで乗車可能)、普通車指定席(青春18きっぷ+指定席券で乗車可能) です。グリーン券を購入したとしても、青春18きっぷではグリーン車には乗車できません。
主な区間の料金は以下の通りです。
区間 | 普通車自由席 | 普通車指定席 | グリーン車 |
---|---|---|---|
新宿~大月 | 1,340円 |
1,870円 (530円) |
2,340円 (1,000円) |
新宿~甲府 | 2,310円 |
2,840円 (530円) |
4,010円 (1,700円) |
新宿~小淵沢 | 3,080円 |
3,610円 (530円) |
5,070円 (1,990円) |
※普通車指定席・グリーン車の料金は上段が合計、下段(カッコ内)は指定席券・グリーン券の料金
「ホリデー快速ビューやまなし号」と特急あずさ・かいじ、どっちがおトク?
ホリデー快速ビューやまなし号が走る中央本線には、特急「あずさ」「かいじ」が頻繁に運転されています。ホリデー快速ビューやまなし号は、特急と比べてもお得なのでしょうか?
【ホリデー快速ビューやまなし号と特急あずさ・かいじの料金比較】
区間 |
普通車 自由席 |
普通車 指定席 |
グリーン車 |
特急 普通車 |
特急 グリーン車 |
---|---|---|---|---|---|
新宿~大月 | 1,320円 |
1,870円 (530円) |
2,340円 (1,000円) |
2,360円 (1,020円) |
2,880円 (1,540円) |
新宿~甲府 | 2,310円 |
2,840円 (530円) |
4,010円 (1,700円) |
3,890円 (1,580円) |
5,460円 (3,150円) |
新宿~小淵沢 | 3,080円 |
3,610円 (530円) |
5,070円 (1,990円) |
5,320円 (2,240円) |
6,890円 (3,810円) |
※上段が合計、下段(カッコ内)は指定席券・グリーン券・特急券等の料金
特急列車の普通車、グリーン車の料金を表に加えると、このようになります。
ホリデー快速ビューやまなし号のグリーン車と、特急列車の普通車は、あまり料金の差がないことがわかります。差がないどころか、新宿~甲府間に至っては、特急列車の普通車のほうが安くなっています。
座席の広さは、ホリデー快速ビューやまなし号(215系)のグリーン車と、特急あずさ・かいじ(E353系)の普通車は、ほぼ同等と思ってよいでしょう。特急あずさ・かいじの車両は、新しいE353系という車両で、WiFiやコンセント等も装備されています。網棚や荷物置き場もあり、総合的には、特急列車の普通車のほうが、設備的には上だと思われます。
そのため、あえて、ホリデー快速ビューやまなし号のグリーン車を選択する必要はなさそうです。
中央本線の特急列車(E353系)の普通車の車内設備については、以下の記事で詳しく紹介しています。
「ホリデー快速ビューやまなし号」は中央本線で青春18きっぷで乗車できる貴重な長距離列車!
ホリデー快速ビューやまなし号の一番のメリットは、ボックスシートながら指定席があること でしょう。
普通車指定席の料金は、特急列車の普通車よりもかなり安いです。さらに、前述のとおり、青春18きっぷ+指定席券でも乗車できます。
そのため、おすすめの利用方法としては、
- 青春18きっぷシーズンに、青春18きっぷ+指定席券で普通車指定席を利用(繁忙期でも座れない心配がない)
- 始発駅から乗車する場合には普通車自由席を、始発駅以外(特に繁忙期や観光シーズン)から乗車する場合には普通車指定席を利用
となります。
中央本線では、立川や高尾からであれば、比較的長距離を走る列車があるのですが、新宿からは特急列車以外はありません。そんな中で、土休日限定とはいえ、新宿~甲府・小淵沢間を、乗り換えなしで移動できるホリデー快速ビューやまなし号は、旅費を少しでも安くしたい場合には重宝するでしょう。
また、特急列車が停車しない相模湖、勝沼ぶどう郷へ新宿から直通する列車としても貴重です。勝沼ぶどう郷には、観光シーズンには一部の特急列車が停車しますが、「ホリデー快速ビューやまなし」は全ての運転日で停車します。特急列車、普通列車いずれを利用しても乗り換えが必要となる駅へ直通してくれるのはありがたいですね。
「ホリデー快速ビューやまなし号」の車内設備
ホリデー快速ビューやまなし号の特徴は、215系という2階建て車両で運転されることでしょう。もともとは、東海道線などの通勤用に開発された車両ですので、あまり観光客向けの設備は整っていません。
そうはいっても、中央本線を走る普通列車に比べれば乗り心地は良いですし、そもそも、新宿から大月より先、甲府や小淵沢まで、乗り換えなしで済むのはありがたいです。
以下では、ホリデー快速ビューやまなし号の座席を中心に、設備面を見ていきましょう。
普通車はボックスシート
ホリデー快速ビューやまなし号は10両編成ですが、そのうち8両は普通車です。その普通車の座席は、ボックスシート、つまり、二人並びのシートが向かい合わせになったタイプの座席です。
このようなボックスシートですので、前の人とは向かい合わせに座ることになります。座り心地は悪くはないですが、普通列車のボックスシートと同じくらいの広さですので、前の座席に人が座ると、足元はかなり窮屈です。
それでも、車窓を眺めたいのなら、ロングシートよりも、断然ボックスシートのほうが良いです。
荷物を置くスペースは少ない
2階建て車両の宿命ですが、床から天井までの高さが低いため、網棚がありません。
申し訳程度に、このような荷物置き場が頭上に設置されていますが、小さなカバンや上着を置いたら、それでいっぱいです。これがボックスに一つ、つまり4名で1つしかありませんので、ほとんど荷物を置くことはできないと思ったほうがよいでしょう。
荷物が多い場合は平屋の座席がおすすめ
各車両の両端の部分は平屋構造になっています。座席は、2階構造になっている部分と同じボックスシートですが、この部分は天井が高く、網棚があります。大きな荷物を持っている場合には、平屋の席を確保したほうがよさそうですね。
景色がよい2階席、落ち着いた雰囲気の1階席
出入口の扉があるのは平屋の部分になります。その扉のあるデッキから、数段の階段を上がると2階席、階段を降りると1階席になります。
2階席は眺望が良いので人気です。景色を眺めたい方は、2階席がおすすめです。
一方、1階席は、2階席よりも乗客が少ないことが多いので、2階席より落ち着いた雰囲気です。車内でゆっくり休みたい、のんびりしたい、という方は、1階席が良いでしょう。
「ホリデー快速ビューやまなし号」おすすめの座席は?
ホリデー快速ビューやまなしの普通車には、前述のとおり、普通車指定席が2両、グリーン車指定席が2両あります。指定席を確保しておくのであれば、どの座席がよいのでしょうか?
普通車はA席・D席が窓側!
普通車はボックスシートのため、新幹線や特急列車とは座席番号の付け方が異なります。
列車 | 窓側の座席 | 前向きの座席 | 南側 | 北側 |
---|---|---|---|---|
下り 小淵沢行き |
A席・D席 | C席・D席 | 奇数席 | 偶数席 |
上り 新宿行き |
A席・D席 | A席・B席 | 奇数席 | 偶数席 |
※南側の主な車窓: 甲府盆地(勝沼ぶどう郷付近)、南アルプス・富士山(甲府~小淵沢付近)
※北側の主な車窓: 八ヶ岳(小淵沢付近)
どの座席番号でも、A席とD席が窓側になります。B席・C席は通路側です。
ボックスシートですので、前向き、後向きの座席がありますが、下り列車(新宿→小淵沢)はC席・D席が、上り列車(小淵沢→新宿)はA席・B席が前向きの座席になります。
つまり、窓側の前向きの座席を確保したければ、
- 下り列車(新宿→小淵沢): D席
- 上り列車(小淵沢→新宿): A席
を指定すればよいことになります。
JR東日本のインターネット予約サービス「えきねっと」では、シートマップでの座席の指定はできませんが、A席~D席を指定することはできますので、車窓を楽しみたければ、窓側の前向きの座席を指定するとよいでしょう。
グリーン車もA席・D席が窓側!
列車 | 窓側の 座席 |
前向き の座席 |
南側 | 北側 |
---|---|---|---|---|
下り 小淵沢行き |
A席・D席 | 全席 | A席 | D席 |
上り 新宿行き |
A席・D席 | 全席 | A席 | D席 |
グリーン車は、新幹線や特急列車と同じようなリクライニングシートになります。座席の向きが変えられるシートですので、全てのグリーン席が前向きの座席になっています。
一方、常に、南側がA席、北側がD席となります。
「ホリデー快速ビューやまなし号」の指定席券・グリーン券の購入方法
座席の配置を理解したところで、次は、指定席券・グリーン券の購入方法をご紹介しましょう。
ホリデー快速ビューやまなし号の指定席券・グリーン券は、主に以下の方法で購入ができます。
- 駅のみどりの窓口で購入
- 駅の指定席券売機で購入
- JR東日本のインターネット予約サービス「えきねっと」で購入(駅で受け取り)
窓口で購入する場合には、座席のリクエストをすれば、該当する座席があるかを探してくれるでしょう。例えば、2階席が良い、窓側が良い、A席が良い、などです。平屋部分の座席を確保したい場合には、窓口でリクエストしましょう。
駅の指定席券売機とえきねっとで購入する場合には、自分で座席の指定をしなくてはなりません。指定席券売機は確認できていませんが、「えきねっと」では、以下の指定ができます。
- 1階席、2階席
- 窓側
- 通路側
- A~D席の指定
1階席か2階席かは、列車を選択する画面で
- ビューやまなし号(1階)
- ビューやまなし号(2階)
と出てきますので、この段階で選択します。
その次の座席指定の画面では、窓側、通路側、A~D席の指定ができます。普通車指定席で車窓を眺めたいなら、進行方向前向きの窓側の座席がおすすめです。その場合には、前述の通り、下り列車(新宿→小淵沢)ならD席、上り列車(小淵沢→新宿)ならA席を指定しましょう。
なお、えきねっとで購入したら、乗車前に、駅の窓口か指定席券売機で指定席券・グリーン券を受け取りましょう。
「ホリデー快速ビューやまなし号」(上り列車)乗車レポート
2019年3月の土曜日、ホリデー快速ビューやまなし号の上り列車に、始発の小淵沢駅から、終点の新宿駅まで乗車しましたので、そのときの様子をお伝えします。
小淵沢駅への入線は発車5分前!
ホリデー快速ビューやまなし号(上り)は、小淵沢駅を16時16分に発車しますが、ホームへの入線時刻は16時11分頃、出発の5分前でした。
小淵沢駅の2番線、中央本線の上りホームからの発車です。3月ということで、小淵沢周辺は観光シーズンではありません。ときおり、雪が舞うような天候です。そんな時期ですので、始発の小淵沢駅のホームに並んでいたのは、各ドアに4~5名といったところでした。
乗車したのは6号車の普通車指定席の2階席です。小淵沢出発時点の乗車率は上の写真のように、各ボックスに1名いるかいないか、くらいでした。
もっとも、ゴールデンウィークや夏休みの観光シーズンになると、かなり混雑するのではないかと思います。
甲府・大月では多くの乗車あり
小淵沢を出て、韮崎に停車。進行方向左側の車窓には、韮崎の町の向こうに茅ヶ岳が見えます。
韮崎の次は甲府に停車。甲府では、比較的多くの乗車があり、多くのボックスで2~3名が座るくらいの乗車率に。それでも、指定席にはまだ空席が目立ちます。
石和温泉、山梨市、塩山にも停車。各駅で少しずつ乗車がありました。
途中、甲斐大和駅で数分停車。後続の特急あずさ26号に先を譲ります。いわゆる運転停車なので、ドアは開きません。こちらは快速列車なので、特急に抜かれることもありますが、上りのホリデー快速ビューやまなし号が特急に抜かれるのは、あずさ26号だけのようです。他の駅での運転停車はありませんでしたし、停車駅の停車時間も1分程度と短いものでした。
大月でも乗車あり
17時39分、大月に到着。富士山観光のメッカ、富士急行線からの乗換駅ということもあり、ここでもそれなりの乗車がありました。それでも、指定席はまだ空席がありました。私の座っていたボックスには、結局、終点まで、私以外には誰も乗ってきませんでしたし。
高尾・八王子からの乗車は自由席のみ
高尾から先は、徐々に下車していく人が増えてきます。とはいえ、ホリデー快速ビューやまなし号は、あくまで「快速」列車ですので、自由席であれば、乗車券のみで乗車できます。
八王子や立川から、間違えて指定席に乗ってしまって、車掌に自由席は8号車ですよ、と言われている乗客がちらほら。
もっとも、快速電車の走る区間では、この列車に乗っていいものかどうか、迷っている人が多そうに見えました。まあ、ロングシートの快速電車(E233系)とは、外観も設備も全く違いますし、特急が頻繁に走る路線でもありますので、乗車券だけでは乗れない列車だと思われても仕方がないでしょう。
指定席のほとんどの乗客が終点の新宿まで乗車
たまたまかもしれませんが、私の乗っていた指定席(6号車2階席)の乗客のほとんどは、終点の新宿まで乗車していました。青春18きっぷのシーズンですし、旅慣れた方や、私のような乗り鉄の方が多かったのかもしれません。
終点、新宿駅には18時55分に到着。成田エクスプレスなどの特急列車が発着する6番線に到着しました。
小淵沢からは2時間半以上の長旅となりますが、幸いにボックスを独り占めできたので、疲れはありませんでした。
以上、『【ホリデー快速ビューやまなし 乗車レポート】 青春18きっぷで乗れる中央本線の貴重な長距離快速列車! ダイヤ・料金、おすすめの座席、指定席の取り方も紹介します!』をお届けしました。中央本線では、いまや貴重な青春18きっぷで指定席に乗車できる快速列車です。土休日にコンスタントに運転されていますので、利用しやすいですね。
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観光列車や新しい特急列車などをはじめ、当ブログではさまざまな列車の乗車レポートを掲載しています。
コメント
指定席券売機ではおそらくシートマップで選択できると思います。
リゾートやまどりやボックスシートのSLではシートマップで選択できるので
メニューではA~Dで選択かシートマップで選ぶ感じですね
toburailwayKunさん、コメントありがとうございます。
指定席券売機ではシートマップで指定できるのですね。
ボックスシートだと希望の席がどこだかわかりづらいので、シートマップで指定できるのはありがたいですね。