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JR北海道が新函館北斗~札幌間の時速320km運転を国交省に要請! 北海道新幹線 東京~札幌「4時間の壁」を越えられるか?

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JR北海道が、北海道新幹線の新函館北斗~札幌間を自社負担で高速化し、時速320kmでの運転ができるようにすることを国土交通省に要請しました。時速260kmに制限された整備新幹線区間での高速化の取り組みは初めてですが、東京~札幌の所要時間を少しでも短縮し、航空機に対する競争力の強化を狙います。

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JR北海道が新函館北斗~札幌間の高速化を国土交通省に要請

JR北海道は、2019年5月13日に、北海道新幹線の新函館北斗~札幌間を自社負担で高速化し、時速320kmで運転できるようにすることを国土交通省に要請しました。

概略は以下の通りです。

  • 区間: 北海道新幹線 新函館北斗~札幌間
  • 最高速度: 時速320km
  • 費用負担: 約120億円(JR北海道試算、今後精査)
    • 現計画(最高速度 時速260km)の工事費との差額をJR北海道が負担
  • 追加で必要となる工事内容
    • トンネル区間(約170km): 約30箇所のトンネル坑口に設置される緩衝工を延長
    • トンネル以外の区間(約42km): 約30kmで防音壁をかさ上げ、高架橋の強度を増強
  • 時間短縮効果: 5分程度
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整備新幹線区間の最高速度向上は初の取り組み

北海道新幹線は、整備新幹線という枠組みを用いて建設されています。

整備新幹線は、簡単に言うと以下のような仕組みです。

  • 鉄道・運輸機構1が整備新幹線を建設
  • 建設に伴う工事費用は、国が3分の2、地方自治体が3分の1を負担2
  • 開業後に新幹線を運行するJRが、鉄道・運輸機構に設備の利用料(貸付料)を支払う

このように、鉄道・運輸機構が建設した設備をJRが借り受けて新幹線を運行することになります。

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新函館北斗駅から先は現在工事中

整備新幹線は、最高速度が時速260kmで計画されています。これまで開通している、北海道新幹線(新青森~新函館北斗)、東北新幹線(盛岡~新青森)、北陸新幹線(高崎~金沢)、九州新幹線(博多~鹿児島中央)は、いずれも最高速度が時速260kmになっています。

2031年度に開業を計画している北海道新幹線の新函館北斗~札幌間も同様です。

今回のJR北海道の要請は、新函館北斗~札幌間の最高速度を、計画時の時速260kmから、時速320kmに引き上げることを目指したものになります。もともと時速260km運転で計画されていたため、時速320kmで運転をするためには、設備の増強が必要になりますが、その部分をJR北海道が負担。その負担額が(現在のところ)120億円程度、ということです。

整備新幹線として建設された区間の最高速度を引き上げる取り組みは、今回が初めてです。

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東京~札幌間4時間半を目指して

もともとの計画では、東京~札幌間の所要時間は5時間1分とされていました。

これでは、航空機に対する競争力はほとんどありません。東海道・山陽新幹線の東京~博多間の所要時間が約5時間ですが、新幹線のシェアは1割未満です。

一般的には、「4時間の壁」と言われ、所要時間が4時間を切ると、新幹線と航空機のシェアが逆転すると言われています。

東京~札幌間で4時間を切るのは容易ではありませんが、

  • 東京(羽田)~札幌の航空機の旅客数は年間約900万人で国内一のドル箱路線
  • 札幌~新千歳空港間は快速エアポートで40分弱を要する

といったことを考慮すると、4時間半まで短縮して、シェアの2~3割でも奪えれば、JR北海道の経営が改善すると見ているのではないでしょうか。実際に、JR北海道の経営再建計画では、東京~札幌間の所要時間を4時間半に短縮することを目指すとしています。

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JR北海道の自立には非常に重要な取り組み

北海道新幹線の時速320km運転が実現できても、時間短縮効果はわずか5分。5分短縮のために、経営難に瀕しているJR北海道が120億円も投資すべきなのかという疑問もあります。

これに関しては、個人的には、必要な投資だと思っています。

JR北海道は、現在、国からの支援を受けていますが、その前提となる経営再建計画では、2031年の北海道新幹線札幌延伸時に、経営の自立を実現することになっています。それ以降は国などからの支援は得られなくなるわけです。

人口減少が最も早く進んでいる北海道ですから、北海道新幹線の札幌延伸開業までの間は、大幅な増収が見込める予定はありません。おそらく、少しずつ収入も減っていくでしょう。

そうなると、JR北海道の命運を左右するのは、北海道新幹線の札幌延伸時に、東京(関東)~札幌のシェアを、航空機からどれだけ奪えるか、ということになります。そのためには、たとえ数分とはいえ、所要時間の短縮を積み重ねていくことがきわめて大事になってきます。

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次世代新幹線の時速360km運転で4時間切りは可能か?

JR東日本は、2019年5月から、次世代新幹線の試験車両「ALFA-X」を用いた走行試験を開始しています。「ALFA-X」では、現在、最高速度が時速320kmとなっている宇都宮~盛岡間で、営業時の最高速度を時速360km/hに引き上げることを目指しています。

それ以外にも、既に実施されている、あるいは、発表されている計画としては、

  • 北海道新幹線 青函トンネル区間の高速化(2019年3月に時速140km→160km)
  • 東北新幹線 上野~大宮間の高速化(時速110km→130kmに引き上げ予定)

があります。さらに、一部報道では、東北新幹線 盛岡~新青森間の整備新幹線区間でも、時速260km→320kmの高速化を実施する方針であることが報じられています。

これらを合わせると、東京~札幌間の所要時間はどこまで短縮できるでしょうか?

区間 最高速度 時短効果 備考
青函トンネル 140km→160km 4分 2019年3月実施
上野~大宮 110km→130km 1分 2021年頃
宇都宮~盛岡 320km→360km 10分? 未定 ※1
新函館北斗~札幌 260km→320km 5分 札幌延伸時
盛岡~新青森 260km→320km 5分? 未定 ※2
合計 約25分

※1: 時速275km→320kmで約10分短縮(E2系はやて→E5系はやぶさの置き換えによる実績)と同等の時短効果を想定
※2: ※1と同様に、距離比例で約半分の時短効果を想定

時短効果は合計で約25分。JR北海道が目標としている4時間半に近づけることはできそうですが、4時間まではまだまだといったところでしょうか。

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さらに所要時間の短縮が可能だとすれば、盛岡~新青森、新函館北斗~札幌も、次世代新幹線で時速360kmを実現し、約10分程度の短縮。ここまで実現すれば、4時間半を確実に切ることはできそうです。

あとは、青函トンネルで時速200km超の運転が実現できるかですが、こちらは今のところ見込みは立っていないようです。貨物列車が走らない一部の時間帯のみ時速210kmで運転する計画もありますが、大半の時間帯で貨物列車が走っていますので、実現できたとしてもごく一部の列車に限られそうです。

現在見えている計画や考えられる施策だけでは、「4時間の壁」を超えるところまでたどり着くのは、かなりハードルが高そうですね。


以上、『JR北海道が新函館北斗~札幌間の時速320km運転を国交省に要請! 北海道新幹線 東京~札幌「4時間の壁」を越えられるか?』でお届けしました。整備新幹線区間の最高速度の引き上げが実現されれば、画期的なことです。JR北海道と鉄道・運輸機構の調整の行方を見守っていきたいですね。


  1. 正式名称は「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構」

  2. 地方債の起債、償還時の地方交付税措置が認められ、実質負担は約12~18%

鉄道ニュース鉄道ニュース-JR北海道
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この記事を書いた人
乗り鉄歴25年!
ひさ

乗り鉄歴25年! 青春18きっぷやフリーきっぷを利用して、関東甲信越、北海道、東北によく乗り鉄に出かけます。このブログでは、これまでの乗り鉄経験を活かして、おすすめの列車や路線、お得なきっぷの情報などを掲載しています。

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