「HIGH RAIL 1375」は、高原路線として有名な小海線を走る観光列車です。現在、週末を中心に、「1号」「2号」「星空」の3本が運転されています。車両はすべて同じですが、車内の雰囲気など、驚くほど違う印象の列車になっています。実際に3本の「HIGH RAIL」に乗車してみましたので、その違いやおすすめ度を紹介してみます。
「HIGH RAIL 1375」は1日3本運転されている
「HIGH RAIL 1375」は、小海線の小淵沢~小諸で運転されている観光列車です。
その特徴は、
- 小海線の雄大な車窓を楽しめるゆったりとした座席に大きな窓
- 事前予約制のお弁当の提供
- 飲み物(お酒含む)や軽食を購入できる販売カウンター
など、乗車券+指定席券(840円)でカジュアルに乗車できる観光列車としては十分な内容です。
「HIGH RAIL 1375」の車内設備や、予約方法などは、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
「HIGH RAIL 1375」は主に週末に運転されますが、運転日には、小淵沢発小諸行きの「1号」「星空」と、小諸発小淵沢行き「2号」の合計3本が運転されています。
- HIGH RAIL 1号: 小淵沢 10:39発 → 小諸 12:53着
- HIGH RAIL 2号: 小諸 14:46発 → 小淵沢 16:59着
- HIGH RAIL 星空: 小淵沢 19:22発 → 野辺山 19:58着/20:41発 → 小諸 21:59着
同じ路線を、同じ車両で走るのだから、どれに乗っても同じでしょ? と思うかもしれませんが、そんなことはありません。小海線の車窓は場所によって全く異なることや、「HIGH RAIL 1375」車内でのイベントのタイミングや内容、それに、起点となる小淵沢駅や小諸駅、佐久平駅などへのアクセスの違いなどから、受ける印象はかなり違ってきます。
どれが良い、どれが悪い、ということはなく、それぞれ特徴がありますので、この記事では、実際に3本の列車に乗車してみた筆者が、そのときの車内の様子や、列車の雰囲気から受けた印象などから、それぞれの違いについて紹介してみます。
夏の小海線の車窓を楽しむなら「HIGH RAIL 1号」、初乗車にもおすすめ!
初めて小海線に乗る方や、初めて「HIGH RAIL 1375」に乗る場合には、午前中に小淵沢駅を発車して高原区間を走る「HIGH RAIL 1号」がおすすめです。
- HIGH RAIL 1号: 小淵沢 10:39発 → 小諸 12:53着
雲が湧く前の八ヶ岳を眺められる!
「HIGH RAIL 1号」は、午前中に小淵沢駅を出発して、野辺山駅にお昼前には到着します。
野辺山高原から眺める八ヶ岳は、小海線の車窓のハイライト! もちろん、天候にもよりますが、晴れている夏の日でも、午後になると雲が湧いてくることが多いです。車窓から八ヶ岳を眺めたいなら、午前中に野辺山駅に到着する「HIGH RAIL 1号」が絶対におすすめです。
標高差500メートル! 森から高原への劇的な車窓の変化を味わえる!
小海線に初めて乗車するなら、小淵沢駅から乗車するのがおすすめです。
というのも、小淵沢駅から野辺山駅まで、所要時間は30分ちょっとながら、標高差は500メートル近くにもなります。つまり、小淵沢駅を出ると、一気に勾配を登っていくのです。
小淵沢駅から、野辺山駅の一つ手前の清里駅までは、基本的に森の中を走りますので、あまり眺望は良くありません。ところが、勾配を登り切った瞬間、ちょうど「JR鉄道最高地点」の踏切があるあたりで、一気に視界が開けて、前述の高原の風景が広がるのです。
小海線の醍醐味の一つが、この劇的な車窓の変化。これを味わえるのは、日中時間帯に小淵沢駅を出る「HIGH RAIL 1号」だけなのですね。
車窓、長時間停車、そして、ブランチの流れが完璧!
※2024年現在は、予約できる内容が異なっています。
「HIGH RAIL 1375」は、事前予約で提供される軽食が異なっていたり、駅での長時間停車のイベントが異なるなど、列車ごとに特徴があります。
3つの「HIGH RAIL 1375」を、いずれも始発駅から終着駅まで乗車した経験からすると、「HIGH RAIL 1号」のイベントの流れが素晴らしいです。
- 小淵沢駅出発から野辺山駅までは、高原の風景や八ヶ岳、「JR鉄道最高地点」などの車窓のハイライトが目白押し
- 野辺山駅では長時間停車があり、高原の爽やかな空気の中での写真撮影
- 野辺山駅を出発すると、(予約してあれば)ブランチセットでランチ!
- 2024年5月現在、「HIGH RAIL 1号」では「小海線高原ブランチ」を事前予約できます
- 事前予約していない場合には、「HIGH RAIL 1号」の乗車前に、小淵沢駅の売店「MASAICHI」で丸政のお弁当を購入するのがおすすめです
こんな感じで、なかなか退屈する暇がありません。
車窓やイベントのハイライトが前半に詰め込まれていて、後半はややトーンダウンするかもしれませんが、おなかもいっぱいになったところで、車窓を眺めながらうたたね、なんてこともできますね。
東京からのアクセスは抜群! ただし最も人気の高い列車
「HIGH RAIL 1号」の小淵沢発は午前10時39分。新宿駅を午前8時に出発する特急「あずさ5号」に乗れば、小淵沢駅には9時53分に到着します。新宿駅午前8時発というのは、早くもなく、遅くもなく、旅行に出るにはちょうど良い時間なのですね。
さらに、「HIGH RAIL 1号」は、終点の小諸駅に13時前に到着します。まだお昼過ぎの早い時間帯ですので、このあとの観光も十分にできます。
小諸駅周辺で、懐古園や町並みを観光しても良いですし、軽井沢方面に出ても良いでしょう。一泊旅行なら、しなの鉄道沿線の温泉地に泊まっても良いですし、しなの鉄道線に乗れば、1時間ほどで長野駅に到着します。
ということで、「HIGH RAIL 1号」は、東京方面からのアクセスは、時間帯も含めて抜群に良いですし、そのあとの観光も楽しむことができます。
そんな「HIGH RAIL 1号」の唯一のデメリットは、「HIGH RAIL 1375」の3本の列車の中で、最も人気が高く、夏休みや連休などの観光シーズンには、早々に指定席券が売り切れてしまうことでしょうか。
もっとも、「HIGH RAIL」は、全車指定席ですから、指定席券さえ早めに入手しておけば何の心配もいりません。とにかく、早めに旅行の日程を決めて、早めに指定席券を予約・購入しておくことが重要ですね。
「HIGH RAIL 1号」の乗車記は、以下の記事をご覧ください。ブランチセットもつけてみました。
空いている「HIGH RAIL 2号」、のんびりと小海線を楽しみたい方におすすめ!
「HIGH RAIL 2号」は、「HIGH RAIL 1号」とは違い、比較的空いていることが多いです。小海線に乗りなれた方や、観光列車とはいえ、のんびりと小海線の旅を楽しみたい方にはおすすめです。
- HIGH RAIL 2号: 小諸 14:46発 → 小淵沢 16:59着
のんびり旅にはピッタリの「HIGH RAIL 2号」
「HIGH RAIL 2号」は、繁忙期でない限り、比較的空いていることが多いです。2024年現在、「HIGH RAIL 2号」は事前予約でのお食事や軽食を付けることができませんので、小諸駅周辺などでランチを済ませてから乗車すると良いでしょう。
長閑な佐久平の田園風景、その後は、蛇行する千曲川を眺めながらの旅が続きます。車内の販売カウンターで、お酒とおつまみでも購入して、車窓を肴に「呑み鉄」するのにもちょうどよい列車です。
ホームに降りて写真撮影などを楽しめるのは野辺山駅のみです。野辺山駅では10分ほどの停車時間があり、改札の外にも出ることができます。わずかな時間ではありますが、高原の空気を味わうことができますね。
指定席券が比較的取りやすい!
比較的空いているので当たり前なのですが、繁忙期でない限り、「HIGH RAIL 2号」の指定席券は比較的購入しやすいです。
2019年8月の金曜日に乗車しましたが、
- 1週間前に「えきねっと」で予約したときには1号車のシングルシート(一人用の座席)がまだ残っていた
- 平日とはいえ、夏休みの金曜日に、乗車率は半分程度で、車内はまったりムード
という感じでした。
「HIGH RAIL 2号」の始発駅となる小諸駅は、東京方面からはアクセスしにくいですし、途中の佐久平駅へは北陸新幹線でアクセスできるものの、旅行に出発するには時間帯がやや遅いという理由もありそうです。
とはいえ、午前中に軽井沢や小諸を観光して、小海線~中央本線経由で帰京するといった日帰り旅も十分に可能ですし、長野方面への1泊旅行の帰りに「HIGH RAIL 2号」に乗車するのもありだと思います。
ミニプラネタリウム・星空観賞会などのイベントが充実「HIGH RAIL 星空」
「HIGH RAIL 星空」は、車窓を楽しむ「HIGH RAIL 1号」「HIGH RAIL 2号」とは全く異なり、夜間に運転されるため、ほとんど車窓を眺めることができません。
その代わり、車内でミニプラネタリウムが開催されたり、野辺山駅前広場での「星空観賞会」があったりと、イベント重視の列車になっています。
小海線のメインディッシュの車窓を捨てるわけですから、なかなか思い切った観光列車です。そういう意味では、小海線に乗ったことのある方が対象かもしれません。
- HIGH RAIL 星空: 小淵沢 19:22発 → 野辺山 19:58着/20:41発 → 小諸 21:59着
野辺山駅で「星空観賞会」を開催
「HIGH RAIL 星空」はイベント重視の列車。その中でも、ハイライトは、野辺山駅での「星空観賞会」です。
「HIGH RAIL 星空」には、「星空案内人」が同乗しています。野辺山駅での星空観賞会では、その季節の星座や、その時に見える惑星などについての解説を聞きながら、星空を眺めることができます。
「星空」の鑑賞ですので、天候に左右されます。野辺山は、高原地帯で、周囲を山に囲まれていることもあり、平野部に比べると天気の移り変わりが早いです。
こればかりは運ですので、雨や雪、曇りなどで、星空を全く眺めることができなかったら、素直にあきらめましょう。逆に、晴れていれば、天の川までバッチリ見えるほどの満天の星空を満喫できます。
車内でミニプラネタリウムを開催
時間的には前後しますが、小淵沢駅から野辺山駅に到着するまでの間に、2号車の車端部にあるミニプラネタリウムで星座の解説があります。同乗している星空案内人が解説をしてくれます。
「HIGH RAIL 星空」乗車時に、ミニプラネタリウムの整理券が配られます。ミニプラネタリウムがあるスペースが小さく、数人しか入れないため、何回かに分けて開催されるのです。
その解説を聞いたあと、先ほど紹介した野辺山駅での星空観察会に臨むという流れですね。ここで、満天の星空を眺めることができればいうことはありません。
山梨旅行の帰路に最適!
「HIGH RAIL 星空」の小淵沢駅の発車時刻は19時22分。真夏であっても、野辺山駅に到着するころには暗くなる時間帯の運転です。
「HIGH RAIL 星空」の乗車後は、
- 佐久平駅から北陸新幹線で東京方面や長野方面へ帰宅(移動)
- 小諸駅や佐久平駅周辺の宿に宿泊
のどちらかになるでしょう。
佐久平駅や小諸駅への到着が22時近くになってしまいますので、温泉宿などへのチェックインにはちょっと遅い時間帯です。
甲府や小淵沢などの山梨観光のあと、「HIGH RAIL 星空」に乗車して、佐久平駅から北陸新幹線で帰宅というのがおすすめです。ちょっと帰宅が遅くなってしまいますが……。
「HIGH RAIL 星空」の乗車記は、以下の記事をご覧ください。車内でのイベントも詳しく紹介しています。
【まとめ】「HIGH RAIL 1375」おすすめ列車はこれだ!
ということで、各列車の特徴を紹介してきましたが、ここでまとめておきます。
列車 | おすすめポイント |
---|---|
HIGH RAIL 1号 | 小海線の車窓を満喫するのに最適! 迷ったら「1号」で間違いなし! |
HIGH RAIL 2号 | 比較的空いている ローカル線ののんびり旅を 満喫したい方にはおすすめ! |
HIGH RAIL 星空 | イベント重視! 満天の星空は運次第! 山梨旅行の帰路におすすめ! |
どれに乗ればよいか迷ったら、「HIGH RAIL 1号」が間違いないです。ただ、前述のとおり、東京方面からのアクセスや時間帯が良いので、一番人気の高い列車です。早めに予定を立てて、指定席券を確保するようにしましょう。
のんびり旅なら「HIGH RAIL 2号」、山梨旅行の帰路に楽しむなら「HIGH RAIL 星空」が良いでしょう。
どの「HIGH RAIL 1375」に乗車するかを決めたら、以下の記事を参考に旅行の計画を立てましょう。以下の記事では、「HIGH RAIL 1375」の指定席の予約方法やおすすめの座席、車内で提供される軽食の予約方法などを紹介していますので、ぜひご覧ください。
以上、『小海線の観光列車「HIGH RAIL」1号、2号、星空、どれがおすすめ? 3本乗り比べてみた違いを紹介します!』でした。どれに乗っても楽しめることは間違いありませんが、何を重視するかによって、おすすめの列車を決めてみてはいかがでしょうか?
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小海線の車窓を紹介した記事です。「HIGH RAIL 1号」「HIGH RAIL 2号」であれば、以下の記事と同じ車窓を眺めることができますので、乗車前の予習にぜひご覧ください。
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