北陸新幹線「新幹線eチケット」利用者限定で、北陸の広いエリアが2日間乗り放題となるフリーきっぷが「北陸周遊乗車券」です。フリーエリアは直江津~長浜と非常に広いうえに、えちごトキめき鉄道、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道などの第三セクター路線にも乗車できて、使い勝手、お得度ともに抜群です。北陸への鉄道旅行には絶対おすすめのフリーきっぷです。
※「北陸周遊乗車券」は2023年3月末で発売を終了します。詳しくはこちらをご覧ください。
「北陸周遊乗車券」とは?
「北陸周遊乗車券」は、北陸の広いエリアの普通列車(普通車自由席)に2日間乗り放題となるフリーきっぷです。北陸新幹線を「新幹線eチケット」(えきねっとトクだ値含む)を利用して、糸魚川~金沢間に到着した乗客のみが購入することができます。
- 利用期間: ~2023年3月31日(金)利用開始分まで
- 発売期間: ~2023年3月31日(金)
- 北陸新幹線乗車日の当日または翌日のみ発売
- 有効期間: 2日間
- 発売箇所: 金沢駅・新高岡駅・富山駅・黒部宇奈月温泉駅・糸魚川駅
- 発売条件
- 北陸新幹線にJR東日本の「新幹線eチケット」(「えきねっとトクだ値」等の割引きっぷを含む)を利用して乗車
- 東京~上越妙高間を発駅、糸魚川~金沢間を着駅とする場合のみ
- 対象区間の「新幹線eチケット」を購入したことがわかる画面プリント(印刷したもの)や、スマートフォンの画面を提示した場合に発売
- フリーエリア
- JR西日本
- 北陸本線(金沢~長浜)
- 越美北線(越前花堂~九頭竜湖)
- 小浜線(敦賀~青郷)
- 七尾線(七尾~津幡)
- 城端線(高岡~城端)
- 氷見線(高岡~氷見)
- 高山本線(富山~猪谷)
- 大糸線(糸魚川~中土)
- IRいしかわ鉄道: 全線(金沢~倶利伽羅)
- あいの風とやま鉄道: 全線(倶利伽羅~市振)
- えちごトキめき鉄道: 日本海ひすいライン全線(市振~直江津)
- のと鉄道: 七尾~和倉温泉
- JR西日本
- きっぷの効力
- フリーエリア内の普通列車の普通車自由席に乗り放題
- 別途、特急券を購入すれば、特急列車にも乗車可能(北陸新幹線には乗車できない)
- おねだん: おとな 2,580円, こども 1,030円
フリーエリアは下図のとおりです。
(出典)「えきねっとトクだ値」とご一緒に!「北陸周遊乗車券」発売のお知らせ
有効期間は、北陸新幹線で糸魚川駅~金沢駅のいずれかの駅に到着(下車)した日を含めて2日間、または、その翌日から2日間のいずれかとなります。
- 4月1日に糸魚川駅~金沢駅のいずれかの駅に到着した場合
- 4月1日~2日の2日間で利用
- 4月2日~3日の2日間で利用
上記の場合、購入できるのは、4月1日もしくは2日のいずれかになります。
「北陸周遊乗車券」は2023年3月末で発売終了!
JR西日本は、「北陸周遊乗車券」の発売を2023年3月31日で終了すると発表しました。
正確には以下のような記述となっていますので、3月31日に購入、利用を開始した分は4月1日まで利用できるものと思われます。
- 発売終了日: 2023年3月31日(2023年3月31日ご利用開始分まで)
なお、ほぼ同じフリーエリアで土休日のみに利用できるJR西日本のフリーきっぷ「北陸おでかけパス」も、2023年3月26日で利用を終了するとの発表がありました。
「北陸周遊乗車券」は首都圏からの北陸旅行・乗り鉄に最適!
「北陸周遊乗車券」は、東西に長い北陸地方のほとんどの鉄道をカバーしています。北陸新幹線を利用することが発売の条件であることをあわせて考えると、首都圏から北陸への旅行や乗り鉄に最適なフリーきっぷ であると言えます。
北陸地方周遊の旅におすすめ!
金沢だけでなく、北陸地方の他の都市や観光地を巡りたい場合には、「北陸周遊乗車券」がピッタリです。
例えば、以下のような使い方が考えられます。
- 1日目
- 北陸新幹線で金沢へ到着後に「北陸周遊乗車券」を購入
- 金沢観光後、和倉温泉へ移動して宿泊
- 2日目
- 高岡、氷見、富山などを移動しながら観光
- 富山から北陸新幹線で帰宅
ふつうにきっぷを購入すると、金沢→和倉温泉(1,410円)、和倉温泉→高岡(1,870円)、高岡→富山(370円)で、合計3,650円となります。「北陸周遊乗車券」なら2,580円ですので、1,070円もお得になります。
そのうえ、列車に乗車するたびにきっぷを買う手間も省けます。
北陸地方の乗り鉄・乗りつぶしにも最適!
乗り鉄向けには、北陸地方の第三セクター路線に安く乗車しながら、JR西日本の枝線を乗りつぶすといった使い方ができます。
北陸新幹線を糸魚川で下車して「北陸周遊乗車券」を購入。旧北陸本線の第三セクター路線を移動しながら、氷見線や城端線、越美北線などの枝線に乗ることもできます。
2日間の乗り鉄のあとは、北陸新幹線で帰宅してもよいですし、フリーエリアの西端から関西方面へ移動してもよいでしょう。
普通運賃との比較は下表のようになります。
※オレンジ色: 往復すれば「北陸周遊乗車券」がお得になる区間
※赤色: 片道でも「北陸周遊乗車券」がお得になる区間
糸魚川から敦賀まで片道移動するだけで、2,750円もお得になります。
特急券・指定席券を追加して観光列車の乗車にも最適!
「北陸周遊乗車券」は、JR西日本が北陸エリアで運転している観光列車への乗車にも最適です。
金沢~和倉温泉間で、週末を中心に運転されている観光列車が特急「花嫁のれん」です。華やかな外観やインテリアの列車で、事前に予約をしておけば、車内で軽食やお酒を楽しむこともできます。和倉温泉や能登エリアへのアクセスにもぴったりの列車です。
「花嫁のれん」は全車指定席の特急列車として運転されています。「北陸周遊乗車券」は乗車券としての効力がありますので、別途、指定席特急券を購入すれば、「花嫁のれん」に乗車することができます。
「花嫁のれん」については、以下の乗車記もご覧ください。車内の様子に加え、特急券の購入方法、軽食の予約方法も紹介しています。
高岡~氷見間、高岡~城端間で運転されているのが、観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」(べるもんた)です。気動車1両のみの小さな観光列車で、乗車時間も短めですが、車内で寿司職人が握ったお寿司をいただくことができるのです。
「べるもんた」は、全車指定席の快速列車として運転されています。「北陸周遊乗車券」に加えて、指定席券を購入すれば乗車することができます。
「ベル・モンターニュ・エ・メール」(べるもんた)の乗車記については、以下の記事をご覧ください。車内でのお食事の予約方法も紹介しています。
「北陸周遊乗車券」は北陸新幹線に「新幹線eチケット」で乗車する場合にのみ発売!
「北陸周遊乗車券」の発売条件となっている、『北陸新幹線を「新幹線eチケット」で利用する』という点について、わかりやすく解説します。
「新幹線eチケット」は、Suica等の交通系ICカードで新幹線に乗車できるチケットレスサービス です。
「新幹線eチケット」を購入・利用する手順は以下の通りです。
- JR東日本のインターネット予約・購入サービス「えきねっと」で北陸新幹線のきっぷを購入
- 「えきねっと」での購入時に、乗車に利用する交通系ICカードを指定
- 決済は「えきねっと」に登録したクレジットカード
- 新幹線の乗車駅で、指定した交通系ICカードで新幹線の改札を通ることで乗車可能
すでに「えきねっと」を利用していて、Suicaなどの交通系ICカード(モバイルSuicaも含む)をお持ちの方は、全く難しくありません。「えきねっと」を利用したことがなくても、会員登録をするだけで、会費は無料ですので、この機会に登録しておくことをおすすめします。
なお、前日までの購入で料金が割引になる「えきねっとトクだ値」、2週間前までの購入でさらに割引になる「お先にトクだ値」などの割引きっぷも、「新幹線eチケット」として発券されますので、このような割引きっぷを利用しても、「北陸周遊乗車券」を購入することができます。
北陸新幹線を下車した駅で「北陸周遊乗車券」を購入する際には、「新幹線eチケット」を購入したことがわかる画面コピーの提示か、スマートフォンの画面を見せる必要があります。あらかじめ準備しておくようにしましょう。
「えきねっとトクだ値」については、以下の記事もご覧ください。
「北陸周遊乗車券」の発売箇所に注意! 糸魚川・黒部宇奈月温泉はみどりの窓口がない!
前述のように、「北陸周遊乗車券」は、北陸新幹線を下車したJR西日本の駅で購入する必要があります。「新幹線eチケット」を利用した証跡を提示する必要があることから、基本的に窓口での購入となります。
ところが、北陸新幹線には、みどりの窓口がない駅がありますので、注意が必要です。窓口がない駅では、オペレータと話をしながらきっぷを購入できる券売機「みどりの券売機プラス」が設置されていますので、これを利用して「北陸周遊乗車券」を購入する必要があります。
2022年4月現在、北陸新幹線のJR西日本の駅のみどりの窓口、みどりの券売機プラスの設置状況は、以下のとおりです。
駅名 | みどりの窓口 | みどりの券売機 プラス |
---|---|---|
糸魚川 | × | 〇 |
黒部宇奈月温泉 | × | 〇 |
富山 | 〇 | 〇 |
新高岡 | 〇 | 〇 |
金沢 | 〇 | 〇 |
糸魚川駅と黒部宇奈月温泉駅には、みどりの窓口がありません。そのため、「みどりの券売機プラス」を利用して「北陸周遊乗車券」を購入することになります。
「みどりの券売機プラス」での購入は、みどりの窓口での購入よりも時間がかかります。台数も少ないことから、「みどりの券売機プラス」を利用したい人が並んでいると、「北陸周遊乗車券」を購入するまで、かなり時間がかかります。
特に、「北陸周遊乗車券」のフリーエリアとなる在来線に乗り換えができる糸魚川駅では、乗り換え列車までの時間を確保しておいた方がよいでしょう。
なお、みどりの窓口、みどりの券売機プラスの設置状況については、JR西日本のWebサイトもご確認ください。
期間限定! 北陸新幹線が30%引きになる「お先にトクだ値」との併用がおすすめ!
JR東日本は、2023年3月末までの期間限定で、2週間前までの予約で、北陸新幹線の乗車券+特急券が30%引きになる「お先にトクだ値」を設定しています。
区間 | お先にトクだ値 | 通常料金 |
---|---|---|
東京~富山 | 8,930円 | 12,760円 |
東京~金沢 | 9,920円 | 14,180円 |
東京~金沢間が1万円を切りますから、かなりお得です。「お先にトクだ値」は、基本的に「新幹線eチケット」としてしか発売されませんので、自動的に「北陸周遊乗車券」の対象になります。
北陸新幹線の「お先にトクだ値」と「北陸周遊乗車券」を組み合わせれば、関東地方からの北陸旅行を格安で実現することができますね。
期間限定の「お先にトクだ値」については、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
「北陸周遊乗車券」は「北陸おでかけパス」と同等の効力だが、発売条件と有効期間が異なる
実は、この「北陸周遊乗車券」、JR西日本が発売するフリーきっぷ「北陸おでかけパス」と同じフリーエリア、価格となっています。
ただし、利用期間、発売期間、発売条件などが異なります。
北陸おでかけパス | 北陸周遊乗車券 | |
---|---|---|
フリーエリア | 北陸エリア | 北陸エリア |
利用期間 | 土休日 | 通年 |
有効期間 | 1日間 | 2日間 |
発売条件 | なし | 北陸新幹線 新幹線eチケット 利用者のみ |
発売期間 | 利用日の 3日前まで |
北陸新幹線 乗車当日 または翌日 |
価格 (おとな) |
2,580円 | 2,580円 |
「北陸周遊乗車券」は、北陸新幹線を「新幹線eチケット」で利用した場合にのみ発売されるという制限がありますが、その分、通年利用できたり、有効期間が2日間あったりと、「北陸おでかけパス」に比べると、フリーきっぷとしては魅力的な内容になっています。
とはいえ、実質的には、発売条件の違いから、
- 関西方面などJR西日本エリアから北陸へ入る場合には「北陸おでかけパス」
- 北陸新幹線で首都圏・長野県から北陸へ入る場合には「北陸周遊乗車券」
- 首都圏から北陸へ入る場合でも、北陸新幹線を利用しない場合(青春18きっぷ利用など)には「北陸おでかけパス」
という使い分けになるでしょう。
「北陸おでかけパス」については、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
「大人の休日倶楽部」会員なら「北陸フリーきっぷ」も検討しよう!
首都圏から北陸新幹線で北陸地方へ旅行に行くのに適したきっぷとしては、「北陸フリーきっぷ」があります。
- 東京・上野・大宮~フリーエリアの新幹線駅(黒部宇奈月温泉・富山・新高岡・金沢)までの往復には北陸新幹線の普通車指定席に乗車可能
- フリーエリア内の特急(新幹線含む)・急行・普通列車の普通車自由席に乗り放題
- 大人の休日倶楽部会員限定
「北陸周遊乗車券」とは異なり、往復の北陸新幹線(普通車指定席)にも乗車でき、4日間有効で22,410円(東京都区内発)です。
また、フリーエリアは「北陸周遊乗車券」より若干狭いですが、北陸地方の主要観光地をカバーしていますし、フリーエリア内の北陸新幹線(黒部宇奈月温泉~金沢)や特急列車にもそのまま(特急券を追加で購入することなく)乗車できます。
「大人の休日倶楽部」は50歳以上の方が入会できるJR東日本のミドル・シニア向けの会員制サービスです。
大人の休日倶楽部会員の方で、首都圏から北陸新幹線を利用して北陸へ旅行に行かれる場合は、「北陸フリーきっぷ」のほうが使い勝手がよいでしょう。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
裏技? 上越妙高~糸魚川の北陸新幹線利用で「北陸周遊乗車券」をゲット!
青春18きっぷなどの格安きっぷを利用して旅をする場合には、「北陸周遊乗車券」の購入条件である「北陸新幹線を新幹線eチケットで乗車する」というところがネックになります。
ところが、発売条件をよく見てみると、
- 東京~上越妙高間が発駅
- 糸魚川~金沢間が着駅
- 新幹線eチケットを利用
となっていますので、「上越妙高から北陸新幹線に乗車して次の糸魚川駅で下車する」 という一駅間だけの乗車で、「北陸周遊乗車券」を購入する条件を満たすことができます。
もう一つの条件である「新幹線eチケット」を利用については、自由席を利用することで出費を抑えることができます。
「新幹線eチケット」は乗車券と特急券がセットになったきっぷで、料金は以下のようになっています。
- 上越妙高~糸魚川の「新幹線eチケット」の料金
- 普通車指定席: 2,880円(内訳: 乗車券680円+特急券2,200円) ※1
- 普通車自由席: 1,560円(内訳: 乗車券680円+特急券880円)
※1: 通常期の料金(閑散期は200円引き、繁忙期は200円増し)
新幹線の隣同士の駅間では、「特定特急料金」という割安の自由席料金が設定されていますので、もし一駅だけ乗車するのであれば、自由席にしたほうがよいでしょう。実際に、上越妙高~糸魚川間の料金は、指定席と自由席で1,320円も違います。
この裏技?を使えば、上越新幹線の一駅分の料金(1,560円)を追加することで、「北陸周遊乗車券」(2,580円)を購入する権利を手に入れることができます。あわせて4,140円となりますが、二日間有効であることを考えれば、十分にお得です。
「北陸周遊乗車券」まとめ
「北陸周遊乗車券」は以下のような方におすすめです。
- 首都圏や長野県から北陸新幹線を利用して北陸へ旅行や乗り鉄に行く方
- 特に北陸地方のあちこちの観光地を巡りたい方
類似のきっぷとしては「北陸おでかけパス」、「北陸フリーきっぷ」(大人の休日倶楽部会員限定)があります。以下のように使い分けましょう。
- 首都圏や長野県から北陸新幹線を利用して北陸へ旅行や乗り鉄に行く方
- 大人の休日倶楽部会員なら「北陸フリーパス」、それ以外の方は「北陸周遊乗車券」
- 関西方面から北筑へ旅行や乗り鉄に行く方
- 「北陸おでかけパス」
以上、『【北陸周遊乗車券】北陸新幹線「新幹線eチケット」利用者限定、北陸の三セクを含む広いエリアに2日間乗り放題のフリーきっぷ!』でした。北陸地方の主要都市や観光地を結ぶ鉄道は第三セクターに移管されてしまいましたが、この「北陸周遊乗車券」を使えば、第三セクターかJRかを気にすることなく旅行や乗り鉄をお得に楽しむことができます。
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