2020年8月下旬、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を使って北海道に旅行に行きましたが、その帰路で、特急「北斗」に乗車しました。久々に景色の良い区間に乗車したので、車窓を中心にご紹介します。
特急「北斗」 長万部→新函館北斗に乗車!
今回、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を使用して、北海道の鉄道旅行を楽しんできましたが、最終日に、札幌から函館本線(山線)で長万部へ出て、特急「北斗」に乗車しました。
特急「北斗」は、札幌~函館を結ぶ特急列車です。1日に12往復が運転されていて、北海道の主要都市間を結ぶJR北海道の看板列車です。
現在は、261系、281系気動車特急で運転されています。
気動車特急でありながら、かつては、札幌~函館を2時間59分で結んでいたことがあり、表定速度(時刻表上の速度、乗客にとって実質的な「速さ」を表す指標)が日本の在来線で1位だったことがあります。
現在は、安全性重視の方針のもと、最高速度が130km/hから120km/hに下げられ、札幌~函館を3時間半~4時間で結んでいます。速度が下げられたとはいえ、振り子式車両ならではの高速でのカーブ通過など、爽快な走りを披露してくれます。
特急「北斗」の速さ以外の、もう一つの魅力は、噴火湾(内浦湾)と駒ヶ岳の車窓です。東室蘭~森の間は、北海道南西部の噴火湾の海岸線に沿って走ります。その噴火湾越しに、道南の名峰、駒ヶ岳が見えるのですが、函館に近づくにつれて、駒ヶ岳の姿が大きくなり、森~大沼公園の間で、その駒ヶ岳の麓を走ります。
今回、景色の良い区間に乗車しましたので、車窓を中心に乗車記をお届けします。
【特急北斗 乗車記1】長万部から特急「北斗12号」に乗車!
札幌から小樽、倶知安と普通列車を乗り継いで、長万部までやってきました。
小樽→倶知安と、倶知安→長万部で乗車した普通列車は、いずれも新型の「H100形」。つい最近、投入された最新の電気式気動車です。
新しくてきれいなのはいいのですが、国鉄型のキハ40などと比べると車体が小さいので、車内が狭いのですよね。この日は8月下旬の土曜日でしたので、観光客も多く、終始、立ち客多数の状態でした。
跨線橋の上からの1枚。非電化区間は架線がなく、空が広いのがいいですね。
山線区間はずっと曇り空で、ところどころで小雨が降るような天気でしたが、長万部までくると、雲の切れ間から青空がのぞいていました。
長万部から乗車する北斗12号まで、27分の乗り継ぎ時間があります。この乗り継ぎ時間に、長万部の名物駅弁「かにめし」を買いに行きます。
てっきり、長万部駅の構内で売っているのかと思ったら見当たりません。観光案内所を兼ねたお土産コーナーがありましたが、そこにも置いていませんでした。観光案内所の方に聞くと、駅を出てすぐのところにある販売所で売っていると教えてもらいました。
駅前の信号を渡ってすぐのところに販売所があり、お目当ての「かにめし」を買うことができました。
再び駅に戻り、ホームで待っていると、北斗12号がやってきました。261系の新しいカラーリングの車両です。
【特急北斗 乗車記2】ガラガラの「北斗12号」で噴火湾の車窓を眺める!
14時35分、北斗12号は長万部を発車しました。
「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」で利用できる指定席の権利がまだ残っていたので、北斗12号の指定席をとっていたのですが、このようにガラガラでした。乗車した車両には筆者の他に5名のみ。
この旅行で乗車した宗谷本線の特急「宗谷」「サロベツ」はかなり乗車していましたし、前日の「おおぞら10号」も7~8割ほど乗っていましたので、北斗12号がガラガラなのはやや拍子抜けです。
特急「北斗」の座席は、リニューアルされた新しいものでした。可動式の枕が付いていて、シートの座り心地も良かったです。
長万部を出発して、しばらくは海岸線から少し離れたところを走っていましたが、線路よりも海側にあった国道5号線と入れ替わるように、こちらが海岸線に近いほうへ。そうすると、窓一面に海が広がります。
この写真は八雲駅付近を走行中に撮影しましたが、噴火湾の向こう側にうっすらと陸地が映っています。地図を見ると、伊達市~室蘭市あたりでしょうか。
八雲を過ぎたあたりから、左前方に駒ヶ岳の姿が大きく見えるようになってきました。このあたりからは、まだ噴火湾越しに見えていますが、このあと、どんどん近づいていきます。
それにしても、特急「北斗」の走りは気持ちがいいです。ロングレールの上を滑るように走りながらも、床下からはエンジン音が響く。このスマートさと武骨さが同居するのがJR北海道の特急列車の醍醐味ですね。
【特急北斗 乗車記3】長万部名物駅弁、かにめし本舗かなやの「かにめし」をいただく
目的地の新函館北斗までは1時間程度なので、そろそろ、長万部駅で仕入れてきた駅弁をいただきましょう。
長万部の名物駅弁「かにめし」を販売しているのは、「かにめし本舗かなや」さんです。
昭和25年に完成した、日本で一番歴史のある「かにめし」なのだそうです。
早速、開けてみましょう。
「かにめし」は、ごはん(酢飯)の上に、蟹のほぐし身をたっぷり乗せた駅弁です。他のおかずは、付け合わせの佃煮くらいしかなく、ひたすら「蟹のほぐし身の乗ったご飯」を食べる駅弁です。
ご飯の上には、タケノコをブレンドした蟹のほぐし身、味付しいたけ、錦糸卵等が乗っています。蟹のほぐし身は、昔は毛ガニが使われていたそうですが、今はズワイガニがメインだとか。
いただいてみると、蟹の旨味が凝縮されながらも、どんどん食べられる程よい味付けになっています。かなりご飯の量が多いのですが、噴火湾の絶景車窓を眺めながら、あっという間に食べてしまいました。
【特急北斗 乗車記4】大迫力の駒ヶ岳と、水鏡が美しい大沼
「いかめし」で有名な森駅を出ると、砂原支線を分岐。こちらは、噴火湾の海岸沿いから離れて、内陸部へと入っていきます。
森駅を出ると、すぐに車窓に大きく駒ヶ岳(正式名称は「北海道駒ヶ岳」)が見えてきます。
駒ヶ岳は、江戸時代以降、噴火を繰り返している活火山です。見るからに荒々しい山容は、噴火による山体崩壊を繰り返した結果です。
かつては、富士山のような円錐形をした標高1,700メートル程度の山だったそうですが、1640年の噴火で山頂部が大規模に崩壊し、現在は標高1,131メートルの剣ケ峯などの外輪山が形成されています。
大沼公園駅を降りてすぐのところにある大沼の近くから見ると、駒ヶ岳はこのように見えます。外輪山の形がそれぞれ違うので、見る角度によって姿が変わりますね。
駒ヶ岳のすぐ西側をさらに南下していくと、大沼公園駅到着直前に、左側に大沼を見ることができます。大沼は、前述の1640年の駒ヶ岳の大噴火によって堰き止められてできた沼です。
風が穏やかだったためか、大沼の湖面に白いモクモクとした夏雲が映っていてきれいでした。
【特急北斗 乗車記5】新函館北斗へ向けてラストスパート!
大沼公園を出ると、函館へ向けて下り坂に差し掛かります。車窓右側には、小沼が見えてきます。
大沼公園を出てしばらくすると、左側の車窓が開けてきます。遠くに函館の街が一望できるのです。函館山も見えていますね。
長万部から1時間15分ほどで、新函館北斗駅に到着。噴火湾と駒ヶ岳の絶景を眺めながら、「かにめし」を味わう濃密な1時間でした!
このあと、北斗12号に接続する北海道新幹線「はやぶさ40号」で東京へと帰りました。「お先にトクだ値スペシャル」で購入した半額チケットで、お得に帰京できました。
以上、「【函館本線 長万部→新函館北斗 乗車記】噴火湾と駒ヶ岳の絶景を快走する気動車特急から眺める旅!」でした。噴火湾の向こうに見える駒ヶ岳。道南を代表する定番の鉄道車窓ですが、改めて良いと思える風景です。特急「北斗」に乗車したら、ぜひこの車窓を堪能してみてください。
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