ビューカード利用でJRE POINTが多くたまる「VIEWプラス」のサービス内容が改定されます。モバイルSuicaや「えきねっと」の利用が優遇される一方、駅窓口・駅券売機等でのポイント付与率は低下します。モバイル・ネット利用をさらに推し進めた施策と言えそうです。
JR東日本、「VIEWプラス」サービス内容を2021年7月に改定へ
JR東日本は、自社が発売するクレジットカード「ビューカード」できっぷや定期券を購入すると、通常0.5%のところ、3倍の1.5%のポイント(JRE POINT)が付与される「VIEWプラス」を提供しています。
2021年7月1日に、この「VIEWプラス」のサービス内容が改定されるとの発表がありました。概要は、以下のとおりです。
- 2021年7月1日に「VIEWプラス」のサービス内容を改定
- これまで、対象商品購入時のポイント付与率は一律1.5%だったが、商品ごと、決済手段ごとなどによりポイント付与率を細かく規定
- 主に、モバイルSuica利用、えきねっと等のネットでの決済が優遇され、駅窓口・駅券売機利用時は「VIEWプラス」から除外(通常のポイント付与率0.5%を適用)
- 一部商品では、ゴールドカードのポイント付与率を優遇
詳しくは、以下のJR東日本のニュースリリースをご覧ください。
JRE POINTが余計に貯まる「VIEWプラス」の改定内容(2021年7月~)
2021年7月からの「VIEWプラス」の改定内容を、改定前(現行)との違いをわかりやすくまとめました。
- | - | 改定前 | 改定後 | |
---|---|---|---|---|
種別 | 利用内容 |
ビューカード ゴールドカード |
ビューカード | ゴールドカード |
JR券購入 |
「えきねっと」でJR券予約 (予約時決済) |
1.5% | 3.0% | 8.0% |
「えきねっと」でJR券予約 (受け取り時時決済) |
1.5% | 0.5% | 0.5% | |
駅窓口、券売機等でのJR券購入 | 1.5% | 0.5% | 0.5% | |
普通列車 グリーン券購入 |
モバイルSuicaで 「モバイルSuicaグリーン券」を購入 |
1.5% | 3.0% | 8.0% |
定期券購入 | 駅窓口、券売機等での購入 | 1.5% | 0.5% | 0.5% |
モバイルSuicaで 「モバイルSuica定期券」を購入 |
1.5% | 3.0% | 4.0% | |
チャージ | 「モバイルSuica」にチャージ | 1.5% | 1.5% | 1.5% |
「Suica」にオートチャージ | 1.5% | 1.5% | 1.5% | |
上記以外のチャージ (券売機・ATM等でのチャージ) |
1.5% | 0.5% | 0.5% | |
その他 | 上記以外の駅でのビューカード利用 | 1.5% | 0.5% | 0.5% |
以下、大きくポイント付与率が変わるサービス・商品について、見ていきます。
「えきねっと」は予約時決済でポイント3%にアップ!
「えきねっと」でJR券を購入する際に利用するクレジットカードとして「ビューカード」を登録しておくと、これまでは、購入額の1.5%に相当するJRE POINTを貯めることができました。
2021年7月の改定では、以下のように変わります。
- 予約時決済の場合: 1.5% → 3%(ゴールドカードは8%)
- 受け取り時決済の場合: 1.5% → 0.5%
2021年6月27日に実施された「えきねっと」のリニューアルでは、決済タイミングを、予約時・受け取り時で選べるようになりました。(これまでは、紙のきっぷは「受け取り時」、eチケット等のチケットレスは「予約時」)
決済の方法として「予約時決済」を選択すると、これまで1.5%だったポイント付与率が、通常のビューカードで3%、ゴールドカードの場合は8%に増えます。
一方、「受け取り時決済」を選択すると、ポイント付与率は0.5%となり、現在の1.5%よりも低下します。
JR東日本はチケットレスを推進しています。チケットレスの場合、自動的に「予約時決済」になると思われますので、チケットレス普及のために、ポイント還元率に大きな差をつけたのではないかと思われます。
「えきねっと」のリニューアルについては、以下の記事をご覧ください。
定期券購入はモバイルSuicaは付与率アップ、駅での購入はダウン
定期券の購入時にもJRE POINTが付与されます。これまでは、購入方法によらず、一律1.5%でした。
2021年7月の改定以降は、以下のように変わります。
- モバイルSuicaでの購入: 1.5% → 3%(ゴールドカードは4%)
- 駅窓口・券売機等での購入: 1.5% → 0.5%
定期券購入では、モバイルSuicaがかなり優遇されるようになります。その一方で、駅窓口や券売機での購入は0.5%に下がります。
駅窓口・券売機等での定期券を購入すると、一般的にはICカードや磁気カードの定期券になります。つまり、モバイルSuica定期券は3%(ゴールドカードは4%)、ICカード/磁気カードの定期券は0.5%ということで、モバイルSuica定期券がかなりお得になります。
定期券の購入は、一般に高額になりがちなので、このポイント付与率の差はかなり大きいです。
券売機・ATMでのチャージはポイント付与率0.5%にダウン
Suicaへのチャージは、券売機、ATM(駅に設置されている「VIEW ALTTE」)によるチャージ時のポイント付与率が下がります。
チャージ方法別のJRE POINTの付与率は、以下のようになります。
チャージ方法 | モバイル Suica |
ICカードの Suica |
---|---|---|
オートチャージ | 1.5% | 1.5% |
端末操作での チャージ |
1.5% | - |
券売機・駅 でのチャージ |
- | 0.5% |
モバイルSuicaでは、オートチャージ、端末操作でのチャージともに、これまで同様に1.5%のポイント付与率となります。
一方、ICカードのSuicaでは、オートチャージは1.5%のままですが、券売機や駅でのチャージでは、ビューカードを利用したとしても、ポイントは0.5%になってしまいます。
電車に乗るときしかSuicaを利用しないのであれば、オートチャージを利用すれば問題ないのですが、コンビニやスーパー等での買い物のために、駅の券売機でチャージを利用しようとすると、ICカードのSuicaではポイント付与率が下がってしまいますので、注意が必要です。
鉄道利用で付与される「JRE POINT」と「VIEWプラス」の二重取りもできる!
今回ご紹介しているビューカード利用によるポイント付与とは別に、「JRE POINT」のWebサイトで登録したSuica(モバイルSuica含む)を利用して、チャージ残高で鉄道を利用したり、定期券を購入したりするとポイントが付与されます。
鉄道利用による「JRE POINT」は、ビューカード利用でなくても付与されます。
つまり、ビューカードに紐づけたSuicaやモバイルSuicaを利用して、 かつ、そのSuicaをJRE POINTのWebサイトにも登録しておくと、ビューカード利用でのポイントと、鉄道利用でのポイントの両方が付与されるというわけです。
モバイルSuica利用の場合、ビューカード利用のポイントと鉄道利用のポイントを合わせた付与率は以下のようになります。
ビューカードの ポイント |
鉄道利用の ポイント |
合計 | |
---|---|---|---|
えきねっとでのJR券購入 (新幹線eチケット/予約時決済) |
3.0% (8.0%) |
2.0% |
5.0% (10.0%) |
えきねっとでのJR券購入 (えきねっとチケットレス/予約時決済) |
3.0% (8.0%) |
5.0% |
8.0% (13.0%) |
モバイルSuicaグリーン券購入 |
3.0% (8.0%) |
2.0% |
5.0% (10.0%) |
モバイルSuica定期券購入 |
3.0% (4.0%) |
2.0% |
5.0% (6.0%) |
※カッコ内はゴールドカードの場合
鉄道利用のポイントは、ICカードのSuicaの場合は0.5%、モバイルSuicaの場合は2.0%です。ここでは、モバイルSuica利用を想定して2.0%としています。
モバイルSuicaグリーン券の購入なら、通常のビューカード利用でも5%、ゴールドカード利用なら10%ものポイントが付与されます。
モバイルSuica定期券の購入でも、通常のビューカード利用で5%、ゴールドカード利用で6%も付与されます。
また、えきねっとでのきっぷ購入では、2021年6月の「えきねっと」リニューアル以降、JRE POINTが付与されるようになりました。新幹線eチケットでは2.0%、えきねっとチケットレスでは5.0%と、かなり大きな付与率になっています。
このように、ビューカード利用のポイントと、鉄道利用によるポイントがあわせて付与されますので、かなりの還元率となります。
鉄道利用でのJRE POINTの付与、貯め方については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
「ビューカード」のポイントも明確な「モバイル」「ネット」優遇へ
ビューカードの利用で付与されるポイントも、明確に「モバイル」と「ネット」優遇に舵を切りました。
前述のとおり鉄道利用でのJRE POINTの付与率は、ICカードのSuicaが0.5%、モバイルSuicaが2%と、4倍もの差があります。
モバイルSuicaは、定期券の購入、グリーン券の購入など、スマートフォンだけで済んでしまいますので、駅の窓口や券売機に行く必要がありません。
今回、ビューカードの「VIEWプラス」のサービス内容が改定されるのも、モバイルSuicaと「えきねっと」のネット決済を優遇して、駅の窓口や券売機の利用を極力減らす方向にもっていきたいということなのでしょう。
昨今の人手不足や人件費削減の流れに加えて、鉄道会社はコロナ禍の影響をもろに受けてしまいましたので、コスト削減の観点でも、「駅に出向かなくてもきっぷや定期券が買える」という点をアピールしていきたいのでしょう。
Androidに加えて、iPhoneでもSuicaを利用できるようになり、「モバイルSuica」導入のハードルが下がったことで、モバイル優先を打ち出しやすくなった面もありそうです。
以上、『JRE POINTが多くたまる「VIEWプラス」を改定、ネット予約・モバイルSuica優遇で「えきねっと」決済は1.5%→3%へ!』でした。時代の流れといえばそれまでですが、ここは賢く活用して、たくさんポイントを貯めたいところですね。
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