上田駅と草津温泉を結ぶ上田バスの「上田草津線」は、北陸新幹線・しなの鉄道と吾妻線をショートカットする野に便利な路線バスです。2020年12月に運行を開始した上田草津線に、上田駅から万座・鹿沢口駅まで乗車してきましたので、乗車記をお届けします。浅間山や丘陵の絶景車窓が見どころです!
上田バス「上田草津線」とは?
上田バスが運行する「上田草津線」は、北陸新幹線・しなの鉄道の上田駅と草津温泉を結ぶ路線バスです。2020年12月に運行を開始したばかりの新しい路線です。
上田から草津温泉へのアクセスを想定したバスだと思いますが、途中、新鹿沢温泉も経由します。
そして、乗り鉄・鉄道旅行派としての注目ポイントは、途中、吾妻線の万座・鹿沢口駅を経由する点です。上手く活用すれば、しなの鉄道や北陸新幹線と吾妻線を結ぶショートカットルートとして利用することができるのです。
上田バス「上田草津線」のダイヤ等については、以下の記事をご覧ください。しなの鉄道、吾妻線との乗り継ぎダイヤも掲載しています。
上田バス「上田草津線」 上田駅~万座・鹿沢口駅のルート・車窓
上田バスの「上田草津線」の上田駅~万座・鹿沢口駅のルートは、下の地図のとおりです。
上田駅から国道144号線に出て、しばらく道沿いに北上します。その後、国道406号線にぶつかったら右へ。新鹿沢温泉に寄ったあとは、嬬恋村の村道で、広域農道として整備された「つまごいパノラマライン(南ルート)」を東へ向かいます。この道路は、絶景ドライブコースとしても有名です。
県道235号線を左折、国道406号線にぶつかったら右折して、吾妻川沿いに万座・鹿沢口駅へと至ります。
長野・群馬県境の峠越えルートですが、峠道からの眺望はあまりよくありません。絶景ポイントは、新鹿沢温泉~万座・鹿沢口駅間の「つまごいパノラマライン」です。
「つまごいパノラマライン」は、北ルートと南ルートがありますが、上田草津線のバスが通るのは南ルートです。南側には浅間山、北側には広大な丘陵地帯と四阿山を望む絶景コースです。
新鹿沢温泉~万座・鹿沢口駅間の車窓と座席の関係は以下のとおりです。
- 浅間山
- 草津温泉行き 進行方向右側(上田行き 進行方向左側)
- 丘陵地帯・四阿山
- 草津温泉行き 進行方向左側(上田行き 進行方向右側)
今回は、浅間山がよく見える右側の座席に座りましたが、丘陵地帯の絶景を眺められる(草津温泉行きの)左側のほうがよかったです。
【上田草津線 乗車記1】上田駅お城口から季節運行便に乗車!
軽井沢から、しなの鉄道の有料列車「軽井沢リゾート1号」に乗車して、上田駅で下車。お城口のバスターミナルへ向かいます。といっても、駅舎を出て目の前がバスターミナルです。
上田バスの上田草津線は、3番乗り場から発車します。上田駅の発車は10時25分ですが、10時18分ごろ、派手な塗装のバスがやってきました。
上田草津線は高速バスタイプの車両で運転されます。4列シートですが、トイレも付いています。同じく上田バスが運行する高速バス「渋谷草津線」と車両を共用しているようです。
乗車時に、運転手に下車する停留所を告げて、その場で運賃を支払います。上田駅から万座・鹿沢口駅までは1,500円、草津温泉までは2,000円です。
バスの車内には4列シートが並びます。新型コロナ対策のため、座席の上にアクリル板が設置されています。どれくらい効果があるのかはわかりませんが……。ただ、高速バスタイプの車両ですので、車内に換気装置を備えているとのことです。
3月中旬の日曜日でしたが、この便の乗客は、私を含めて3名のみ。途中の停留所からの乗車もありませんでした。新型コロナウイルス感染症の影響が続いているとはいえ、ちょっと心配になる状況です。
ちなみに、予約は不要です。座席も、空いている席ならどこでもよいとのことでした。
座席に座ると、運転手がノベルティを配ってくれました。上田バスの渋谷草津線・上田草津線のダイヤ等が記載されたクリアファイルと、除菌シート、そして、ペンのような形をしたアルコールスプレーです。感染症対策にも役立つ便利なノベルティですね。
【上田草津線 乗車記2】上田市内を抜け鳥居峠へ
10時25分、上田駅を発車しました。駅前の通りを北へ向かい、国道144号線にぶつかったところで右折して北東へ向かいます。
住吉バス停に停車。時間調整のためか、乗客の姿が見えなくても、律儀にバス停に停車していきます。
上田市内の国道144号線は、片側2車線の広々とした立派な道路です。バスは快調に進んでいきます。
市街地を抜け、山に挟まれたような道になってきました。
10時45分、「ゆきむら夢工房」に停車。ここでも少し時間調整がありました。
「ゆきむら夢工房」は、真田エリアの観光拠点となっている施設で、観光案内所や農産物直売所のほか、そば打ち体験、おやき作りなどの体験施設も揃っています。
ここでも乗降客はなく、バスは先へと進んでいきます。この「ゆきむら夢工房」から先は、峠道になります。
菅平方面への分岐を右へ進むと、国道406号線に入ります。しばらくは沢沿いの道を進んでいきますが、次第にカーブが連続する峠道になってきます。たまにヘアピンカーブもあり、バスは止まりそうなほどに速度を落として曲がっていきます。
ここは「鳥居峠」という峠で、長野県上田市と群馬県吾妻郡嬬恋村の間にあります。分水嶺にもなっていて、群馬県側は吾妻川から利根川を経て太平洋へ、長野県側は大洞川から千曲川・信濃川を経て日本海側へ注いでいます。
鳥居峠の標高は1,362メートル。道路に雪はありませんが、道路沿いの斜面には雪が積もっています。
【上田草津線 乗車記3】高原地帯を走って新鹿沢温泉へ
上田市内からかなり登ってきたので、峠を過ぎたあと、どんどん下るのかと思いきや、高原のように視界が開けたところを進んでいきます。上田側(長野県側)は山に囲まれた急峻な地形でしたが、群馬県側は緩やかな地形のようです。
そして、進行方向右側の車窓には、浅間山が見えてきました。冠雪した浅間山が青空によく映えます。
途中、右折して、新鹿沢温泉への道に入ります。
新鹿沢温泉へと登る道路からは、右手にスキー場がある山が見えました。「鹿沢スノーエリア」という小さなスキー場のようです。
道路の左右に数件の温泉宿や日帰り温泉施設が並ぶ温泉街を過ぎ、バスは転回場へ。ここで向きを変えて、登ってきた道を下っていきます。
11時15分ごろ、新鹿沢温泉バス停に到着。ここでの乗降もありませんでした。
長野・群馬県境近くの山深い場所にある新鹿沢温泉へは、この「上田草津線」が唯一の公共交通機関です。この便は、12月~3月のみ運行される季節運行便ですが、毎日運行の便を利用して、
- 万座・鹿沢口駅 16:20発 → 新鹿沢温泉 16:50着(新鹿沢温泉泊)
- 新鹿沢温泉 12:15発 → 万座・鹿沢口駅 12:45着
とすれば、新鹿沢温泉に泊まることができそうです。
【上田草津線 乗車記4】浅間山と丘陵地帯・四阿山の絶景!「つまごいパノラマライン」
新鹿沢温泉の道を下って右折すると、いよいよこのバス路線で最大の見どころ、「つまごいパノラマライン」に入ります。
「つまごいパノラマライン」は、高原野菜の畑が広がる丘陵地帯の中に敷かれた広域農道。農道とはいえ、とても走りやすそうな道で、大型のバスも余裕で走れます。
そして、進行方向左側には、広大な丘陵の風景と、その向こうに雪化粧した四阿山(あずまやさん)を望むことができます。少し高いところを通る「つまごいパノラマライン」(南ルート)から、眼下に広がる丘陵地帯を見下ろす車窓は素晴らしいの一言です。
進行方向右側の車窓には、ずっと浅間山が見えています。広大な畑の向こうに堂々とそびえる浅間山。存在感の大きな山ですね。
浅間山の車窓を動画でもどうぞ。
この丘陵地帯に広がるには、キャベツ等の高原野菜の畑です。そう、ここは嬬恋村。嬬恋村といえばキャベツです。この時期は、残念ながら作物は植わっていませんが、夏に訪れれば、一面のキャベツ畑を見渡すことができるのでしょう。
浅間山をアップで。ご存じのとおり、活発な活火山で、現在でもときどき小規模な噴火をします。
このバスが走る「つまごいパノラマライン」は、浅間山と四阿山の間の高原地帯に敷かれた道路ですので、どちら側の車窓も素晴らしいのです。
県道235号線にぶつかったところで左折します。浅間山や四阿山の絶景とはお別れですが、車窓の右側には草津白根山が見えてきました。
このあと、どんどん坂を下って行ってしまうので、ここでしか見えませんでした。
【上田草津線 乗車記5】吾妻川沿いを走って万座・鹿沢口駅へ
県道235号線をしばらく下ると、再び国道406号線にぶつかります。ここを右折。吾妻川沿いの道路を東へ向かいます。
国道406号線は、新鹿沢温泉に向かう直前までこのバスが走っていた道路。新鹿沢温泉に寄らないのであれば、国道406号線を走るルートになっていたのかもしれません。おかげで「つまごいパノラマライン」から絶景を眺めることができるわけですね。
国道406号線に入ってすぐに吾妻川を渡ります。この先の吾妻線からもよく見えるのですが、吾妻川の両岸は切り立った崖になっているところが多いです。
しばらく吾妻沿いに走ると、右側に吾妻線の終点、大前駅が見えました。ちょっとわかりづらいですが、写真の真ん中にある踏切のすぐ右側が大前駅です。ホーム上に小さな待合室があるだけの簡素な駅です。1日に5本しか列車がやってこない、関東最果ての駅です。
吾妻線の乗車記と、大前駅の訪問記は、以下の記事をご覧ください。
この先は、吾妻線の線路と並行しています。吾妻川を渡るときも、道路橋と鉄道橋が並行しています。
11時43分ごろ、定刻より3分ほど遅れて、万座・鹿沢口駅に到着しました。ここで筆者ともう1名が下車、草津温泉まで乗車するのは1名だけのようです。
草津温泉バスターミナルには12時22分に到着予定なので、ここからさらに40分の乗車になりますね。
万座・鹿沢口駅です。万座温泉、鹿沢温泉、そして、嬬恋村の玄関口でもあるのですが、無人駅です。2016年3月までは特急「草津」が乗り入れていたのですが、現在は普通列車のみ。特急が来なくなったことで、無人化されてしまいました。
吾妻線の高崎行きの列車まで1時間ほど時間があるので、駅前の「あさま食堂」でソースカツ丼をいただきました。カツだけでなく、茄子やピーマンの揚げ物も入っていてボリューム満点! ふつうにおいしいソースカツ丼でした。人気メニューなんだとか。
北陸新幹線・しなの鉄道~吾妻線をショートカットできる路線バス「上田草津線」
今回ご紹介した上田バスの「上田草津線」は、北陸新幹線・しなの鉄道の上田駅と、吾妻線の万座・鹿沢口駅の間をショートカットできる、乗り鉄・鉄道旅行派は覚えておきたい路線です。
便利なだけでなく、乗車記で紹介したように、「つまごいパノラマライン」という絶景ルートを走ります。浅間山や四阿山、嬬恋村の丘陵地帯を一望できますので、車窓も楽しめます。
もう一つ、覚えておきたいのが、軽井沢駅~万座・鹿沢口駅~万座バスターミナルを結ぶ、西武観光バスの路線バスです。こちらは、路線バスタイプでの運行になりますが、鬼押出し園など、浅間山の中腹を走りますので、浅間山を間近に眺めることができます。
西武観光バスの路線バスについては、以下の乗車記もご覧ください。
以上、上田バス「上田草津線」の乗車記をお届けしました。乗り鉄や鉄道の旅で、北陸新幹線・しなの鉄道と吾妻線をショートカットできる便利なバスですが、それだけでなく、「つまごいパノラマライン」からの絶景も楽しめる、お得な路線バスなのでした。
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