2020年7月にデビューしたしなの鉄道の「軽井沢リゾート号」は、新型車両「SR1系」で運転される有料快速列車です。首都圏の大手私鉄で多く導入されているロング・クロス転換シートを採用した車両で、「軽井沢リゾート号」として運転されるときはクロスシートで運転されます。軽井沢へのアクセスや、しなの鉄道沿線から長野へのおでかけなどにぴったりの列車です。
しなの鉄道「軽井沢リゾート号」とは?
しなの鉄道は、北陸新幹線(当初は「長野新幹線」)の開業時に、並行在来線としてJR東日本から経営分離された信越本線(軽井沢~篠ノ井,長野~妙高高原)を引き継いだ第三セクター鉄道会社です。
そのしなの鉄道が、2020年7月に、新型車両「SR1系」を利用した有料快速列車「軽井沢リゾート号」の運行を開始しました。
「軽井沢リゾート号」は、土休日に2往復(軽井沢~妙高高原1往復、軽井沢~長野1往復)運転されています。
SR1系のロング・クロス転換シートを装備した車両を利用し、「軽井沢リゾート号」として運転されるときはクロスシートにセットされます。
列車名のとおり、軽井沢への観光や、小諸や上田、妙高高原など、しなの鉄道沿線へのおでかけに便利な列車です。
なお、平日は、通勤ライナー「しなのサンライズ号」(小諸→長野)、「しなのサンセット号」(長野→上田)として運転されています。
「軽井沢リゾート号」の運転日・ダイヤ、列車指定券(指定席券)の予約方法等については、以下の記事をご覧ください。
この記事では、SR1系の車内の様子や、「軽井沢リゾート1号」に軽井沢から上田まで乗車したときの様子を中心にお届けします。
【軽井沢リゾート号 乗車記1】朝の軽井沢駅、「軽井沢リゾート1号」は早々に入線!
2021年3月中旬の日曜日、自宅から、青春18きっぷで高崎線、信越本線を乗り継いで横川へ。横川からはジェイアール関東バスに乗り、碓氷峠を超えて軽井沢駅にやってきました。
軽井沢駅に到着したのは午前8時45分頃。まだお店などもやっていない時間で、軽井沢駅も静まり返っていました。
しなの鉄道の軽井沢駅の改札です。北陸新幹線の改札口とは異なり、こじんまりとしていますね。
きっぷうりばの横にある券売機で、上田までの乗車券を購入。これから乗車する「軽井沢リゾート1号」の指定席券は、軽井沢までの道中、スマホから購入済みです。チケットレスですので、乗車券だけを買って、あとはそのまま乗るだけ。
「軽井沢リゾート1号」は軽井沢を9時32分に発車します。まだ9時前ですので、ちょっと早いかと思いつつ、改札の駅員さんに入線時刻を聞いてみると、まもなくとのこと。それなら、ということで、改札を入ってホームへ下りてみました。
長野行きの快速列車が発車するところでした。この車両、2021年3月のダイヤ改正にあわせてデビューしたばかりの「SR1系」の一般用車両です。SR1系200番台という形式名です。
JR東日本のE129系をベースに開発された車両です。確かに、先頭形状や車内の雰囲気はそっくりなのですが、このカラーリングのおかげか、こちらのほうが圧倒的にカッコイイですね。
8時53分頃、快速長野行きの列車と入れ違いになるように、青い「SR1系」が回送されてきました。こちらも、2020年7月にライナー用の車両としてデビューしたばかりです。青い車体に金色の帯が入った前面のデザインは、先ほどの赤い一般用車両よりも高級感を醸し出しています。
【軽井沢リゾート号 乗車記2】出発まで「SR1系」外観と車内を観察!
発車まで30分以上も前に入線してきたのは、発車準備に時間を要するからでしょう。車内では、乗務員がクロスシートの向きを変えたり、軽食付きプランの予約席に軽食を配置したりといった作業をしているようでした。
扉が開くまでの間、車両の外観を眺めてみます。
「軽井沢リゾート1号」は、軽井沢発妙高高原行き。しなの鉄道の2路線、しなの鉄道線と北しなの線の全線を走破します。途中、篠ノ井~長野間はJR篠ノ井線経由です。
側面の行先表示は「特別快速 ワンマン 妙高高原」と表示されています。時刻表では「快速」となっていますが、実際は「特別快速」ということなのでしょうか。確かに、通常の「快速」と比べると、「軽井沢リゾート号」の停車駅は少なめです。
1号車の車両側面には「SHINANO RAILWAY」の大きなロゴが入っています。ここはトイレがあるところですね。
車両側面の窓は大きく、クロスシートの状態で座れば、車窓をよく眺めることができます。
10分ほど、車両の外観を眺めていたら、ドアランプが点灯して、車内に入れるようになりました。まだ、他の乗客は誰もいないので、少し車内を眺めてみました。
青ベースの外観とは異なり、シートは赤色。クロスシートの状態にセットされています。1号車は、すべてのシートが前向きにセットされています。
クロスシートではありますが、リクライニングはしません。他社のロング・クロス転換シートも同様ですので、機構上、リクライニングをさせるのは難しいのでしょう。
とはいえ、座り心地はなかなかで、1時間程度であれば、それほど疲れる感じはしませんでした。
1号車には車椅子対応の大きなトイレが設置されています。最近の車両ではよくみかけるタイプのものですね。
2号車のシートは、クロスシートを向かい合わせにして、ボックスのような形でセットされているものがあります。その片側にはテーブルが設置されています。
これは、軽食がつく「軽食プラン」に対応した座席のセッティングのようです。
軽食プランがあるのは、土休日運転の「軽井沢リゾート号」だけです。平日の通勤ライナーやロングシートの運用では、このテーブルは不要なので、すぐに取り外しができるようになっていました。
車端部、運転席の扉の上には、大きなディスプレイが設置されています。沿線の観光スポットの案内などが流れていました。
各シートには電源コンセントが備えられています。前の座席の下にあります。通路寄りに2つ設置されているため、通路側の席のほうが使いやすいかもしれません。車内ではフリーWiFiも利用できます。
車内を見て回っているうちに、他のお客さんも乗ってきたので、指定された席で発車を待つことにします。
【軽井沢リゾート号 乗車記3】雪をかぶった浅間山を眺めながら上田へ
9時32分、「軽井沢リゾート1号」は、定刻どおりに軽井沢駅を発車しました。乗客は、1号車、2号車ともに10人弱といったところ。かなり空いています。
軽井沢を出て、すぐに中軽井沢に停車。中軽井沢を出ると……
車窓に浅間山が見えてきます。しなの鉄道の一番の絶景ポイントが、この浅間山を間近に望める信濃追分~御代田あたりです。
上のほうはかなり雲がかかってしまっていますが、雪をかぶった浅間山を大きく見ることができます。
短いですが、動画でもどうぞ。
日本でも有数の活火山である浅間山を、一番近くから見られる鉄道がしなの鉄道でしょう。
浅間山を眺めていると、9時45分、御代田に到着。家族連れ3名が1号車に乗車してきました。
住宅が増えて、市街地に入ってくると、9時53分、小諸駅に到着です。小海線との乗換駅です。市街地の向こうには浅間山も見えていますね。
小諸駅で、小海線からのアクセスとして「軽井沢リゾート号」を使うのもよさそうですね。
小海線については、以下の記事でまとめていますので、ぜひご覧ください。
小諸から先は、千曲川沿いに進んでいきます。途中、田中駅に停車すると、まもなく上田駅です。
10時09分、上田駅に到着。クロスシートが快適すぎて名残惜しかったのですが、今回はここで下車しました。私以外にも数名が下車。さすがに新幹線停車駅の大きな町です。
長野~軽井沢の観光・おでかけ、乗り鉄にもおすすめ!
ということで、わずか40分足らずの短い時間でしたが、しなの鉄道の中でも浅間山の車窓が美しい区間を、「軽井沢リゾート号」のクロスシートで旅をすることができました。
「軽井沢リゾート号」という列車名のとおり、軽井沢への観光はもちろんのこと、しなの鉄道沿線から長野や上田へのおでかけにも最適な列車です。全車座席指定で立ち客がいないため、車内はかなり落ち着いた雰囲気です。
そして、青春18きっぷなどを活用した乗り鉄の旅にもおすすめです。しなの鉄道はJRの路線ではないため、青春18きっぷでは乗車できず、別途、乗車券を購入する必要があります。どうせ運賃を支払うなら、500円をプラスして、クロスシートでちょっと贅沢な旅をしてみてもよいでしょう。
以上、『【しなの鉄道「軽井沢リゾート号」乗車記】SR1系で運転される有料快速列車、クロスシートから眺める浅間山は圧巻!』でした。一大観光地、軽井沢へのアクセス列車として、今後の活躍を期待したいですね。
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