広大な北海道は、列車の車窓も本州とは違って雄大です。素晴らしい車窓を眺めることができる路線が多く揃っています。そんな北海道のおすすめの列車や路線、沿線の観光スポットを、乗車記を交えて紹介します。
北海道の雄大な車窓No.1! 宗谷本線の旅
旭川から稚内まで260kmにも及ぶ長大な路線が宗谷本線です。車窓から眺める原野や天塩川の雄大な風景は宗谷本線ならでは! 宗谷岬など沿線の観光スポットもあわせて旅をしたい路線です。
雄大な車窓を眺めながらの宗谷本線の旅
宗谷本線の魅力は、その日本離れした雄大な車窓! 北海道らしい原野や大規模な牧場が車窓を流れていきます。そんな宗谷本線の車窓を簡単に紹介します。
宗谷本線の北部では、雄大な原野の中を走ります。本州でも山地では人の手が入っていないところは多くありますが、北海道にはこのような丘陵地帯や原野が多く残っています。
そして、このような広大な農場や牧場もあちこちで見られます。本州ではなかなか見られない雄大な風景です。農場のあちこちに牧草ロールが転がっているのも、北海道ならではの光景ですね。宗谷本線では、このような車窓がひたすら続きます。
宗谷本線を代表する車窓の一つが大河「天塩川」です。宗谷本線の北部、天塩中川駅あたりから、南部の名寄駅近くまで、宗谷本線は天塩川に沿って走ります。車窓からもこのような天塩川を眺めることができます。
宗谷本線の車窓については、以下の乗車記をご覧ください。
宗谷本線沿線の観光スポット
宗谷本線の沿線には観光スポットも点在しています。長大な路線ですので、途中下車して観光を楽しみながら旅をするのもおすすめです。
宗谷本線の沿線でも、観光スポットが多く揃っているのが稚内駅の周辺です。日本最北端の「宗谷岬」をはじめ、稚内駅から比較的近いノシャップ岬、「氷雪の門」がある稚内公園などなど。そして、少し距離はありますが、絶景を眺められるオロロンラインを南下すれば、日本最大の高層湿原「サロベツ湿原」もあります。
このエリアは公共交通が不便なので、レンタカーでの観光がおすすめです。以下の記事は、筆者が稚内に1泊したときにレンタカーで巡った観光スポットを紹介しています。ぜひご覧ください。
他にも、途中下車スポットとしては、近くに「道の駅おといねっぷ」や天塩川がある音威子府駅、駅舎にカフェが併設されている比布駅などがあります。上記の乗車記で、途中下車していますので、ぜひご覧ください。
道東の絶景車窓路線! 釧網本線・花咲線の旅
道東エリアでは、釧路湿原やオホーツク海の車窓が素晴らしい「釧網本線」と、最果て感がすごい「花咲線」がおすすめです。宗谷本線の雄大さとは少し異なりますが、いずれも本州ではなかなか見ることができない車窓が続く路線です。
釧路湿原とオホーツク海の車窓、沿線の観光スポットが充実の「釧網本線」
釧網本線は、道東の釧路駅と網走駅を結ぶ路線です。「本線」とは名ばかりで、1両の気動車ばかりが行き来するローカル線です。沿線には釧路湿原、摩周湖や屈斜路湖などの湖沼群、そして、冬には流氷が埋め尽くすオホーツク海があり、北海道に来たらぜひ乗ってみたい路線です。
釧網本線の車窓と沿線の観光スポットを簡単に紹介します。
釧網本線の南部、釧路~塘路間では、西側に釧路湿原を眺めることができます。蛇行して流れる釧路川と広大な釧路湿原の車窓が続きます。
釧網本線は釧路湿原とほぼ同じ高さを走りますが、釧路湿原を見渡したいならば、釧路湿原駅から徒歩15分ほどのところにある「細岡展望台」がおすすめです。少し高いところから、釧路湿原を一望できます。
摩周駅、川湯温泉駅からは、阿寒摩周国立公園の絶景スポットへアクセスできます。個人的なおすすめは摩周湖。展望台からは上の写真のような神秘的な湖を眺めることができます。摩周湖以外にも、屈斜路湖や硫黄山、阿寒湖などのスポットもあります。
釧網本線の北部、知床斜里~網走間では、車窓からオホーツク海を眺めることができます。途中の北浜駅はオホーツク海の海岸線のすぐ近くにあり、展望台からはこんな素晴らしい景色を眺めることができます。
釧網本線には、車窓や沿線の観光スポットに加えて、駅舎グルメも魅力的です。以下の記事では、釧網本線の車窓、沿線の観光スポットに加えて、駅舎グルメも紹介していますので、ぜひご覧ください。
また、釧網本線は冬に訪れるのもおすすめです。オホーツク海を埋め尽くす流氷を観光することができますし、その流氷を眺めるための列車「流氷物語号」も運転されます。また、同じ時期には、釧網本線の南部で、「SL冬の湿原号」も運転されます。冬の釧網本線については、以下の記事でまとめていますので、ぜひご覧ください。
最果ての路線「花咲線」
釧路駅と根室駅をつなぐ花咲線。正式には根室本線の一部ですが、「花咲線」の愛称で呼ばれています。
花咲線では、北海道らしい最果ての車窓を眺めることができます。ハイライトは厚岸湾~別寒辺牛湿原の荒涼とした景色。人工物がいっさい見えない湿原の中を、1両の気動車が淡々と走っていきます。よくこんなところに線路を敷いたものだと感心させられます。
前述の釧網本線を訪れる際には、一緒に花咲線に乗車することもおすすめします。
富良野・美瑛の観光路線 富良野線の旅
旭川駅と富良野駅を結ぶ富良野線は、沿線に美瑛や富良野といった観光地を抱える路線です。地元の通学にも使われていますが、観光シーズンになると外国からの観光客を含めて、観光客でいっぱいになる観光路線でもあります。
富良野線の途中下車スポットとしてまずおすすめしたいのが、美瑛駅、美馬牛(びばうし)駅です。美瑛の「パッチワークの路」に代表されるように、緩やかなで広大な丘陵地帯にパッチワークのようにさまざまな作物の畑が並ぶ様子は壮大です。
宗谷本線や釧網本線の車窓は人の手が入っていないという意味で雄大ですが、富良野線からは、人の手が作り出した絶景を眺めることができます。
美瑛駅からレンタサイクルで観光できる「パッチワークの路」については、以下の記事をご覧ください。2~3時間程度で周ることができるコースを紹介しています。
個人的なおすすめは、美瑛駅の一つ富良野よりの美馬牛駅からのサイクリングです。「美瑛パノラマロード」と名付けられた道を走ると、あちこちで上の写真のような絶景に出会うことができます。
美瑛の「パッチワークの路」は、ケンとメリーの木やセブンスターの木など、点在するスポットを巡る形の観光ですが、「美瑛パノラマロード」は、ただ道をサイクリングしているだけで、あちこちにこのような景色が広がります。
「美瑛パノラマロード」を訪れたときの様子を以下の記事にまとめています。2時間ほどで巡ることができるコースも紹介していますので、ぜひご覧ください。
夏季の観光シーズンには、美瑛~富良野間をのんびり走るトロッコ列車「富良野・美瑛ノロッコ号」や、札幌から富良野へのアクセスに便利な特急「フラノラベンダーエクスプレス」が運転されます。
富良野線の富良野・美瑛の観光スポットやおすすめのきっぷ、主に夏季に運転されるおすすめの臨時列車などを以下の記事にまとめています。観光の際にはぜひご覧ください。
乗車するなら今のうち! 廃止予定のローカル線の旅
経営危機に陥っているJR北海道ですが、利用の少ないローカル線を廃止・バス転換しています。現在残っている路線でも、すでに廃止が決定しているものや、今後の廃止が見込まれる路線があります。そんな路線を紹介します。
2023年3月末に末端部が廃止! 2026年には全線が廃止予定の留萌本線
留萌本線は、函館本線の深川駅と日本海沿岸の町、留萌駅を結ぶローカル線です。石狩沼田~留萌間が2023年3月末に廃止となり、深川~石狩沼田間が2026年3月末頃に廃止されることが決まっています。
途中の石狩沼田駅までは通学利用がそこそこありますが、それより先は乗車人員が約50人/日という超閑散路線です。私が乗車した時も、高校生たちは石狩沼田駅までで全員下車してしまい、その先は数名のみの乗車となりました。
そんな留萌本線に乗車した時の様子を以下の記事でまとめています。深川~石狩沼田間も乗車するのであればお早めに。
台風被害で長期運休のまま2024年3月末で廃止へ! 根室本線(富良野~新得)
根室本線は、滝川駅と根室駅を結ぶ長大な路線ですが、その中間部にあたる富良野~新得間は利用者がきわめて少なく、2024年3月末に廃止されることが決まっています。そのうち、東鹿越~新得間は、2016年の台風被害により被災し、現在も長期の運転見合わせが続いています。
根室本線のこの区間には「狩勝峠」という峠があります。かつて、根室本線はこの狩勝峠を超えており、日本三大車窓の一つに数えられるほどの絶景車窓を眺めることができました。いまは長大なトンネル経由へと付け替えられています。
現在、東鹿越~新得間には代行バスが走りますが、代行バスが走る国道は、かつての根室本線の旧線に近いところを通ります。代行バスの車窓からも、ほんの一瞬ですが、広大な十勝平野を望むことができます。
根室本線の富良野~新得間の乗車記を以下の記事で公開しています。代行バス区間も紹介していますので、ぜひご覧ください。
北海道~本州のお得な移動方法と北海道のお得なきっぷ
北海道外から北海道を訪れる交通手段としては、航空機が一般的でしょう。ですが、青春18きっぷなどの鉄道主体の旅で北海道へ行く場合には、北海道新幹線をはじめ、東北各地からのフェリーなど、予算や旅程に応じて多様な交通手段を選ぶことができます。
以下の記事は、青春18きっぷの旅で本州~北海道を移動する手段をまとめたものです。フェリーなど、青春18きっぷの旅に限らず、旅情重視で交通手段を選択する際にも利用できますので、ぜひご覧ください。
かつて、本州と北海道の間には、青函トンネルを経由する夜行列車・寝台列車がたくさん運転されていましたが、今ではすべて廃止されてしまいました。「目が覚めるとそこは北海道」という夜行列車の旅はとても素晴らしいものでした。
そんなかつての夜行列車の代替として、東北・関東各地から北海道へのフェリーを利用してみてはいかがでしょうか? 飛行機や新幹線に比べると時間はかかりますが、夜行便がありますし、運賃も比較的リーズナブルです。以下の記事では、北海道への移動に使えるフェリーの夜行便を紹介していますので、ぜひご覧ください。
北海道を鉄道で旅するときに利用したいのが、JR北海道が発売するお得なきっぷです。広範囲が乗り放題となるフリーきっぷ、都市間移動に活用できる特急列車の割引きっぷなど、JR北海道はさまざまなお得なきっぷを発売しています。
以下の記事では、JR北海道が発売するお得なきっぷを、その使い分けの方法も含めて紹介しています。ぜひご覧ください。
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