JR東日本の新しい観光列車「ひなび」(陽旅)は、1号車のボックスシート(グリーン車指定席)、2号車のリクライニングシート(普通車指定席)の2両編成。2024年冬季は「ひなび 釜石」として盛岡~釜石間を中心に、一部の週末は「ひなび 下北」「ひなび 八幡平」「ひなび 錦秋湖」などとして東北地方の各線でも運転されます。
この記事では、観光列車「ひなび」の車内の様子を写真入りで紹介するとともに、運転日・ダイヤ、料金などの最新情報、おすすめの座席をまとめて紹介します。
※2024-25年冬季の運転日・ダイヤを追加しました(2024.12.01)
北東北の新たな観光列車「ひなび」(陽旅)、2023年12月にデビュー!
北東北を走る「ひなび」(陽旅)は、2023年12月にデビューした新しい観光列車です。
「ひなび」の概要は以下のとおりです。
- 2023年12月23日(土)に運行開始
- 運行エリアは主に岩手県・青森県の各線区
- ディーゼルハイブリッド車両「リゾートあすなろ」を改造した2両編成の列車
- 1号車はボックスシート中心(4人用、2人用、1人用)で定員25名(グリーン車指定席)、2号車はリクライニングシート中心で定員34名(普通車指定席) →詳しくはこちら
2024年1月に「ひなび釜石」の全区間に往復乗車してきました。グリーン車、普通車ともに乗車してみましたので、その乗り比べも含めて、以下の記事で乗車記を公開しています。ぜひご覧ください。
「ひなび」の運転日・ダイヤ
「ひなび」は、2024-25年冬季は、「ひなび 釜石」として盛岡~花巻・新花巻~釜石間(東北本線・釜石線経由)を中心に運転されます。また、「ひなび 八幡平」(盛岡~大館)、「ひなび 下北」(八戸~大湊)、「ひなび 錦秋湖」(北上~横手)、「ひなび 気仙沼」(一ノ関~気仙沼)などの運転も予定されています。
ここでは、「ひなび」の運転日とダイヤを紹介します。
「ひなび」の運転日
JR東日本から発表されている「ひなび」の運転日は以下のカレンダーのとおりです。
「ひなび 釜石」のダイヤ
「ひなび 釜石」(2024年12月~2025年2月)のダイヤは以下のとおりです。
「ひなび 釜石」は冬季以外は、AパターンとBパターンの2通りのダイヤがあり、主に休前日はAパターン、日曜日や翌日が平日の場合にはBパターンで運行されます。ただし、冬季は冬季ダイヤでの運転となっています。
【ひなび 釜石(冬季)】
往路↓ | 復路↑ | |
---|---|---|
盛岡 | 10:40発 | 17:46着 |
花巻 |
11:10着 11:15発 |
17:13発 17:01着 |
新花巻 |
11:22着 11:23発 |
16:54発 16:53着 |
土沢 |
11:30着 11:30発 |
16:46発 16:46着 |
宮守 |
11:45着 11:45発 |
16:31発 16:27着 |
遠野 |
12:09着 12:30発 |
16:05発 15:39着 |
上有住 |
12:55着 12:55発 |
15:17発 15:16着 |
陸中大橋 |
13:06着 13:07発 |
15:02発 15:01着 |
釜石 | 13:24着 | 14:45発 |
「ひなび」車内の様子
観光列車「ひなび」の車内の様子を紹介します。1号車はボックス席主体のグリーン席、2号車はJR東日本の観光列車では標準的な足元が広々としたリクライニングシート(普通席)になっています。
背の高いシートが特徴的なボックス席が並ぶグリーン車(1号車)
1号車(グリーン車)の車内の様子です。背の高いゆったりとしたボックスシートが並びます。青系統の落ち着いた色で統一されています。
4人掛けのボックスシートです。横幅はかなりゆったりとしています。真ん中には大きなテーブルがあり、飲食もしやすくなっています。
背面や通路側に背の高い背もたれや仕切りがあるので、通路を歩く人や、通路を挟んで反対側のボックスに座る人があまり気になりません。
2人掛けのボックスシートです。4人掛けのボックスシートと同様に、背もたれが高くなっていて、ちょっとしたプライベート感があります。
1人用のシートです。窓側を向いたカウンターのような座席になっています。通路を背にして座ることになりますし、背もたれの背が高く、プライベート空間が確保されています。一人で「ひなび」に乗車するならこの座席がおすすめですが、3席しかありません。
1号車の運転台の後ろにある展望スペースです。前面と左右の側面を向いた腰かけやソファが設置されています。1号車(グリーン車)は定員が少ないですし、基本的にグリーン券を持った人しか立ち入れないことになっているので、展望スペースもゆったりと使うことができます。
展望スペースの端には、乗客が利用できるコンセントが3口備えられています。各座席にコンセントはないですが、展望スペースのこのコンセントを利用して充電などすることができます。
1号車グリーン車には、網棚がありません。車端部にスーツケースなどを置ける荷物スペースはありますが、各座席の近くには、このような小さなスペースしかありません。「ひなび」のグリーン車に乗車するさいには、貴重品などを身につけて置ける小さなバッグやサコッシュなどを持参するのがおすすめです。
1号車の車端部には売店があります。お菓子やグッズ類、アイスクリーム、飲み物(アルコールは缶ビールとワインのみ)などを販売しています。売店を利用する場合のみ、2号車の普通車の乗客も1号車の車内に入ることができます。
足元が広いリクライニングシートが並ぶ普通車(2号車)
2号車の普通車の車内の様子です。1号車とは対照的に、暖色系にまとめられています。JR東日本の観光列車ではおなじみの2人掛けのリクライニングシートが並びます。
普通車の車内には網棚がありますので、座席の近くに荷物を置くことができます。
リクライニングシートは、通路から一段高くなったところに設置されていて、窓から景色を眺めやすいようになっています。釜石行きの「ひなび釜石」では、途中の花巻駅で進行方向が変わるため、盛岡駅発車時点では、進行方向と逆向きに座席がセットされています。
各座席には、こちらもJR東日本の列車では標準的なテーブルが備え付けられています。前の座席の背面には、ポケットとドリンクホルダーがあります。
各座席のひじ掛けには小さなテーブルも格納されています。「ひなび」のリクライニングシートはシートピッチ(前後の座席の間隔)がとても広く、新幹線のグリーン車並みです。前の座席の背面に備え付けられているテーブルとは少し距離があるので、食事をする場合には、ひじ掛けに内蔵されたテーブルのほうが使いやすいかもしれません。
2号車の運転台の後ろにも展望スペースがありますが、こちらは腰かけやソファがありません。3口のコンセントは設置されていました。
「ひなび」座席表とおすすめの座席
「ひなび」の座席表とおすすめの座席を紹介します。
「ひなび」の座席表
「ひなび」の座席の配置は以下の図のようになっています。
前述のとおり、1号車のグリーン車はボックスシートが主体、2号車の普通車はリクライニングシートとなっています。
「ひなび」おすすめの座席と車窓のポイント
乗車人数別のおすすめの座席は以下のとおりです。
- 1人
- 1号車: カウンター席(3席のみ)
- 2号車: リクライニングシート 窓側
- 2人
- 1号車: 2人掛けボックスシート(2人×5ボックス)
- 2号車: リクライニングシート
- 3~4人
- 1号車: 4人掛けボックスシート(4人×3ボックス)
1人で乗車する場合は、1号車のカウンター席がおすすめです。ただ、カウンター席は3席しかありません。カウンター席が予約できなかったら、2号車リクライニングシートの窓側が無難でしょう。グリーン車に乗車したい場合には、相席になりますが、2人掛けボックスシートが良いと思います。
2人で乗車する場合には、1号車の2人掛けボックスシート、2号車のリクライニングシートがおすすめです。3~4人であれば、1号車の4人掛けボックスシートが良いでしょう。
一方、車窓の見どころとなる釜石線のオメガループや、釜石線沿いの猿ヶ石川を眺められるのは釜石線で南側(釜石行きで進行方向右側、盛岡行きで進行方向左側)です。各号車の座席番号では、以下のようになります。
号車 | 座席番号 |
---|---|
1号車 | 2A/D 4A/D 6A/D 8A/D 10A/D |
2号車 | 各番号のA席 |
オメガループや猿ヶ石川が良く見えるのは、1号車(グリーン車)では2人掛けのボックス席、2号車では各番号のA席となります。
もっとも、各号車には展望スペースがありますので、特に1号車に乗車する場合には、前述の乗車人数で座席を選んでしまってよいと思います。
「ひなび」(陽旅)の乗車におすすめのきっぷ
観光列車「ひなび」は、全車指定席の快速列車として運転されます。ここでは「ひなび」に乗車するのに必要なきっぷ類と、おすすめのフリーきっぷを紹介します。
「ひなび」、1号車はグリーン券、2号車は指定席券が必要!
前述のとおり、1号車はグリーン車指定席、2号車は普通車指定席として発売されますので、「ひなび」の乗車に必要なきっぷ類は以下のようになります。
- 「ひなび」1号車: 乗車券+グリーン券(指定席)
- 「ひなび」2号車: 乗車券+指定席券
グリーン券は乗車する距離によって変わり、価格は以下のとおりです。指定席券は乗車距離に関係なく1席あたり840円です。
- 1号車 グリーン車指定席
- 150kmまで: 2,000円
- 151km以上: 3,000円
- 2号車 普通車指定席
- 指定席料金: 通年840円
「ひなび 釜石」は、全線に乗車しても125kmですので、グリーン料金は一律2,000円となります。
「ひなび」の車両概要と料金については、JR東日本のニュースリリースをご覧ください。
「ひなび」の乗車には「いわてホリデーパス」がおすすめ!
「ひなび」に乗車するには、乗車する区間の乗車券も必要となります。2024年春夏は「ひなび 釜石」として盛岡~釜石間を中心に運転されますが、主な区間の乗車券の価格(運賃)は以下のとおりです。
- 盛岡~釜石: 2,310円
- 新花巻~釜石: 1,690円
- 盛岡~遠野: 1,520円
- 遠野~釜石: 860円
「ひなび 釜石」が走る区間では、盛岡~花巻・新花巻間でしかSuicaが利用できません。釜石線の遠野や釜石はSuicaに対応していませんので、紙の乗車券を用意しておきましょう。
一方、「ひなび」の乗車に利用できるフリーきっぷとしては「いわてホリデーパス」があります。
- きっぷ名: いわてホリデーパス
- 利用期間: 土休日、4月29日~5月5日、7月20日~8月31日、12月23日~1月7日は毎日利用可能
- 有効期間: 1日
- 効力: フリーエリア(主に岩手県内のJR線、一部の三セク路線)に1日乗り放題
- おねだん: おとな 2,500円,こども 1,250円
「ひなび 釜石」の片道乗車だけでは元が取れませんが、往復乗車であれば十分にお得になります。ただし、「いわてホリデーパス」は土休日とゴールデンウィーク、夏休み、年末年始にしか利用できませんので、平日の運転日には使えません。
「いわてホリデーパス」については、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
「ひなび」は快速列車として運転されるため、他のJR東日本の「のってたのしい列車」と同じく、2号車の普通車指定席には、「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」で乗車することができます。1号車はグリーン車指定席となりますので、青春18きっぷでの乗車はできません。
青春18きっぷ・秋の乗り放題パスについては、当ブログの以下のページをご覧ください。最新情報に加えて、基礎知識や使い方のコツなど、さまざまなコンテンツを掲載しています。
「北海道&東日本パス」の最新情報については、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
以上、『北東北の観光列車「ひなび」(陽旅)、2024-25年冬季は釜石線を「ひなび 釜石」として運転、東北各地の出張運転も!』でした。デビューから1年を経て、すっかり北東北の観光列車として定着した「ひなび」ですが、これからも東北各地での運転を期待したいですね。
関連記事
「ひなび 釜石」の乗車記です。2024年1月に盛岡~釜石の全区間を往復乗車しました。グリーン車と普通車の両方に乗車しましたので、その比較も紹介しています。
「ひなび 釜石」が運転される釜石線の車窓については、以下の「快速はまゆり」の記事をご覧ください。「ひなび 釜石」と全く同じ区間を走る快速列車の乗車記です。
「ひさの乗り鉄ブログ」のメインコンテンツの一つ、観光列車関連のトップページです。いろいろな観光列車やSL列車の乗車記をはじめ、車窓やグルメなどのジャンル毎におすすめの観光列車を紹介しています。ぜひご覧ください。
コメント