「おいこっと」は、飯山線の長野~十日町間を走る観光列車です。曲がりくねる千曲川~信濃川に沿って、「おいこっと」はのんびりと走っていきます。川の美しい車窓を眺めながら、のんびりとした旅を楽しめる列車です。この記事では「おいこっと」の乗車記に加え、指定席券の予約方法、おすすめの座席も紹介します。
飯山線を走るJR東日本の観光列車「おいこっと」
「おいこっと」は、飯山線の長野駅と十日町駅を結ぶ、JR東日本の観光列車です。ほとんどの区間で飯山線を走行します。
「おいこっと」の特徴は、千曲川~信濃川の車窓です。「おいこっと」が走る飯山線は、千曲川~信濃川沿いに線路が敷かれていて、曲がりくねる川に沿って、のんびりと走るのが特徴です。ゆったりとした川の流れを眺めながら、のんびりとした旅が楽しめる観光列車なのです。
列車名の「おいこっと」は"OYKOT"と綴ります。TOKYO(東京)を反対側から読んだ音を列車名にしていて、東京とは正反対の「田舎」や「ふるさと」をコンセプトにした列車となっています。千曲川や、川沿いに広がる田園風景は、「ふるさと」にぴったりです。
車両は、JR東日本の非電化ローカル線では標準的な「キハ110系」という気動車が使われています。座席配置は普通列車用の車両とほぼ変わりありませんが、テーブルが設置されていたり、古民家をイメージした装飾がなされていたりと、「飾らない観光列車」といった雰囲気です。
「おいこっと」の運転日とダイヤ(2024年版)
「おいこっと」は、主に3月~12月の土休日に運転されています。冬季の1月~2月は「雪のおいこっと」として運転されます。運転日には、長野~十日町間で1往復運転されます。ここでは、「おいこっと」の運転日とダイヤ(運転時刻)を紹介します。
「おいこっと」の運転日
「おいこっと」の運転日は、以下のカレンダーのとおりです。主に土休日に運転されます。
「おいこっと」の運転時刻・停車駅
「おいこっと」の運転時刻と停車駅は、以下のとおりです。午前中に長野駅から十日町駅への下り列車が、午後に十日町駅から長野駅への上り列車が運転されます。
途中、飯山駅では長い停車時間が設けられていて、飯山駅コンコースにある「からくり時計」を見学したり、臨時の売店でのお買い物を楽しんだりできます。
- | ↓下り | ↑上り |
---|---|---|
長野 | 9:17発 | 16:02着 |
替佐 |
9:41着 9:42発 |
15:35発 15:30着 |
飯山 |
9:55着 10:10発 |
15:16発 14:39着 |
北飯山 |
10:13着 10:14発 |
14:36発 14:35着 |
戸狩野沢温泉 |
10:22着 10:23発 |
14:27発 14:22着 |
上境 |
10:29着 10:30発 |
14:16発 14:15着 |
森宮野原 |
11:00着 11:05発 |
13:43発 13:42着 |
津南 |
11:18着 11:19発 |
13:30発 13:29着 |
十日町 | 11:42着 | 13:05発 |
「おいこっと」の座席の紹介(座席表あり)
「おいこっと」はキハ110系という、JR東日本のローカル線の普通列車で標準的に利用されている車両をベースに、内装を改装した車両が使われています。「おいこっと」用の車両は2両編成ですが、1両のみで運転されることもあります。
「おいこっと」の座席表・座席配置
「おいこっと」座席表(座席配置)は、以下の図のとおりです。
「おいこっと」は2両編成で、1号車は長野行きで先頭、2号車は十日町行きで先頭となります。最近は1両での運転も増えてきています。2両とも座席配置は同じです。
「おいこっと」の座席は、あとで写真で紹介するように、ボックスシートとソファ型のロングシートの2種類があります。1号車、2号車ともに、座席番号との対応は以下のとおりです。
座席種別 | 座席番号 |
---|---|
2人掛け ボックスシート |
1,3,5,7,9番 A/D席 |
4人掛け ボックスシート |
4,6,8,10番 A~D席 |
2人掛け ロングシート |
11,12,13番 AB席,CD席 |
JR東日本のローカル線に乗車したことがある方にとっては、おなじみの座席配置となっています。新幹線や特急列車に比べると、座席番号の対応がわかりずらいので、上の座席表を見ながら、好みの座席を予約するとよいと思います。
「おいこっと」車内の様子と座席の紹介
「おいこっと」の車内の様子と座席を、写真入りで紹介します。
「おいこっと」の車内の様子です。「おばあちゃんの家」をコンセプトにした古民家風の内装になっています。
手前のテーブルが出ている座席が「2人掛けロングシート」、奥の左側に並んでいるのが「2人掛けボックスシート」、右側に並んでいるのが「4人掛けボックスシート」です。
普通列車としても利用されるため、つり革や優先席も設けられています。
ボックスシートの様子です。向かい合わせの座席ですが、シートとシートの間にはテーブルが用意されています。このテーブルは着脱式で、「おいこっと」として運用されるときに設置されます。
2人掛けボックスシートです。ボックスシートなのでリクライニングはしません。1名または2名で乗車するのであれば、この2人掛けボックスシートがおすすめです。あとで紹介しますが、この2人掛けボックスシートが並ぶ側が、千曲川側になりますので、車窓を眺めるのにもぴったりです。
4人掛けボックスシートです。3~4名で乗車するときには、このボックスシートがおすすめです。2人掛けボックスシート同様、シートとシートの間にテーブルが設置されています。
「おいこっと」の全区間に乗車すると2時間半~3時間程度かかりますが、このボックスシートに座っていて、おしりが痛くなるようなことはありませんでした。
2人掛けロングシートです。ロングシートというよりも、ソファのような座席になっています。窓を背にして座るタイプの座席ですので、車窓を眺めるには不向きです。車窓を眺めたいなら、ボックスシートのほうを選びましょう。
車窓を眺めるなら「2人掛けボックスシート」がおすすめ!
前述のとおり、千曲川の車窓を眺めたいのなら、「2人掛けボックスシート」がおすすめです。1名または2名での乗車であれば、まずこの「2人掛けボックスシート」を予約しましょう。(座席指定の方法はあとで紹介します)
飯山線の線路は、千曲川の左岸に沿って敷かれています。川沿いの路線では、何度も川を渡ることも多いのですが、飯山線に関しては、ほとんど千曲川を渡りません。長野に近い豊野駅付近から、新潟県に入ったあとの越後田沢駅の手前まで、ずっと左岸を走行します。そのため、「おいこっと」の乗車時間の大半で、「2人掛けボックスシート」が並ぶ側に千曲川・信濃川が見えるのです。
ということで、可能であれば「2人掛けボックスシート」を予約しましょう!
「おいこっと」乗車に必要なきっぷ類と予約方法
「おいこっと」は、全車指定席の快速列車として運転されます。乗車に必要なきっぷ類は「乗車券」と「指定席券」の2つです。
「おいこっと」の乗車に必要な乗車券・フリーきっぷ
乗車券は、いわゆるふつうの「きっぷ」です。「おいこっと」が走る区間は、Suica等の交通系ICカードが使えませんので、駅で紙のきっぷを購入しましょう。
主な区間の片道の運賃は以下のとおりです。
- 長野~十日町(全区間): 1,780円
- 飯山~十日町: 1,170円
- 長野~戸狩野沢温泉: 730円
- 戸狩野沢温泉~十日町: 990円
また、通常のきっぷだけでなく、「おいこっと」が運転される区間をフリーエリアに含むフリーきっぷを使うこともできます。
代表的なフリーきっぷとしては、「信州ワンデーパス」があります。
- きっぷ名: 信州ワンデーパス
- 利用期間: 通年
- 有効期間: 1日
- 効力: 主に長野県内のJR線の普通列車・快速列車の普通車自由席に乗り放題、 別に特急券を購入すれば、フリーエリア内の北陸新幹線・在来線特急列車にも乗車可能
- おねだん: 大人 2,680円, 小児 1,050円
「信州ワンデーパス」は、主に長野県内のJR線に1日乗り放題となるフリーきっぷです。「おいこっと」が運転される飯山線も、全区間がフリーエリアに入っていますので、乗車券はこれ1枚でOKです。
「おいこっと」全区間の長野~十日町の運賃が1,780円ですので、片道乗るだけではお得にはなりませんが、「おいこっと」乗車の前後でもJR線で移動するのであれば、お得になる可能性が高くなります。
「信州ワンデーパス」については、以下の記事でわかりやすく紹介していますので、ぜひご覧ください。
関東や南東北エリアから「おいこっと」の始発駅となる長野駅や十日町駅へやってくる場合には、土休日に利用できる「週末パス」がおすすめです。関東甲信越・南東北の広い地域がフリーエリアとなる、JR東日本の定番フリーきっぷです。
- きっぷ名: 週末パス
- 利用期間: 土休日(一部、繁忙期は利用できない期間あり)
- 有効期間: 2日間
- 効力: フリーエリア内(主に南東北・関東甲信越のJR線、第三セクター路線)の普通列車・快速列車の普通車自由席に乗り放題、別に特急券を購入すれば、フリーエリア内の新幹線・在来線特急列車にも乗車可能
- おねだん: 大人 8,880円,小児 2,600円
「おいこっと」の運転区間となる長野~十日町は、すべて「週末パス」のフリーエリアに含まれます。フリーエリア内から北陸新幹線や上越新幹線、在来線の特急列車で長野駅や十日町駅までアクセスする場合には、別途、特急券を購入すれば、乗車券は「週末パス」1枚のみでOKです。
「週末パス」については、以下の記事でわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。
また、春夏冬の3回発売されるフリーきっぷ「青春18きっぷ」を利用することもできます。
ただし、注意点が1つあります。「おいこっと」が運転される区間のうち、長野~豊野間は、JR東日本の路線ではなく、第三セクターのしなの鉄道「北しなの線」になります。この区間には、青春18きっぷでは乗車できませんので、別途、運賃(260円)が必要です。
- 長野~豊野: しなの鉄道 北しなの線(運賃260円)
- 豊野~十日町: JR東日本 飯山線(青春18きっぷで乗車可能)
十日町行きに乗車する場合には、長野駅の券売機で豊野までのきっぷを買っておきましょう。長野行きに乗車する場合には、長野駅で「おいこっと」を下車したあと、長野駅の窓口で清算しましょう。
「青春18きっぷ」については、以下のページをご覧ください。
「おいこっと」指定席券の予約方法
前述のように、「おいこっと」は全車指定席での運転となりますので、乗車するには、乗車券に加えて、指定席券が必要となります。指定席券の料金は、以下のとおりです。
- 「おいこっと」の指定席券: 大人 840円(小児 420円)
指定席券を持っていないと、「おいこっと」に乗車することができません。その場で購入しようとしても、空席がないと購入することもできません。ですので、「おいこっと」に乗車する日が決まったら、早めにインターネット予約「えきねっと」で予約することをおすすめします。
「えきねっと」での予約方法を簡単に紹介します。
「えきねっと」トップの「JRきっぷ」→「のってたのしい列車(観光列車)の申込」から申し込むのが簡単です。
「のってたのしい列車」の一覧が表示されますので、ここで「おいこっと」を選択します。すると、以下のような上り、下りなど、列車を選択する画面になります。
ここがちょっとわかりにくいのですが、列車の行先と座席種別との対応は、以下のようになっています。
えきねっとでの表示 | 行先 | 座席の種類 |
---|---|---|
おいこっと 下り | 長野→十日町 | 2人掛け ロングシート |
おいこっと 上り | 十日町→長野 | 2人掛け ロングシート |
おいこっと(ボックス) 下り |
長野→十日町 | 2人掛け・4人掛け ボックスシート |
おいこっと(ボックス) 上り |
十日町→長野 | 2人掛け・4人掛け ボックスシート |
「えきねっと」では、2人掛けロングシートの座席と、ボックスシートの座席は、別の列車として登録されているので、このようにわかりづらくなっています。
上記の表を参考に、希望の列車を選択したら、乗車日、人数などを適宜入力していきます。きっぷの選択画面では、「信州ワンデーパス」や「青春18きっぷ」のようなフリーきっぷを利用する場合には、「乗車券を申込まない」を選ぶようにしましょう。
最後に、座席の選択画面です。「座席表(シートマップ)から選択する」を選んで、好みの座席を指定しましょう。
列車の選択のときに「おいこっと(ボックス)」を選んでから、シートマップを表示させると、このように、ボックスシートの画面が出てきます。
上のほうで紹介した座席表に対応していて、通路の左側が4人掛けボックスシート、右側が2人掛けボックスシートになっています。進行方向も画面上のほうに表示されていますから、それも参考にしながら、好みの座席を選びましょう。
前述のとおり、おすすめの座席は、千曲川の車窓が見やすい「2人掛けボックスシート」です。この画面でいえば、通路の右側の座席になります。この例のように、2人掛けボックスシートは、早めに埋まってしまいますので、この座席を確保したい場合には、なるべく発売日(列車の運転日の1ヵ月前)に購入するようにしましょう。
「おいこっと」(長野→十日町)乗車記(2022年4月乗車)
ここからは、「おいこっと」の乗車記をお届けします。2022年4月上旬の土曜日、長野駅から十日町駅までの全区間に乗車してきました。車窓に加えて、車内の様子なども交えてお届けします。
長野駅4番線に「おいこっと」が入線!
この日は、朝早くに松本駅を出て、篠ノ井線の列車で長野駅に到着しました。「おいこっと」は飯山線の列車が発着する4番線から発車します。
3~5番線への階段を降りると、「おいこっと」の発車案内が表示されていました。3番線と4番線は、ホームの中ほどにある車止めで分かれています。4番線が飯山線、3番線は篠ノ井線やしなの鉄道などの列車が発着します。
3番線からしなの鉄道の有料座席指定列車「軽井沢リゾート2号」、5番線からは大糸線の観光列車「リゾートビューふるさと」が発車するなど、土休日のこの時間帯、このホームは観光列車の出発ラッシュとなります。
9時07分ごろ、北長野駅側から、「おいこっと」が入ってきました。発車時刻の約10分前です。ホームに停止したら、すぐにドアが開いて、乗車できるようになりました。
出発時刻まで「おいこっと」を見学&撮影
2号車は赤(えんじ)が基調となったデザイン。格子状に入ったクリーム色(アイボリー)の模様は、古民家の障子やふすまなどのデザインしたものだそうです。この色、なんとなく懐かしさを感じると思ったら、いわゆる国鉄特急色の組み合わせなんですね。
車両側面には「おいこっと」のロゴがデザインされています。「いいかわ、いいそら、いいやません。」は、飯山線の特徴を良く表現していると思います。
1号車はクリーム色が基調となったデザインです。側面の障子を模した模様は、2号車と同じデザインのようです。
発車前の車内の様子です。この日は、それほど混雑しておらず、2人掛けボックスシートやロングシートには各一人ずつ、4人掛けボックスシートは丸ごと空いているボックスもありました。
通路の上にはモニターが設置されています。途中、このモニターを利用して、飯山線沿線の観光案内の映像を流していました。
車両側面、窓と窓の間には、温かみのある色のライトが設置されています。普通列車としても利用する関係上、過度な装飾は難しい車両ではありますが、車両上部の照明とともに、「田舎」らしさを醸し出すのに一役買っているようです。
車両の端には、車椅子に対応したきれいなトイレが設置されています。
乗車記念のボードも設置されています。ここで撮影してもいいですが、あとで、アテンダントさんがこのボードを持って車内をまわり、記念撮影をしてくれます。
千曲川の車窓を眺めながら飯山駅へ
9時17分、「おいこっと」は長野駅を発車しました。乗客はそれほど多くないため、車内は落ち着いていて、ゆったりとした旅が楽しめそうです。
しなの鉄道北しなの線とJR飯山線の分岐駅、豊野駅に一時停車。「おいこっと」の停車駅ではありませんが、信号待ちのために停車するという案内がありました。
「おいこっと」の車内にはアテンダントさんが1名乗車されています。主に車内販売を担当されていますが、長野駅を出発したあと、各座席に「おいこっと」のしおりと車内販売のメニューを配っていました。
豊野駅を出て少しすると、進行方向右側に千曲川が見えてきます。千曲川は、新潟県に入ると信濃川と名前を変える日本一長い川として有名です。多くの鉄道路線が千曲川~信濃川と並行して敷かれていて、上流側の小海線から、しなの鉄道線、飯山線、上越線、信越本線と続き、最後は新潟市で日本海に注いでいます。
「おいこっと」が走る飯山線は、千曲川の中流域を走ります。中流域とはいっても、川幅はかなり広く、ゆったりと流れています。
9時42分、替佐(かえさ)駅に到着。この替佐駅と、一つ手前(長野寄り)の上今井駅の間、千曲川の堤防沿いに、250メートルにも及ぶ桜並木があるそうです。今回乗車した4月上旬では、まだ桜は開花しておらず、見ごろは4月中旬~下旬とのことです。
替佐駅を出発してからも、進行方向右側に千曲川のゆったりとした流れを眺めながらの旅が続きます。千曲川の向こう、特徴的な形をした山は「高社山」(こうしゃさん)。標高1,351メートルの山で、信州百名山の一つだそうです。地元では「たかやしろ」の愛称で親しまれている山なんだそうです。
今日はこのあと、お酒をコンセプトにした観光列車「越乃Shu*Kura」にも乗るので、「おいこっと」では控えておこうと思いましたが、車内は暖房が効いていて暑いくらいなので、つい車内販売でビールとおつまみを買ってしまいました。この車窓を肴に呑まないのは、「呑み鉄」としてはありえないだろうということで(笑)
飯山駅で長時間停車、「からくり時計」と「おいこっと まるしぇ」
飯山駅に9時57分に到着。ここで15分の停車時間があります。
事前に車内放送でアナウンスがありましたが、飯山駅のコンコースにある「からくり時計」を見学に行きます。飯山駅の「からくり時計」は、長野県の無形民俗文化財に指定されている「五束太々神楽(ごそくだいだいかぐら)」の舞を表現したものだそうです。
ホームで「おいこっと」を撮影してからコンコースに上がると、すでにからくり時計が動き始めていました。よく見ると、小さな人形たちが、神楽を演じているのがわかります。
このからくり時計、毎正時に動くそうです。十日町行き「おいこっと」では10時、長野行き「おいこっと」では15時の回を見ることができます。
また、コンコースでは「おいこっと まるしぇ」が開催されていて、沿線の名産品が売られています。短い停車時間ですが、多くの乗客が買い物を楽しんでいました。まだ旅が続く関係上、あまり荷物になるものは買えないので、車内で食べられる長野名物、野沢菜の「おやき」を買いました。食べてみると、野沢菜がこれでもかというほどたくさん入っていて、とてもおいしかったです。
千曲川と雪景色を眺める旅へ
飯山駅を出発すると、沿線には雪が増えてきました。もう4月、東京では桜がちょうど満開になった頃ですが、飯山線の沿線はまだ雪がたくさん残っています。
とはいえ、日差しは冬のそれではなく、春そのもの。風は冷たいものの、着実に春は近づいているようです。まさに、「春の雪景色」を眺めながらの旅が続きます。
信濃平(しなのたいら)駅に停車。貨車を流用した待合室が特徴的な無人駅です。
この「おいこっと」は快速列車で、停車駅は限られていますが、停車駅以外の駅にも、各駅に停車していきます。もちろんドアは開きません。30秒ほどで発車していくので、信号か何かの関係で、通過列車に対応していないのではないかと思います。
そのため、「おいこっと」は、飯山線の各駅に停車する普通列車と、所要時間はほとんど変わりません。それもあってか、とてものんびりと走っているという印象です。
10時25分、戸狩野沢温泉駅に到着。3名ほどが下車していきました。
戸狩野沢温泉駅は、野沢温泉への玄関口……だったのですが、北陸新幹線の開業で、その座を飯山駅に明け渡したようです。現在、野沢温泉へのアクセスは、飯山駅からの直通バスや路線バスとなっているようです。
長野・新潟県境を超えて日本一の豪雪地帯へ
戸狩野沢温泉駅を出ても、千曲川の車窓は変わりません。「千回曲がる」から千曲川と呼ばれるようになったという説があるそうですが、車窓を眺めていると、本当に何度も曲がりくねって流れていきます。「おいこっと」もそれにつきあうかのように、千曲川に沿って進んでいきます。
進むに連れて、目に見えて積雪が増えていくのがわかります。道路や屋根の上にはまったく雪はないのですが、除雪されていないところには数十センチ~1メートルくらいの雪が残っています。
長野県と新潟県の県境付近は、日本一の豪雪地帯。これでもだいぶ雪が減ったのだと思いますが、4月に入ってもこれだけ雪が残っているのです。
11時03分、森宮野原駅に到着。この駅は、1945年2月に7.85メートルという、JR(当時は国鉄)での日本最高積雪を記録した駅として有名です。2021-22年の冬は寒かったためか、4月になってもまだたくさんの雪が残っています。
森宮野原駅は、長野県最北端のJR駅。すぐ近くに新潟県との県境があります。「森宮野原」という地名があるわけではなく、長野県側の「森」という地名と、新潟県側の「宮野原」という地名を合わせた駅名です。
森宮野原駅を出発して県境を超えて新潟県に入ると、この川の名前も、千曲川から信濃川へと変わります。もっとも、そんなこととは関係なく、川はゆったりと流れています。今は水量が少ないように見えますが、これから雪解け水で水量も増えていくのでしょうか。
11時04分、津南駅に到着。豪雪のときに、ニュースで良く耳にする津南町にある駅です。駅周辺の積雪もまだかなり多いようです。帰宅後に調べてみましたが、この日の津南町役場での積雪は110センチ(!)でした。それでも、2月下旬の4メートル近い積雪から、かなり減ってきているようです。
信濃川を渡って終点の十日町駅へ
津南駅の次の駅、越後鹿渡駅を出ると、すぐに信濃川を渡ります。ずっと川の左岸を走行してきましたが、ここで右岸へと渡ります。
車内では、アテンダントさんが、先ほどのボードを持って、記念撮影にまわってきました。観光列車ではありがちなイベントですが、乗車日も入っていますので、記念になりますね。
越後田沢駅に一時停車。相変わらず、すべての駅に律儀に停車していきます。この駅も、駅前の雪がすごいことになっています。おそらく、除雪したものを積み上げているのだと思いますが、それでもこの雪の量には度肝を抜かれます。
信濃川の右岸に移ってからは、川から少し離れたところを走っていきます。終点の十日町駅に向けて、だんだんと雪が少なくなっていく様子もよくわかります。
線路の両側がだんだんと平らになっていきます。この平らなところ、今は雪で覆われていますが、田んぼでしょう。米どころ、新潟の田園地帯を進んでいきます。
11時41分、長野駅から約2時間半の旅を終えて、「おいこっと」は終点の十日町駅に到着しました。
終始、車内は比較的空いたままでしたので、落ち着いた旅を楽しむことができました。飯山線には何度も乗車したことがありますが、今回乗車した観光列車「おいこっと」が最も落ち着いて車窓を眺めることができました。混雑状況にもよりますが、繁忙期以外は比較的空いていることが多いようですので、飯山線の車窓をゆっくり楽しみたいのであれば、おすすめの列車です。
「おいこっと」「越乃Shu*Kura」観光列車乗り継ぎの旅もおすすめ!
十日町駅で下車したあと、観光列車「越乃Shu*Kura」に乗車しました。「越乃Shu*Kura」は、新潟のお酒をコンセプトにした観光列車で、車内で新潟のお酒を楽しむことができます。
「越乃Shu*Kura」については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
今回、この記事で紹介した「おいこっと」と「越乃Shu*Kura」は、いずれも十日町駅を発着していますので、両方の列車が運転される日には、観光列車から観光列車への乗り継ぎの旅を楽しむこともできます。
2024年3月改正ダイヤでは、以下の乗り継ぎが可能です。(2023年ダイヤと変更はありません)
- 長野→十日町→上越妙高
- 長野 09:17発 → 十日町 11:42着(おいこっと)
- 十日町 14:49発 → 上越妙高 18:38着(越乃Shu*Kura)
- 上越妙高→十日町→長野
- 上越妙高 10:02発 → 十日町 12:32着(越乃Shu*Kura)
- 十日町 13:05発 → 長野 16:02着(おいこっと)
「おいこっと」から「越乃Shu*Kura」への乗り継ぎは、十日町駅で3時間ほどの時間があります。ちょうどお昼時ですので、ランチタイムにあてたり、十日町駅周辺を観光するとよいと思います。
逆ルートの「越乃Shu*Kura」から「おいこっと」への乗り継ぎ時間は30分ほどです。
なお、「越乃Shu*Kura」は、通常は上越妙高~十日町間で運転されていますが、運転日によっては、新潟~十日町間(越乃Shu*Kura)、越後湯沢~十日町間(ゆざわShu*Kura)で運転されることもありますので、注意しましょう。
また、首都圏発の青春18きっぷで「おいこっと」に乗車する1泊2日のおすすめルートを以下の記事で公開しています。飯山線の「おいこっと」だけでなく、小海線の観光列車「HIGH RAIL 1375」にも乗車する欲張りな行程です。
観光列車「おいこっと」に関するよくある質問と回答
「おいこっと」はどのような観光列車ですか?
「おいこっと」は飯山線の長野駅と十日町駅を結ぶ観光列車です。千曲川に沿って走るため、川の車窓を眺めながら旅を楽しめます。車内は「田舎」をイメージした内装になっていて、里山の車窓とあいまって、のんびりとした雰囲気の観光列車になっています。
「おいこっと」の運転日はいつですか?
「おいこっと」は主に3月~12月の土休日に運転されています。冬季(1月~2月)は「雪のおいこっと」として運転されることがあります。
「おいこっと」の座席にはどのような種類がありますか?
「おいこっと」の座席にはボックスシートとロングシートの2種類があります。おすすめはボックスシートです。2人掛けと4人掛けのボックスシートがあります。
「おいこっと」の指定席券の予約方法を教えてください。
「おいこっと」の指定席券は、インターネット予約「えきねっと」で予約するのがおすすめです。シートマップで座席も指定できますので、千曲川側の座席は、2人掛けのボックスシートのほうです。
以上、「【おいこっと】千曲川の車窓が美しい観光列車! 飯山線ののんびり旅におすすめです!」でした。千曲川・信濃川の車窓をゆったりと楽しむことのできる、そんなのんびり旅にぴったりの列車です。
関連記事
飯山線の乗車記です。冬の青春18きっぷで12月下旬に乗車しました。まだ雪が少なかったですが、雪が降るモノトーンの車窓は、「雪見鉄」にぴったりです。
当ブログの観光列車のトップページです。車窓に加えて、グルメや車内のイベントを楽しめるおすすめの列車を紹介していますので、ぜひご覧ください。
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